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Design&Art|フィンランドのアートと人を巡る旅 〈07.長い冬が生み出す光のアート〉

LAPUAN KANKURIT
アアルト大学院でアート教育やアート思考を学ぶまりこさんが、フィンランドのおすすめスポットやイベント、現地に暮らす人々の声をお届けします。

1 ヘルシンキ中央駅

フィンランドでは、10月の終わりから少しずつ日が短くなり、12月では明るくなるのは朝9時頃、15時過ぎには暗くなってしまいます。この時期は9時に起きても早起きした気持ちなるのが不思議です。フィンランドに来るまでは、太陽がいつ昇っていつ沈むかなどあまり気にしていませんでしたが、こちらに来てから空を見上げる機会が増えました。日本に行ったことのあるフィンランド人が「日本の冬は晴れの日が多くて冬でも明るくていいよね!」と言っていたことをふと思い出します。

2 イルミネーション

特に11月は曇りの日が多く、光が恋しくなる時期。11月27日には街中のクリスマスイルミネーションが始まり、あたたかい光に包まれています。今回は、そんな日照時間が短いフィンランドの冬を彩る「光」にまつわるお話をお届けします。


ライトフェスティバル

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10月から新年にかけて、フィンランドではライトフェスティバルがあちこちで開催されています。11月中旬、私はヘルシンキの中心から地下鉄で30分程のところにある自然豊かな住宅街、ヴオサーリ(Vuosaari)で開催されているヴオサーリライトフェスティバル(Vuosaari Light Festival)に行ってきました。

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このフェスティバルは、フィンランドのパフォーマンスアーティスト団体・クロックリケテアテーン(Klockriketeatern)が主催しています。地元のアーティストや団体とクロックリケテアテーンが共同で企画をしていて、当日は地元の人たちの話や経験をもとにしたオリジナル合唱曲「Kangaslammen rannat」(「カンガスランピの海岸」の意味)のお披露目などもありました。

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サックス奏者のカイサ・シーララ(Kaisa Siirala)が合唱曲名の由来となった湖の上で手漕ぎボートを使って演奏するパフォーマンスも。地元の人からは、「自分の物語がアートになり、誇りに思えた」 「どんな人の物語にも伝える価値があると感じた」などの感想が寄せられているようです。

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フェスティバルに家族で来ている人も多く、子供向けに紙を使ってトーチライトを作るワークショップがあったり、風船やコーヒーが売っていたり、地元のお祭りのようなアットホームな雰囲気。

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「このイベントは、ヘルシンキ市が “人々にアートを身近に感じて欲しい”と始めた『ヘルシンキ・モデル』の取り組みのひとつ『ヴオサーリ21』の一環で、私たちクロックリケテアテーン、ケーオーエムシアター(KOM-theater)フィンランド写真美術館(Finnish Museum of Photography)のコラボレーションによる6年間のコミュニティアートプロジェクトで、“良い人生とは何か”をテーマに企画したんだよ。」「そして、1年でいちばん暗い時期を迎えた今、“光に別れを告げ、春の新しい光を待とう”というメッセージも込めているんだ。」

フェスティバルを企画したクロックリケテアテーンのイダ・ロゼンブラド(Ida Rosenblad)がこう話してくれました。

月がとても綺麗な夜で、湖に映った月をみていると、みんなでキャンプファイヤー囲んでいるような気持ちに。当日は-3度だったので、着こんでいても足から冷えてきましたが、やわらかい光に包まれて温かな気持ちになりました。


月明かりと冬のサウナ

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フィンランドでは湯船に浸かる習慣があまりなく、マンションにも湯船がないことが普通なので、寒い冬に体を芯から温めるにはサウナが欠かせません。先日、ヘルシンキの中心地からバスやメトロで30分程の場所にあるソンパサウナ(Sompasauna)に行きました。ソンパサウナは365日24時間空いているボランティアの人たちが運営している無料のサウナです。

14 Sompasauna 昼

ソンパサウナは海沿いにあり、サウナで温まった後は多くの人が海に飛び込みます。私も全身浸かってみました。この日は気温が0度近かったので、とても勇気が入りましたが息を吐きながら冷たい海に入り、水から上がるととてもリフレッシュした気持ちになりました。余計な考えや邪念がスーッと海の中に消えていきます。

15  Sompasauna 夜

夜になると皆、ビールやサワーを片手に語っています。この日は晴れの1日で、冬の夜空に輝く月がとても綺麗。月とキャンドルのあかりに灯されたサウナで話す時間は格別です。

温泉には水着で入りたくない感覚に近いのか、ソンパサウナでは男女問わずに裸でいる人が多いことに驚きました。そのことを話すと「サウナでは隣に億万長者が座っていても裸だからわからないんだよね、サウナは皆が平等な場所だよ。」とサウナで出会った人が言っていました。サウナは誰もが社会のステータスを捨て、リラックスする場所なのだと改めて思いました。


自然環境に向き合い、暮らしを楽しむ

落ち葉

外が暗いがゆえ、室内を心地よい照明で彩っている家をよく見掛けます。ベランダや窓辺をライトで飾っている人も多く、そのライトを見るのが散歩中の楽しみでもあります。そして地面に目を向けると、凍った木の葉がキラキラと光り、夜道を照らしてくれます。

変えることのできない厳しい自然の摂理に向き合っていると、今まで気付かなかった自然や光の美しさを発見したり、自然への思いが高まるように思います。フィンランド人が持つ「そこにある自然を尊重しながら生活を楽しむコツ」を少し掴めた気持ちになりました。


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