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069_ホワイトデー ~匂いに導かれて~

3月16日(月)
19時05分
予約していたお店に到着。
ボクは、どのタイミングで、
バレンタインデーのお返しを渡すか、
見計らっていた。

まずは、
会っていなかった1週間の話を
お互いに話をした。

だいたい彼女が、7割くらい。
ボクは、3割くらい。
そんな調子で、ボクらの会話は、
いつも成り立っていた。

ボクは彼女の話を聞きながら、
彼女の顔を見ているだけで幸せで、
それを素直に彼女にも伝えた。

彼女はいつも照れくさそうに、
「ありがと」っと、
必ずお礼を言う。


「じゃ、そろそろ」
「何???」

「バレンタインデーのお返し」
「あ、それね!」

「うん、まず1つめは、これ」
「1つめ?」

「うん、どうぞ」
「わぁーーありがと!これめっちゃ好き」

有名なお店のマカロンが1つめのお返し。
以前、彼女がもらったら嬉しいと
言っていたことを
真に受けて、それを買ってきた。

マカロンが4つ入っていて、3,000円。
1つ750円のマカロンって、
どんな味なんだろう。
ボクはそんなことを思いながらも、
彼女の喜んでいる姿を見て、
嬉しくなった。

「どうしよ、今食べたい・・・」
「食べたいなら食べたら?」

「うーん、どうしよー、もったいない」
「さやかが決めたら?」

「うん、じゃあ1つだけ食べる!」

彼女は箱から1つマカロンを取り出し、
パクっと、ひとくち食べた。

「うわぁー、めっちゃ美味しい」
「そうなんだ、それはよかった」

「これ、止まらないわ・・・」
「そんな美味しいんだ」

「大切に食べるね、自信ないけど(笑)」
「一気に食べちゃいそうだね(笑)」


ホワイトデーのお返しと言えば、
マカロンなんて定番すぎて、
ボクは、嫌だった。

だから、
「じゃあ2つめね、どうぞ」
ボクは鞄からピンクの箱を取り出した

「あ!!これ!」
「そう、初めてこのお店に来たときに、話したよね」

「うん、覚えるよ」
「一緒の香水が好きだなんてね、びっくりしたよ」

「ね、びっくりした、これすっごく好きなんだ」
「俺もこの匂い大好き、ごめんね、大きいサイズがもうなくて」

「全然、これなら持ち運びできるね」
「もう廃盤になっててさ、このサイズでも見つけるのが正直大変だったんだ」

「そうだよね、探してくれたんだ!ありがとう」
「さやかがこの香水つけたら、最強だな、どこにでも着いていってしまうな」

「じゃあ、会う時はいつもつけるようにしょう」
「他のお客さんが、さらにさやかのことが好きになったら嫌だけど」

「あ、また焼きもちだ(笑)」
「そうだよ」

「大丈夫、一緒にいるときにしかつけないから」


あっ、
ボクの期待通りの反応
こんなことを言う彼女が
また好きになる。