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命をつなぐ手段。

12歳の誕生日ケーキのまえで、カナエは自分ではどうにもできない思いに歯痒さを感じていた。
「大人になりたい」、それがカナエの思い。

カナエが、ヴァンパイアを好きになったのは6歳の時。
偶然テレビで見たアニメのなかに、その人がいた。死んでしまいそうな猫が、どこからか現れたヴァンパイアに血をもらい助けてもらう。その日から猫はヴァンパイアとして暮らしていくのだが、カナエもそれを見た日から、そうなりたいと願った。

トマトも好きになり、野菜も好き嫌いなく食べるようになった。
人間の体について詳しくなりたいと思い。勉強も運動も得意になった。
友人にも、大人からも好かれ、生徒会長にも選ばれた。
おこずかいを貯めて、日傘を買った。
もしかしたらと思い、休みの日に日陰で本を読んでみた。
それでも、「大人になる」ことは一年ごとに待つしかない。

平等で、残酷。

ロウソクを吹き消しながら、毎年変わらない願いを心の中で噛みしめた。「はやく18歳になって、献血をしたい」

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