『その病気、その疲労、「隠れ油」が原因です!』はちょっと言い過ぎな話

日本が少子化なのも、オリックスバファローズが勝てないのも、油のせい!

...っていやいや。とツッコミを入れたくなるのが、本日の一冊「その病気、その疲労、「隠れ油」が原因です!」です。

はじめに言っておきますが、特定の油脂の取りすぎも少なすぎも健康へ悪影響を及ぼす可能性があります。

体質による個人差はありますが、結局は「バランスの取れた食事」というところに落ち着くわけですね。その上で。

しかし、本書。とにかく植物油を悪者にしています。

少子化なのも植物油のせい。これは食の欧米化に伴って植物油の摂取が増え、そのせいで男性の生殖機能に悪影響が出たからだ、としていますが、これは「相関関係」と「因果関係」を混同している気がします。

FACTFULNESSでも指摘されていますが、「少子化」は日本だけでなく、世界の様々な国でみられています。

「少子化」は、社会構造の変化や衛生環境の向上など、複数の要因が重なった結果と言われています。短絡的に少子化と油を結びつけるのは、ちょっと無理がある気がします。「因果関係」に注目しないとアカンですよね。

同じように、オリックスバファローズが弱いのも油のせい、としています。しかしそうすると、個人成績の良い吉田正尚選手や山本由伸選手が、説明つかなくなるんですよね。彼らは油のおかげで成績がいいんでしょうか。

また、健康にいいイメージのあるオリーブオイルについては、こう述べられています。「国内で使用されているエクストラバージンオリーブオイルの8~9割は、エクストラーバージンオリーブオイルと他の油のブレンド品ではないか」と。

いやいや、仮にブレンド品が偽装されて流通していることがあったとしても、確たる証拠も示されずに、8~9割はさすがに言い過ぎではないでしょうか。ちゃんと製造している製油メーカーは激怒しないんでしょうか。

また、何かとラードなど動物性油脂を持ち上げる本書。「植物性油は成分がよくわかっていないものがある」としていますが、それ動物性油脂も同様ですからね。

食品の成分って、全部が全部わかっている訳ではないのです。いまだよくわかっていない必須の栄養素が隠れているかもしれない、だからこそ、バランスの良い食生活が求められている訳です。

身体に必要なすべての成分がわかっているのなら、カロリーメイトみたいなものだけ食べてりゃいい、って理屈になっちゃいますからね。

と、いう訳で、「ツッコミを入れたい!」という欲求にあふれた方にはおすすめの一冊ですが、正確な情報を知りたい、という方は各種書籍を読み比べることを強くおすすめします。


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