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スペイン語でステーキをオーダーする方法【うすくちラテンアメリカ_5分エッセイ no.7】

前回の記事(下記)に続いて、牛肉の話。

ステーキハウスに行くと、メニューには大抵、肉の「部位名」が記載されている。慣れていないと、この部位名というやつがチンプンカンプンで、何を頼んだら良いのか、さっぱりである。ということで、スペイン語圏でステーキを召し上がる方のために、部位名、それから焼き加減について、簡単に解説してみる。

なお、味の感想などについてはあくまでも私の個人的な感想である、ということをご了承いただきたい。

まず部位名。ここではベネズエラの例を記載するが、他の国でも大体言っていることは通じると思う。多分。

ステーキを出す店でよく目にする部位名は主に四つ。Lomito、Solomo、PuntaもしくはPunta Trasera、そしてPollo de res、である。

まずLomito。これは日本語で言うヒレの部分。綺麗な赤身で柔らかく、食べやすい部位だと思う。ステーキとしてサーブされる時は、あまり脂身がついてこない。とある店では、熱く焼けた石のプレートと生のLomitoの塊が出てきて、「好きに焼け」というスタイルだったが、これが最高に柔らかく、美味い。

続いてSolomoだが、これはサーロインから肩ロースにかけて、つまり背中側の肉。店によってはサーロイン=Solomoと説明することもあるが、こちらは身がしまっていて、食べ応えがある。ミディアムレアだと、こっちの方が肉感が強く、ステーキを食ってる!!という気分になれる。

PuntaもしくはPunta Traseraは、いわゆるランプというやつで、尻の肉だ。Traseraが付くと、さらに先端付近の限られた部分を指す名称になるらしく、特別な名称が付いているということは、つまりその分美味いということなのだそうだ。希少部位、とまでいうのかどうかは分からないが、前回記事で言及した会社の先輩は、Punta Traseraがあると、あるやん!とテンションを一段階上げていた。味としては上品なSolomoという感じで、肉感がしっかりありつつ、食べやすさが増したような、いいとこ取りな部位だった。

最後にPollo de Res。Polloはチキンのこと、Resは牛肉のことなので、「牛肉の鶏肉」というなんとも不思議な名前を持つこの部位は、股関節部分内側の名称らしい。こちらも比較的取れる量が少ない部位で、取り扱っていない店も結構あった。味の記憶はそこまで明確ではないのだが、Lomitoのような柔らかい肉だったように思う。

などなど、オーダーする時はまず部位名を指定する。

次に焼き加減であるが、分数を使う。焼き加減を数字で表すのは、分かりやすくて合理的。さすが、日常的にステーキを食べる文化圏である。

レアの場合は、Poco cocido。

ミディアムレアは、Un cuarto(四分の一)。

ミディアムは、Medio(半分)。

それよりもう少し焼いて欲しければ、Tres cuarto(四分の三)。

そしてウェルダンが、Bien cocido、である。表現方法は国によって若干の違いはあろうが、英語と同じく共通の語彙を使った表現なので、通じない、ということはないと思う。

ということで、例えばステーキハウスに行って、シーザーサラダやシシトウのソテーなど注文した後、おもむろに

「LomitoとSolomoを一人前ずつ、LomitoはTres cuartoで、Solomoはそうだな、Medioでもらおうか。ついでに肉に合う赤ワインも見繕ってくれたまえ」

なんて言えば、コイツやるな、と思われること請け合いだ。

ただし、注意点が一つ。日本の感覚で、「今日は全部で三人だから、LomitoとSolomoを三人前ずつでいいか」などと頼んでしまうと、予想を遥かに上回る量を持ってこられ、余った分をPara llevar(お持ち帰り)せざるを得なくなることが割によくある。その店での一人前がどのくらいなのかを把握するため、まずは控えめにオーダーすることを強くお勧めしたい。



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