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コミュ障だからデザイナーを選択した

シリーズ化しそうな職業・デザイナーシリーズ。

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コミュ障だからデザイナーを選択した。
……いや、コミュ障というとなまぬるい気がする。

わたしはあまり人間が好きではない。

こういうことを思ってしまうと人間が好きでないことが加速しそうだし、かなり性格が悪く見えるので、普段は心の中をよぎっても深追いしないようにしている。

が、きっかけを書かないと始まらないので書く。

わたしはそんなに人間が好きではない。
嫌い、とまではいかないと思う。

厳密にいうと、人間と会話するのが好きではない。

小学校低学年くらいから、人と話すの面倒くさい、とずっと思っていた。
挨拶とかも、出来る限りしたくない。

なんというか、自分の存在を世の中に開示したくない思いが強い。


「ぼのぼの」という漫画の初期に「キツネくん」というキャラクターが出てくる。
※ビーバーくんと友達になり、子持ちリスさんと一緒に行動するあの「キツネくん」だ。

彼は作中で言葉を喋らない(吹き出しがない)。

しかし喋れないわけではなく、言葉を使わない新しいコミュニケーション方法を模索中だという。

彼が意思を伝える方法はハンドサインで、「OK」とか「×」を作って会話する。

わたしは高校生くらいまで、「キツネくん」のコミュニケーション方法に憧れていた。世の中に流布しろと思っていた。


人間と話すのが好きではなく、会話するのが面倒臭すぎ、接客系のアルバイトではかなり心が疲弊していた。

これで社会人になったら会話地獄で死ぬと思った。

チャットやメールでは饒舌なくらいスムーズにやりとりできるし、文面においては人間に対して好きではない感情が湧かないので、もっぱら嫌いなのは会話なのだと思う。あと声が届く距離感の近さかな。

適切な言葉を瞬時にに選び取り、声帯を震わせるという行為が、本当に面倒くさい(そしてあまり上手くいかないことが多い)。


そんなわたしも定職に就かなければならなくなった。

しかし、出来る限り会話をしたくない。男でも女でも、イケメンでも美女でも金持ちでも、ちょっと喋るのきついっす。

そこでデザイナーを選んだ。

喋らなくて良い仕事で、いくつかできそうなことの中から、いちばんお金になりそうだったので選択した。

デザイナーは、あんまり喋らなくていい。

黙々と何かを作っていればいいのでラクだ。

作品を作る際の打ち合わせでは会話をしなくてはいけないけれど、ほぼ相手が喋ることを聞いていればいい。

相手が喋り終えた後で
「それは〜ん〜……ちょーっと難しいですね〜」とか
「それなら〜ん〜……○○したらどうでしょう?」とか言っておく。

途中で相手が相槌を求めていそうだな〜と感じた時は「うんうん」「な〜る〜ほ〜ど〜ですね」とか「あー」とか言っていれば良い。

とてもラクだ。

打ち合わせを一回した後は、だいたいチャットツールがメインなので喋らなくていい。ラクすぎる。

同じデスクワークでも事務だったらこうはいかない。

仕事をしていると「〇〇さんここにハンコお願いします!」とか「この請求書この日付であってます?」などと事務員さんが社内の方々へ書類の確認を取る声が聞こえてくる。

営業さんが不機嫌な時はめちゃくちゃ不機嫌に返事をされて困っているのを見かける。

デザイナーにはそれがないのでラクだ。

同じラクでも、どちらかというと、デザインよりもプログラミングをしているときの方がラクに感じる。

プログラミングの方が集中できるし、とにかく画面が動けば良いので、担当者とやりとりが少ない。
デザインは、人によってこだわりがあるので、何回も打ち合わせを重ねることがあり、人間が好きでない観点からするとかなり面倒くさい。

自分の作ったものでも、打ち合わせの最終段階に入ると
「わたしは最早どうでもいいんですけど……」と思えてくる。

デザイナーによっては、自分の意図したものと方向性が違うとして、クライアントと口論したりするらしい。

わたしはほぼない。
譲れない部分とかない。

そういうのがある人、口論になるまで良いデザインを追求できる人ってすごいな、と思う。

クリエイティブ力と論破力(プレゼン力?)と自分の制作物に対して絶対的な自信を持ち合わせているのはすごい。

序盤のマサラタウンで御三家を全部引き連れているみたいだ。


たまに、世の中の人はなぜデザイナーにならないのだろう、と不思議に思うことがある。

営業さんに怒られていた事務員さんの給料は、わたしより低い。

人事さんの一番年若い人とか、使いっ走りにされて怒られて理不尽な目に遭い毎日に忙しそうなのに、給料を聞いたら十万円代だった。

デザイナー、こんなにラクなのに。
職業訓練、半年くらい通えば誰でもなれるのに。

世の中の大半の人がなんでデザイナーを職業に選ばないのか、とても不思議だ。

人間と会話するの……好きなのかな。

営業さん、かなりキレてたけど。

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