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急に小説チャレンジ|文章に『チートデイ』があってもいいんじゃない?


文豪は、たった1秒の出来事で1枚の原稿用紙を埋められる。

そんな話を耳にしたことがある。

血走った目で「日々の退屈を覆すネタ」を探し求めるライターならば、その技能は喉から手が出るほどほしいはずだ。noteの海には名も知れぬ文豪たちがわんさかと居る。正直、逆立ちしたって勝てない。

練度も知性も品性も。
「自分には足りない何か」をたっぷりと銃口に込めて突きつけられている感覚だ。いっそそのまま撃ってくれれば楽になれるかもしれない。

だがnoteの住人達は慈悲深いことに、突きつけた銃口をクルッと回し、グリップとトリガーに指をかけやすいようこちらに向けてくれるのだ。
「君も書いてみるかい?」と。
もちろん、喜んで受け取る。

だが実際にその銃を手にしてみるとイヤに重い。狙いを定めるどころか持つだけでやっとだ。両手で支え、なんとか重力から離脱する。彼らは片手で軽々と構えていたはずだが、このままでは撃つことすらままならない。

訓練が必要だ。込める弾は、いうなれば私の身近にある実際のネタだろう。だが、このまま打ち出したところで弾が明後日の方向に飛び去るだけ。凡人の私が目を凝らしてやっと探し出した原石とも言えるネタ達を、自分の至らなさでみすみすどこかにやってしまうのは気が引ける。

「なら、君のあたまの中にある空想でもだしてみるといい」

苦心する私に向けて、彼らはもっともらしいヒントをくれた。
なるほど、頭の中の空想であれば、ゴム弾みたいで練習には最適だ。実弾で下手なところに当ててしまっては大惨事だし、日々の生活の中で必死にかき集めた弾のコストも馬鹿にならない。
練習ならば事故が起ころうとも軽微な被害で済みそうだ。多分、自分自身のプライドとか気恥ずかしさとか黒歴史とか、そんなもんで済むだろう。
でも本気で標的を狙う訓練にはなる。

・・・

さる著名人のスキャンダルを聞きつけた。

そいつが御用達のホテルから4車線挟んだ向かい側。容赦ないアスファルトからの照り返しの中、窓に特注のマジックミラーをあつらえた黒いバンが、満員電車で新聞を目一杯広げた中年みたいにして路肩にドカッと居座っている。

車内には藤田まことの刑事ドラマの真似事よろしく、汗ばんだ手でビニールをガサガサ鳴らしながら、頭頂部にパララと白ゴマが乗った「あんぱん」と、松尾芭蕉もびっくりな自由律俳句がプリントされた「おーいお茶」のペットボトルを取り出す男が一人。

パンの袋の「ここから切れます」と無責任に指定された切り口に手をかけるも、案の定ビロンと不格好に伸びきり中身への到達が叶わず、結局裂きにくいギザギザの切り口からぶっきらぼうにバリリと破り捨て、ツヤツヤしたあんぱんをようやく一口。だが踏み込みが浅かったのか中央部の餡に届いた気配はなく、ボソボソとした食感が車内の蒸し暑さをより一層際立たせる。

すかさずおーいお茶のキャップをカラカラ回し、しかし目線は窓越しのホテルの扉にガッチリ固定したまま、器用にボトルの飲み口を唇ではみ、ムシムシとした車内に唯一のオアシスを喉奥に流し込む。
バッテリーはとうの昔に上がりきり、地獄の様相を呈していた張り込みにも、ようやく一時の清涼感が訪れる。

ついでに吹き出た汗を拭おうと、チャック柄のシャツの胸ポケットに忍ばせたハンカチを手に取った。しかし、まるで華奢な女が絞った雑巾みたいで、これなら小学生に持たせて学校の廊下を往復させたほうがマシくらいの有様だった。雑巾がけ後みたいになってるソレを後部座席めがけ目もくれず投げつける。ビニールで包まれたアルバムのようなものにガサッとぶつかってそれっきりになった。

ドアのボトルケースにペットボトルを差し込み、あんぱんを素手に持ちかえる。力を加えそこねた割り箸みたいに非対称になったパンの袋。それを運転席の真下に置かれた頼りないほど浅いダストボックスに、身をかがめながら勢いよく突っ込む。上体を起こすついでにシャツの両袖を限界までまくり上げ、左手の腕時計を見やる。手首を返すと、フロントガラスからの日の光が時計のベゼル部分に乱反射してちょうど眼球を貫いた。

とことん高ぶった神経を逆撫でしてくれやがる。今なら食卓から箸が転げ落ちただけで星一徹ばりのちゃぶ台返しを決めれるだろう。男のイラ立ちは本日の最高記録を更新し続けていた。

諦めるつもりは毛頭ない。プライドもある。根負けするつもりもないし、いや好きでこうしているんだから、別に誰に怒るというわけでもない。だが頭の中では今スグあのホテルに殴り込みをかけ、フロントスタッフの制止を振り切り今回のスキャンダル対象が絶賛不倫中だろう現場の扉を蹴破り、掴みかかってやりたい衝動に駆られる。そんな光景を想像しては緻密なシュミレートを頭の中で繰り返していた。丁度4回目くらいのシュミレーションで完璧なルート取りと、やつらを制圧する算段がついたところだった。

暑さで頭がおかしくなっているのかもしれない。そりゃそうだ。ただの暑さじゃない。蒸し焼きだ。半ば蒸し焼きにされているんだ俺は。まるでギリシャのファラリスの雄牛だ。なんだって焼肉屋ってのはカジュアルにあんな拷問器具を飾るのか、問いただしたくなる。今頃俺の脳みそは中までじっくり火が通ったリブロースステーキみたいになってて、通好みの食感に仕上がっているに違いない。調味料は何がいいか。シチリア海あたりの岩塩と広島産のレモンがオススメだろう。ドロドロでこってこてのステーキソースや、自家製のなんだかヤケに味が濃くまとまったデミグラスソースなんかじゃ、きっとやぼったい。利益度外視でたっぷりサービスしてやろうじゃないか。文字通り身を削って作ったこだわりの一品だクソ野郎め。

ああ、くそ。なんだってこんなこと考えちまう。今スグ刺さりっぱなしのキーを捻り、国道沿いをぐるっと回って、失われた20年ばりに不景気なバッテリーを回復させちまいたい。無駄に横線が5、6本入ったハンドル横の通風口からの無機質で味気ないあの風がいい加減恋しくなってきた。だが窓なんか開けようものなら煩わしく鳴く無遠慮なセミ共と、今日に限って「風」って概念を消しちまった神様にこのスッカスカなあんぱんを投げつけたくなっちまう。

ただの一瞬でも機会を逃しちまったら、それこそ”蒸し”損だ。「注文のおおい料理店」でだってごめんだ。ただで蒸されてやるほど俺は慈善家じゃない。大粒の汗がまぶたの上に落ちてくる。ついに眉毛って防護壁さえも機能不全を起こしたようだ。おーいお茶を引っ掴んで中身をあおった。一瞬目が泳いだ先にあったのは、ラベルの側面に記載されたあの一文。
「いたりあで およいだうみは あおかった」
ブルジョワなお坊ちゃまの鼻につく俳句が目に飛び込み、さっき眉毛を抜けてきた汗以上に不快感をもたらした。今ならこの世の全てを呪えそうな最悪の気分だ。これが終わったらバカ高いステーキでも食べよう。シチリアの岩塩も添えてやるぞブルジョワジーめ。

と、目を離した一瞬の出来事だった。ホテル特有のヒラヒラとしたブラインド布の奥。エントランスの奥まった位置にある扉からターゲットの男と女が出てきたのを、視界の端に捉えた。
男はヒョウ柄のシャツと、牛の繊維みたいに筋張ったダメージジーンズ、額縁だけ肥大化したようなサングラスに黒マスク、黒い帯付きのハットを被っている。女は曲線美を意識させるようなピチッとした紺色のワンピース。陽の光を反射するような白色の襟とカフス。つばの広い白に黒の帯がついたハット。目には男とセット売りのマネキンみたいに同じサングラスをかけている。

あんぱんがこぼれ落ちるのをわずかも気にせず、助手席に放られたカメラをベタついた手でとった。


・・・


「と、まぁ。そうして蒸し焼きになりながらも、命からがら撮ってきたってわけだ。」

目の前に、ジュージューと鉄板の上で悲鳴をあげる肉の固まりがあった。
男はチェック柄のシャツに肉汁が飛び散るのも気にせず、ウェルダンの肉を頬張る

「はぁー、こんな炎天下続きの中で張り込みとは。先輩、流石っすね。」

鉄板を挟んで反対側にも、一人の若い男がいる。同業者と思わしき、前身黒ずくめで悪くない顔立ちをした若人は、感心した様子で同じステーキを頼んでいた。ちなみにだが、もしも今この若人に対してボディチェックを入念に行ったところで、どのポケットからも財布の類は発見されない。つまりチェック柄の男に奢ってもらう態勢で若人はこの場に望んでいるということだ。

「”先輩”はやめろって、とっくの昔だろう。」

まぁ食えよ。と、チェック柄の男がフォークで相手の手元の肉を指し示す。
こうして催促するところを見るに、オゴリ奢られは両者とも合意の上らしい。

「で、編集からは、どんだけふんだくったんです?
 さぞかし儲かったでしょう?」

「いや、びた一文もらってねぇよ。」

「え? どういうことっすか?」

「フリーのデバガメが持ち込んだとこで、買い叩かれるだけだろうが。」

「じゃあ、これからってことっすか?もしくは価格交渉中とか?」


「その場で交渉すんだよ。”撮った相手”と。

 取り分は100%だし、世間様に漏れることもない。

 当人たちの平和も守られるし、俺はステーキを食える。

 良いこと尽くめってわけよ。」


・・・


見るからに高級そうなステーキ店を出て、やって来た時と同様に男の黒のバンに乗り込む。
助手席に侵入しながらふと後部座席に目をやる。最初に迎えに来てくれた時から気になっていたビニールに包まれた大量のアルバム。なぜか、その片隅にすっかり乾いたハンカチが頼りなさげに被さっている。

「先輩、このビニールに入ったアルバムって、もしかして…」

「おう、今まで撮った”門外不出”のスキャンダル達だ。

 傍から見たらゴミの山かもしれんが、
 俺やあいつらにとっちゃ、ウン千万の価値があるってことよ。

 まっ、早い話が、犬彦
 
 お前もこのビジネス、手伝ってくれって話だ。

 ちなみに、これからは”先輩”じゃなくて、

 ”社長” な。」


若人、その名前を撮神 犬彦とりがみ いぬひこというのだが、今初めて自分が厄介な大人に捕まったことを自覚した。だがすでに胃に収められたリブロースステーキとシチリアの岩塩が重しとなって、彼の身動きをすっかり封じて込めていた。

タイトル。

【ダイレクトスキャンダラーズ 撮神 犬彦】

・・・



デーーーーン!!

って音が聞こえてきそうな始まり。


※ここから独白タイム☆

突然の小説タイムでした!楽しい!

最近ね、結構文章書いてて上手くいかないな~って思うことが増えてきたのです。
だって無数に書き方があって、方向性もバラバラで、目的も違ってて、その中から自分だけの書き方を見つけるってのは、途方もないことじゃないかなって。

実際は上手に見つけられている人達がいるんだけれども、元々色んな「点」を持ってるって人が多いのよね。
文章を書くことだけじゃなくて、たとえば職場と絡めたり人生と絡めたりとか、稀有な体験をしていたりとか。

元々持っているがつなぎ合わさって、、そして立方体とコンテンツが確実にパッケージングされていくわけじゃない?

それってさ、すごく恵まれていることだと思ったの。
自覚なき恵まれ、みたいな。

ここ数日は、じゃあ私みたいに「もたざる者」はどうしたらいいのさ!!ウガー!
っていう心境に陥ってたし、私の内なる精神がそれはそれはあらぶっておったのでございます。


実際ちょこっと病んでた☆


だからこそのチートデイ!!

気晴らしに今文章を書くのよ私は!


・・・

前回の記事でもお話に上げたのだけど
「持ってる人は持ってることに対して自覚がない」
って感じちゃったのよね。


たとえば、コメント欄を眺めたりしていると、それこそ社交的なやり取りがたくさんされている。

note書きながら横方向への交流もこなしちゃえるなんて、どんな超人様方なのかしら?!って。
私なんて一つのコメント返すのに20分くらいかかるのよ?!

ぽんぽこぽんぽこ返せてる時点で、やっぱりもう対人関係の十分な訓練を積んでこれた証でもある。

既に「慣れてたり」「持ってたり」するからできるのよね…って、思わずハンカチの端っこ噛み締めちゃう。キーッ!


健全な社会性を身に着けてこられている時点で、私目線「十分すぎるほどに恵まれている」と思うし、そこから努力を積み重ねてのし上がっていくサクセスストーリーには心踊るものがある。
でも、なんかね、そこまで行くと雲の上の世界を見ている気分になるのよ。


だって、持ってる人はちゃんとさ、富士山の麓からスタートできてんじゃん。

私、地底人スタートなんだもん。


グレンラガンよろしく、まず頭上にガッチリ固まってる岩盤をぶっ壊すところからはじめなきゃいけないのよ。

しかも超かたいからねその岩盤。
ってか自力じゃどーにもできんし!

でも、畑を耕して~。タネを巻いて~。ビニールハウスで覆って~。って、要はそんなお話がどんどんどんどん耳に(ってか目に)はいってくる。

ごめん、まずうち「土」がないんだ!!!


そっからなの!!そっから!!!

「土」生成せなあかんねん!


そこで
「あら~~良い耕し具合ね~~どんな鋤つかってるのかしら~?」

とか
「今年のタネは色んな種類があって素敵ね~~
 あ、これ「生成AI」のタネなのよ~~今年シュンよ~~」

って話されてんねん!!!!

もうそれ「持ってる」人たちの会話ぁ!!!


クビをひねっちゃう!
ひねりすぎてねじ切れちゃう!


・「書ける文章を見つけよう」
・「読まれる文章を見つけよう」
・「ニーズが一致しているところを見つけよう」


たぶんこれも「土」もってる前提で話されてますよね?!?!


いま土ないねん!今つくってんねん!

いやでもありがとう!


このノウハウのお陰で自分が「土」もってないことに気付けたわ!!!!

だからしばらく「土」作ってるから散文駄文垂れ流すと思うけれど、堪忍してね!!!!

うおおおおいい土つくるぞぉお!!!!


と、文章チートデイを満喫したネコぐらしでした🐈

チートデイ(cheat day)を直訳すると「反則の日」「ズルの日」です。 チート(cheat)には「だます」や「あざむく」という意味があります。 ダイエット中のチートデイとは、ダイエット中にも関わらず食べ物をたくさん食べる日のことです。 ダイエット中の食事はカロリー制限が基本です。

ダイエットのチートデイは本当に効く? 正しいやり方と注意

🐈気に入りましたら、ぜひサイトマップも覗いていってくださいな🐈

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ここまで読んで頂き、ありがとうございます✨

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