#272 人と比べるのは悪いこと?
知人の昇進や転職の報告を心から喜べない
同期の昇進を聞いたとき、
私は心から喜ぶことはできませんでした。
✓ 同期で昇進したのは皆男性
✓ 数年前に遡っても先輩の中で昇進したのは皆男性
相手に「おめでとう」という言葉を送りながらも
どこかで悶々としている日々を送っていました。
私の他にもこんな人、いたりしませんか。
これは私の心が醜いからなのか。
当時はそう思っていましたが、
脳科学の観点から見ると、この状況を責める
必要はないという話を聞きました。
今回はその理由についてお伝えします。
1.他人と自分を比べる理由
子どもの頃は「他所は他所、うちはうち」と言われ、
大人になってからは、SNSなどを見て一喜一憂。
このような人は多いのではないでしょうか。
他の人と自分を比較する理由は大きく2点あります。
✓ 自己評価のため
✓ 自己肯定感を高めるため
(1) 自己評価のため
私たちは、社会生活に対して
「適応」していく必要があります。
適応的に社会生活を行うためには、
自分の能力やおかれた環境・立場
をよく知っていることが不可欠です。
そこで、私たちは常に、
「自分は果たして正しいのか?」
「自分の能力はどの程度なのか?」
ということを確認するために、
他者と比較をしてしまうと言われています。
特に自分と似ている人との比較は
評価をする際に有効だという結論を
出している研究もたくさんあります。
(2) 自己肯定感を高めるため
人と比較をするといっても、
✓ 自分より少し優れた人と比較する「上方比較」
✓ 自分より少し不幸な人と比較する「下方比較」
の2パターンがあります。
上方比較は、ライバル心をもやすことで、
自身の向上につながるという側面を持ちます。
下方比較は、自分より下、と思う相手と比較し、
自身が幸福感などを得られるという側面があります。
中でも、自分より優れている点がたくさんある、
と思っていた相手が自分より不幸になると喜びを感じやすく
なることも明らかにされています。
脳も喜びの反応を示すので、程度差はあれ、
誰にでも起こりうる感情です。
そのため、人の不幸を聞いて
ホッとすることがあっても、
自分を「本当に嫌なやつだな」と
卑下する必要はありません。
人の不幸を喜ばないでいられればよいのですが、
より悪い状態と比較することで
自身の心の安定を保つことも分かっているので、
悪いものとしては扱われていません。
2.比較しがちな人
では、どのような人が比較しがちなのかというと、
自分の考えで判断することより
相手から見られる自分を気にする人
です。
自分に自信がないので、
誰かと比較することで初めて
自分を認められたと感じることができます。
特に日本人は、全体的に
人とのつながりや調和が大切
と考える傾向があります。
そのため、つい人と比べてしまう、という人が多く、
悩む人も少なくありません。
3.まとめ
いかがですか。
私たちは、ありとあらゆる場面で
誰かと比較しています。
人と比べる必要はない。
分かっていても人と比べてしまい、
苦しむ人もいるでしょう。
ですが、比較の度合いが過ぎなければ、
人と比較することは、
社会に適応する上で必要な機能でもあります。
多少、人と比べてしまうことは受け入れながら、
必要以上に比較をしないよう、
自分の心を保ちましょう。
今回はこれで終わりにします。
ではまた。
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