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Trip|私のフィンランド探訪記 〈09.日本で感じるフィンランドなサウナ〉

フィンランドの美しい自然とデザイン、そこに暮らす人々に魅了され、その魅力を発信する活動を行うイラストレーター・フォトグラファーの入海ヒロさんがお届けする、“読む”フィンランド旅。今回は番外編、“日本で楽しむフィンランド”のお話です。

日本にいながらフィンランドを感じることを、フィンランド好きな人たちの間ではフィンランド活動、略して「フィン活」と呼んでいます。フィンランドのお菓子を作って食べることも、雑貨を買って楽しむことも、フィン活。私にとってサウナもフィン活のひとつです。中でも自然の中で味わうサウナは格別。今回は私が体験した日本でフィンランドを感じたサウナと、家でも楽しめるサウナアイテムをご紹介します。


フィンランド式サウナ 長野県・The Sauna

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まずは日本で味わえるフィンランド式サウナをご紹介します。長野県信濃町のゲストハウス LAMP野尻湖内にある「The Sauna」。サウナーの間では、言わずと知れた人気のサウナ施設ですよね。私が訪れたのは雪深い2月。湖を一望できる森の中にあり、まるでフィンランドの湖畔に立っているかのような気分になれるロケーションです。

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ゲストハウスのすぐそばにサウナがあります。雪の中にたたずむサウナ小屋。おじぎをして入るほどの小さなドアの中は、薪ストーブの中でゆらめく炎と、小窓から入ってくる雪明りだけというほの暗さ。聞こえてくる音も、薪が燃える音だけ。サウナを味わうことに集中できる空間です。温度設定は約80度と柔らかめなので、じっくり時間をかけて汗をかくことができます。

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しっかり温まったら、山水かけ流しの水風呂へ。思わず「ひゃあ!」と声を上げてしまいます。手足が凍りそうにチリチリする感覚、あまりの冷たさに、10秒ほどで飛び出しました。氷に穴をあけて入る、フィンランドの「アヴァント」はこれ以上に冷たいのかな、と思うと身震いします。続いて水風呂に入る人もみんな「ひゃあ!」。笑いと悲鳴が混じったような声がサウナの中にいても聞こえてきて、サウナ内の一同も思わずクスクス。

サウナの中で常連さんが「サウナって、こうやって知らない人同士が同じ空間で過ごして、話したり、心地良さを感じたり、それを共有できるところがいいですよね。」と仰っていて、深くうなずいたのでした。サウナには人と人とを近づける不思議な力がありますね。フィンランドの公衆サウナで、外気浴をしながら地元の人たちと笑い合った時のことを思い出しました。

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サウナと水風呂の温冷交代浴を数回繰り返すと、体中がぽかぽかになり、雪の舞う中でも寒くありません。ととのい椅子に腰かけて「極楽」を感じました。

LAMPでは次々と新しいサウナ棟が増えています。サウナ棟にはフィンランド語の数字の名前が付いていて、これまでのyksi(1-ユクシ)・ kaksi(2-カクシ)に加えて、2月からは kolme(3-コルメ)・ neljä(4-ネリャ)がオープンになったそうです。フィンランドを感じることができる、何度も訪れたくなるサウナです。


テントサウナ

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以前、GOKANSAUNAさんが広島で不定期開催しているテントサウナイベントに参加しました。テントサウナとは、サウナ用テントの中をストーブで温め、キャンプ場などでサウナを体験できるものです。フィンランドではもともと軍で兵士がサウナに入るために、持ち運び可能なものとしてテントサウナが誕生しました。過酷な状況下でのリラックスアイテムだったテントサウナが、現代では非日常を楽しむアウトドアレジャーへと進化したのですね。

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こちらがテント内のストーブ。温度と湿度を好みに調節できます。熱せられたサウナストーンに水をかけた時の、ジュッという音が心地よく、ついつい何度もロウリュしてしまいたくなります。

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テントの窓から見える景色。心身ともにリラックスへと導かれます。温まった体をクールダウンさせるのは、天然の川。大人になってから川に入るという童心に戻るような体験は、日々の疲れや悩みを忘れるほどの解放感です。

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自然の水風呂のあとは、椅子に掛けてひと休み。肌に感じるやわらかい風、木々の葉が揺れる音、鳥の声が心地よく、リラックスが深まっていくのを感じます。

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サウナアイテムをファッションとして気兼ねなく自由に楽しむことができることもテントサウナの魅力のひとつ。水着やサウナハット、ポンチョなど、お気に入りを選んでみんなと披露し合うのも、テントサウナの楽しみです。ビーチサンダルやサウナタオルもお忘れなく。

川や湖などの天然の水風呂や、絶景の中での外気浴を存分に楽しめるテントサウナ。一度体験したらやみつきになりますよ。テントサウナ一式をレンタルすることができるキャンプ場などもあり、気軽に楽しめるようになってきていますので、お近くのテントサウナスポットをぜひ見つけてみてくださいね。


家でも楽しめるサウナアイテム

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ここからは、私のお気に入りのサウナアイテムをご紹介します。まずは、フィンランドの天然石から生まれたHUKKA DESIGNのマッサージストーン、TAHVOくん。サウナストーブの上に置いてロウリュするサウナストーンとしても活躍しますが、家では一番見える場所に飾っておきたくなる愛らしいオブジェです。

いつも微笑みかけてくれているTAHVOくん。手のひらにすっぽり収まるサイズなので、出掛ける時はバッグに忍ばせて、外で写真を撮ることもあります。自然の中に置いてみると、まるで森の小人のように馴染むのです。連れ出してみたくなりませんか?

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そしてこちらもフィンランド生まれ、OSMIAの白樺アロマオイル。TAHVOくんのとんがり帽子にちょんちょんと付け、部屋でヴィヒタやロウリュの香りを疑似体験しています。もちろん、サウナで実際に水に入れてロウリュすると、爽快な香りに包まれますよ。

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こちらは、白樺の枝を束ねたヴィヒタ。サウナ内で水につけたヴィヒタで身体を叩くと、ほのかに白樺が香り、血行促進の効果もあるとか。

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北海道から白樺の枝を取り寄せて、自分で作ってみました。見よう見まねのヴィヒタですが、部屋の壁に飾るとスワッグに変身。サウナアイテムは、出番を待つ間もインテリアとして目を楽しませてくれます。

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最後に、愛用しているLAPUAN KANKURITのアイテムをご紹介します。玄関にハンカチを入れておくカゴのように使っているこちら、実はリネンのサウナハットなのです。サウナ以外の時にも使いたいなと考えていたところ、逆さにしてみたら、ちょうど四角いカゴのようになって、ハンカチのサイズとぴったりだったのです。

サウナは特別な日のアクティビティであり、毎日の入浴と変わらない日常のものでもあります。サウナアイテムは、そのどちらにも寄り添ってくれるものが多く、サ活の余韻を味わえます。


今回は自然の中で楽しむサウナと、サウナアイテムをご紹介しました。外の風が心地よい今の季節、自然の中のサウナでフィンランドを感じてみたり、家でのリラックスタイムにサウナアイテムを取り入れてみたり、それぞれの「フィン活」「サ活」をお楽しみくださいね。


栗原さん

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