7月に聴いたもの

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Chico Pinheiro "City of Dreams"
ブラジル出身のジャズギタリスト、シコ・ピニェイロの最新作。1曲目からまごうことなきジャズ。個人的な嗜好としてジャズはソロよりもテーマの好みを重視するタイプなのだが、シコに関してはソロが抜群に素晴らしい。ライブで見たらきっと目が離せなくなると思う。バックメンバーもティアゴ・コスタやエドゥ・ヒベイロなどブラジルのジャズ系ミュージシャン、さらに加えてクリス・ポッターも参加している。シコはデビュー作をタワレコでたまたま試聴して購入してからファンで、寡作なタイプだが一作品の衝撃が大きいのでなんだかんだ追い続けてしまう一人。ジャズ80%くらいに対してブラジル要素を時折見せる(歌も歌える)のが最高の塩梅。


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Porya Hatami "Kani + Remixes"
イランのアーティスト、ポーリヤ・ハタミのアンビエント作品。前半はソロ曲が並び、後半は同じロシアのレーベル、DRONARIVMのアーティストたちを中心にしたリミックスが並んでいる。イランと聴いて頭に浮かぶ所謂中東系のスケールや楽器の音色とは全くかけ離れた穏やかなシンセとピアノを中心とした楽曲の前半に対して、後半ではビートもあるエレクトロニカ的な手法のリミックスも見られ、作品通しての緩急がちょうど良い。


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Carlos Niño & Friends "Going Home"
恥ずかしながらあまりよく知らなかったカルロス・ニーニョのアンビエントとスピリチュアルジャズの間みたいな作品。最近アンビエントやニューエイジ方面から彼の名前に辿り着くことが増えたが、Build An Arkの方なんですね。良い感じのリバーブを掛けた鈴をよくシャラシャラと鳴らすイメージがあり、それが一気にトリップ感を誘うのが上手いなと思った。夢というよりは異国に迷い込んだような絶妙な異世界感の演出を感じる。


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Tsutomu Satachi "The Beginning"
アコースティックギターでの弾き語りでフォークに根差しているが、余白の取り方がいなたさを排除していて奥行を持って聴ける。やはりプレイアビリティーを軸足に置きつつも、それを俯瞰的に見て配置できる演奏家は素晴らしいし、自分もそうなりたいと思う。


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Lightbath "Selected Public Works, Vol. 4"
おそらくモジュラーシンセが中心のセットだと思われる。そのストイックなムードがアンビエントなのにいい具合の緊張感をもたらしていて集中して聴ける。音響的な処理とシーケンサーのミニマルな側面のバランスが気持ち良い。


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Joshua Redman, Brad Mehldau, Christian McBride & Brian Blade "RoundAgain"
各所で話題になってた所謂大御所共演作品。だいぶ前から先行配信されていて待ちくたびれた感もあるけど、聴くと大学でジャズに真面目に取り組んでいた頃を思い出した。メルドーとジョシュアのコンポーズは結構似ていて、クレジット見る前は1曲目がメルドー、2曲目がジョシュアかと予想していたら逆だった。3曲目のミディアムのエイトビートの感じとかなんとも懐かしくて良かった。やはり自分がジャズに求めるのは新しさよりも懐古心なのかもしれない。5曲目はザ・マクブライドの曲、7曲目もザ・ブレイドという感じ。同時期にライブ映像が上がっていたので勘違いしていたがアルバム自体はスタジオ録音た頃を思い出した。メルドーとジョシュアのコンポーズは結構似ていて、クレジット見る前は1曲目がメルドー、2曲目がジョシュアかと予想していたら逆だった。3曲目のミディアムのエイトビートの感じとかなんとも懐かしくて良かった。やはり自分がジャズに求めるのは新しさよりも懐古心なのかもしれない。5曲目はザ・マクブライドの曲、7曲目もザ・ブレイドという感じ。同時期にライブ映像が上がっていたので勘違いしていたがアルバム自体はスタジオ録音だった。でも一本のライブのようなストーリー性があって聴き終わりの充実感が大きい。


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Ann Annie "Wander Into"
オルタナティブ寄りのアンビエント。テープ的なローファイでピッチの揺らぎのある音が随所に散りばめられており、エフェクター好きにはそれらの出し方が気になってしまうが、目を瞑っていると簡単に寝てしまえるような心地良いテクスチャで溢れている。


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Gareth Dickson "Orwell Court"
グラスゴーのギタリスト、SSWであるガレス・ディクソンの作品。テイラー・デュプリー主宰の12kからSSWとしては唯一リリースしているアーティストでもあるとのこと。確かにフォークをベースにはしているが、霧のように融けていく音像は12kの他のリリース作品にもよく馴染む。


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Derrick Hodge "Color of Noize"
ロバート・グラスパーのバンドで知られるベーシスト、デリック・ホッジの3rd。なかなかこっち系のジャズはチェックしてはいるがハマることが少ない中、割と記憶に残った。


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Max Ananyev "Communication"
ロシアのアーティスト、マックス・アナニエフのクラシックギターの演奏を主軸にしたアンビエント作品。アンビエント作品ではよくアコースティック楽器としてピアノやギターが挿入されることが多いが、割と(悪く言ってしまえば)添え物的な聞こえ方の扱われ方も多いのに対して、彼はあくまでギターの演奏が主役(かつ背景)として存在して、それを彩り包み込む要素としてのシンセや電子音という組み立て方をしているところが、同じく(現時点では)楽器演奏者としての立場に居る者としては共感を覚えた。やはりフィジカルが伴っている音楽というのはジャズにしろアンビエントにしろ心に響くし魅力的である。




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