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Events|Matka / 旅とリネン 〈本多 康司さん写真展 「遠くの水辺」 インタビュー〉

7月29日(金)よりはじまりました、「Matka / 旅とリネン」。表参道店では期間中、本多康司さんによる写真展「遠くの水辺」を開催しています。風景や建築、ファッションなど、様々なジャンルの撮影で活躍する本多さん。本展では、フィンランドの湖水地方、プンカハリュ・ヨエンスー・コリ・バルカウスなどを旅した際に、フィルムカメラで撮影した風景写真をご紹介しています。今回は本多さんに、旅や展示作品についてのお話を伺いました。

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ーgoogle mapで見た湖ばかりの地形に魅せられて、フィンランド湖水地方へ旅することを決めたという本多さん。実際に訪れてみていかがでしたか。

ヘルシンキにも立ち寄ったのですが、比べて湖水地方は森と湖、自然ばかり。人にはほとんど会いませんでした。水辺を歩いているのが本当に心地良くて、水の流れや風、そういうものだけを感じる場所っていいな、と思いました。レストランやお店がたくさんあるわけではないので、ゆっくりせざるを得ない。その雰囲気が気に入りました。

ー旅をするなら、自然が多い場所の方が好きですか。

観光地や特別な場所に行って、すごい!と思うこともあるし、魅力もあります。でも街にいると、何を食べよう、どのお店に行こう、あの美術館に行こう、みたいなことが考えの中心になりますよね。

フィンランドは一人旅だったこともあり、旅の間もよく自分のことや日本のことを考えていました。もちろん、良い写真を撮りたいというのもあるけれど、いつもそういうことを考えながら旅をしていることが多いんです。普段当たり前の存在になっている家族のことも、あらためてゆっくり想ってみたり。

特に遠く離れた海外にいると、より客観的に自分のことを考えることができる。遠くに行くこと、旅の価値はそこなんじゃないかと思っているし、そういう風に、ゆっくりと考え事ができるのは、自然のある場所のような気がします。


ー今回の展示では「旅」をテーマに、本多さんご自身にお写真をセレクトいただきました。主に湖畔、水辺の風景になりましたね。

こうやって並べてみると、青くて似たような写真ばかりですね笑。湖水地方に何日か滞在しましたが、同じ湖の風景でもしばらく同じ場所にいると変化や違いに気付きます。自分がいた湖の前に立っているような感覚を一緒に味わってもらえたらと、今回の展示はあえて同じような写真を多く並べてみました。

ー同じ湖面の写真でも、雪が降っていたり、雨が降っていたり、天候や日の入り方によって、さまざまな表情を見て取ることができます。

例えば、展示写真のひとつ、コリ国立公園の写真は、行ったことがある人が見たら、すぐにここがフィンランドであるとわかるでしょう。ですが、水面や草木の写真は特別な風景ではないし、日本の池と言われたらそう見えるかもしれない。撮っている時も、こういう風景って日本にもあるなぁと思っているんですよ。でも、それでいいんです。むしろ、そういうところが自分の中では大事だと思っています。何気なく過ごしている日常の中にも、さまざまな場所に目を向けると輝く景色が潜んでいる、そんなことも思い出すきっかけになったら嬉しいです。


ー再びフィンランドを旅するとしたら、どんなところに行きたいですか。

湖水地方にもまた行きたいですが、今までの旅は秋や冬だったから、次は夏に行ってみたいです。誰もいない湖に浮いて、空を眺めてみたいです。

ー次のフィンランド旅ではどんな風景が本多さんに目に映るのか、私たちもとても楽しみです。この度は、いろいろなお話をありがとうございました。

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写真展は8月21日(日)まで開催しています。フィンランドの美しい風景に思いを馳せながら、ひとときのフィンランド旅気分をぜひお楽しみください。


本多 康司
1979年愛知県生まれ、兵庫県育ち。熊本大学工学部卒業。長野博文氏、泊昭雄氏に師事後、2009年に独立。コマーシャルフォトグラファーとして広告や雑誌、書籍を中心に活動。一方で主な作品制作として、「suomi」「集合写真」「madori」「wander-めぐる」「Trans-Siberian Railway」を発表。
www.honda-koji.com