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超個人的ツユ論。 〜時代と供に「変心」する天才作曲家の光と影〜

皆さんは「ツユ」をご存知ですか?
ツユとは、ギターを担当し全ての楽曲の作詞作編曲を手掛けている「ぷす」、ボーカルの「礼衣」、ピアノ担当の「miro」の3人の2人から成る音楽ユニットです(これを書いている最中にmiroさんの卒業が発表されました。決して卒業をきっかけにこの記事を書き始めたわけではないことをご了承ください)。

ツユは2019年にデビュー作である「やっぱり雨は降るんだね」の投稿と同時に結成が発表され、彼らの代表曲である「くらべられっ子」のMVは既に5,000万回再生を突破しています。


2022年からはポニーキャニオンと契約し、2023年には「東京リベンジャーズ」聖夜決戦編ED主題歌を担当するなど初のアニメタイアップも果たしました。




…え? そんなことよりギターを担当し全ての楽曲の作詞作曲を手掛けている人が昨年末に掛けてSNSで大暴れしていた??




まあまあ、そんな些細なことどうだっていいじゃないですか。
所属していたポニーキャニオンとは契約解除し、多くのファンの期待を裏切ったため露骨に最新楽曲の再生数が伸びていなかったりと既に社会的な制裁は受けていますし、これから当分の間タイアップが付きにくくなるなど茨の道が彼らを待ち受けているのは明白なのですから。



というか、こちらの記事を最後まで読んで頂けたらこんな展開になることは誰もが予想できていたことというか、これが「ぷす」という時代と供に変心する天才作曲家であり、今回はその光と影の影の部分たまたま表に出てきてしまっただけであるということが分かってもらえると思います。




時代と供に「変心」する天才作曲家の光と影


経歴だけを見れば彗星の如く音楽シーンに現れたイメージの強い「ツユ」ですが、その中でも「ぷす」さんのネットシーンでの音楽キャリアはかなり長いです。

こちらの画像を見ただけでもニコニコ動画にボカロ曲の投稿を始めて3曲目で「ヘイセイカタクリズム」を投稿し、当時流行していた「カゲロウプロジェクト」の物語音楽の手法を模倣した「ヘイセイプロジェクト」を立ち上げるとこれがいきなりのスマッシュヒットを飛ばすなど早熟の天才作曲家であることが伺えます。


しかしそれはあくまで模倣でしかなかったのか、「ヘイセイプロジェクト」は様々な問題を抱えたままCD販売やノベライズ、コミカライズなどの展開を行いますがムーブメントを起こすまでには至らず、空中分解をしたまま平成が終わる頃に遂に完結を迎えます。




余談ですが、「ヘイセイプロジェクト」には「レイワイテロリズム」という楽曲が存在し、「ヘイセイプロジェクト」で「レイワ」というワードを使っていたことで軽くバズっていました。
(遡ってみたら当該ポストが削除されていたっぽいので夢だったのかもしれないです。。)

ここからは「ツユ」結成までの過程を「ぷす」さんに焦点を当てて紹介させて頂きますが、全部説明していくととんでもなく時間が掛かるのでダイジェストで紹介させて頂きます(それでも長いですが)。



「ヘイセイプロジェクト」が落ち着きを見せ始めた頃、「n-buna」さんや「orangestar」さんら新星ボカロPのネットシーンでの躍進を受け原風景系の楽曲を投稿し始める。



ぷすさんが公然にバチバチに意識している「まふまふ」さんが自身で作ったボカロ曲をセルフカバーするシンガーソングライター活動を始めたことを受け歌い手活動を始める。



「まふまふ」さんが「そらる」さんとの音楽ユニット「After the Rain」を結成したことを受け「みやかわくん」との音楽ユニット「みやっぷす」を結成する。



「みやっぷす」解散


歌い手の「スタンガン」さん、「しゃけみー」さんとの音楽ユニット「しゃけぷすたん」を結成する。





「しゃけぷすたん」解散&歌い手活動の引退を発表





歌い手活動を引退し、「n-buna」さんが「ヨルシカ」としての活動を始め、ボカロP+女性ボーカリストの2人組ユニットの形態が流行し始めたことを受け「ツユ」を結成。





ピアノ担当の「miro」さん加入






「ツユ」のイラスト担当の「おむたつ」さん、アニメーション担当の「AzyuN」さんが卒業(「AzyuN」さんは現在もツユの活動に深く関わっています)





SNS大暴れ





「ツユ」活動休止





「ツユ」活動再開





ピアノ担当の「miro」さんが卒業





現在に至る



…とこのようにかなりのダイジェストでお送りさせて頂きましたがこれを見ただけでもぷすさんは何度も音楽シーンの変遷に合わせて自身のスクラップアンドビルドを繰り返し続けた結果として現在の成功に繋がっていることが分かって頂けたかと思います。

SNS大暴れに至っても時期的に「東海オンエア」の「しばゆー」さんの一件の模倣では…?と思う部分もありますが、個人的にはただただ格好付けてるだけの自分にメリットしかないファッション的な尖りがあんまり好きではないのでこういったぷすさんのようなただただ自分にデメリットしかない尖りは突き抜けていてわりと好感が持てます。自分から流行にアジャストしておいて一方的にファンを突き放すのはマッチポンプすぎない?と思う部分もないわけではないですが。


ここから更に個人的な考えになるのですが、バトル漫画などで「コピー能力」を用いるキャラクターって皆さん1度や2度見たことがあると思うんですけど毎回よく分からない方法で倒されていたりしませんか?
「時を止める能力」や「コピー能力」などのある種のチート能力を持ったキャラクターは強過ぎるが故に主人公が倒す手段が見つからなかった結果、使用時間や使用回数などの制限を掛けられることがとても多いです。
そのため、ぷすさんが音楽シーンを生き残るために繰り返し行う「変心」は「コピー能力」の使い手が制限を掛けられなかった世界線での姿を見ているようで個人的にとても興味深いです。

もちろんこれはぷすさんの類まれなる音楽センスが前提での話ですが、「ツユ」がぷすさんの「変心」の光の部分なのだとしたら、今後の音楽シーンの状況によってはその「ツユ」でさえも影の部分になってしまう可能性も正直否めないと思っています。
だからといってぷすさんのありのままの姿を受け入れろと強制しているわけではなく、「ツユ」が目まぐるしく移り変わって行く音楽シーン生き残り続けている間はぷすさんのこの「変心」を「個性」として面白がるというのも一つの楽しみ方なんじゃないかなーと個人的には思っています。


最後に、「ツユ」および「ぷす」さんの個人的なおすすめの曲を幾つか紹介させて頂いてこの超個人的ツユ論を締めさせて頂こうと思います。



個人的なおすすめの曲5選


①『やっぱり雨は降るんだね

最初にツユの楽曲を聴いて衝撃を受けたのがこの楽曲だったというか、自分は音楽的なことは何も分からないですけどたまたまぷすさんのTwitterを覗いたらこの楽曲が投稿されて間もない頃で、まーた心変わりしてるわと思って聴いた瞬間「あ、売れるわ」と思ったことを覚えています。
わりと早い段階でぷすさんの作曲センスは完成していたと思うので後はコンセプトというか見せ方の問題でしかなかったと思うのですが、ここまでクオリティーの高い正解の一手を打てるものなのかと思わず舌を巻きました。



②『くらべられっ子

この「ツユ」というユニットの形態は当時流行していたボカロP+女性ボーカリストの2人組の音楽ユニットを踏襲したものなのである程度売れはするけど突き抜けることはないのかな、と当時若干失礼なことを思っていました。
そんな中で投稿されたこの楽曲は自分がぷすさんの魅力として感じていた「治安の悪さ」が完璧な個性として表現されていて、あれよあれよと5,000万回再生まで到達し、突如音楽シーンに現れた新星としてツユは評価されていくこととなったのを覚えています。



③『ダーリンドール

「じっぷす」時代の楽曲で一番好きです。何やかや回数で言えば一番聴いている気がします。何か癖になる曲です。ニコニコ動画にしか投稿されてないのが少しもったいない気がする名曲です。



④『下剋上

『ゼンセイキバクダン』と悩んだのですが1曲くらいはぷすさんが完全にセルフカバーしている曲を選びたかったのでこちらの楽曲を選びました。
ぷすさんってキャラソン的な楽曲を作るのめちゃくちゃ上手いですよね。キャラソンって予算を掛けて作られているわけではないため良曲が少ない(私見です)印象があるのですがぷすさんは純粋に作曲能力が高いのでその辺のキャラソンとは一線を画すレベルの仕上がりになっているのだと思います。



⑤『泥の分際で私だけの大切を奪おうだなんて

『くらべられっ子』以降あんまりツユの活動を熱心に追っていなかったのですが、昨年末の騒動を受けてツユさんのアルバムを『アンダーメンタリティ』まで全部聴いてみた中で一番頭に残ったのがこの楽曲でした。YouTubeを確認したら3,000万回再生されていてツユの全楽曲の中で2番目に伸びており、何ならコミカライズもされていました。納得の完成度です。
詞が今まで見たことのない視点で書かれており(悪役令嬢に転生する小説が流行っているらしいのでその文脈でしょうか。歌詞に活かされているのは初めて見ました)、何じゃこれすごーとなりました。



終わりに


ちなみに、MVが公開されていないので紹介しなかったのですが今1番聴いているのは「これだからやめらんない!」というアルバム収録曲になります。
底抜けに明るい曲のはずなのに3rdアルバム『アンダーメンタリティ』に収録されているせいで皮肉としか解釈できない構成になってしまっているのが好きなポイントの1つです。麻薬か?ってくらい聴き心地が良く秒で曲が終わります。おすすめです。


そしてこれはメルカリで500円で購入したぷすさんの直筆サイン入りポストカードです。下積み時代が長いアーティストはとにかくCDを売るために直筆サインを量産するので基本オークションサイトでは価格崩壊が起こっています。努力の結晶だと思います。


ラスノさんについての記事を書いた時も思ったんですけどただただ好きなアーティストについて覚え書きとして個人的な感想を書いているだけなのでオチに困るとこうやって適当なタグに引っ掛けて終わらすのそろそろ卒業しないと…。



安すぎるサインって絶対に偽物じゃないという謎の安心感がありますよね。それではまたどこかの機会に。

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