休職を決意するまで②

会社で倒れた日

配置転換後、心機一転頑張ろうと思って会社へ行ったが、涙が止まらなかった。パソコンを打っていても、書類を見ていても、電話をしていても、涙が流れてくる。

もはや自分の状態が正常なのかどうか、自分自身で分からなかった(書いている今もつらい)。

ミーティング後、ずいぶんとよく面倒を見てくれたキャップ(先輩)が心配して声を掛けてくれた。

「そういえば、●●さん(警察幹部)に体調が悪いってこと言うてなかったんやなあ。●●さんが知ってると思って、体調のこと言うちゃった」

えー!どんなに体調が悪くても、それを隠してやってきたのに。「あの子、体調悪いからやめちゃってん」って言われたくないから、ずっと平気な顔して、空元気でやってきたのに!なんで!

「秘密にしてたのに・・・何で言っちゃたんですか」

そう声を振り絞って言った後は、涙が止めどなく流れてきて、トイレに駆け込んだ。個室に入る前に体の力が抜けて、倒れてしまった。涙は止まらないし、鼻水は出るし、体から血の気が引いて気持ちは悪いしで、最終的には息が吸えなくなった。

過呼吸でゼーハー言っているところに、女性職員の人が入ってきて助けてくれた。「歩けますか、大丈夫ですか」って言われて、「手さすってください」って手とか足とかさすってもらった。

しばらくすると、動けるようになったので、もう帰らないと死ぬと思って鞄を取りに戻った。

パニック発作だったのかな?

涙が落ち着いている間に帰ろうと思ったが、キャップが「ごめんね」と話し掛けてきた。「そんなに詳しい話はしてないよ」と。思い出すと、また悲しくなっちゃうんですーと思いながら、廊下に出た。

「ハイヤー乗って帰り!でも、今日はZさん(私にセクハラをしてきた人)しかおらへんねん」とキャップが勧めてくれる。

セクハラとパワハラをしてきた運転手のZ、不倫したからとかわらえへん冗談を言うてきたX、事実を知ってるのに噂を流したY。誰の名前も聞きたくないねん!思い出したくない!と頭が悲しみから、怒りに切り替わった瞬間、これまた足の力がヒュっと抜けてしまった(思い返すと、怒りや悲しみの強いエネルギーが心や体に影響しているのだと思う)

最初、泣いてて下が見えないから、転けたのかと思った。だけど、息ができなくて、足も手もガタガタと震える。冷たくて寒い。ぐるぐる目が回る。

「救急車呼ぶか?どうする?」

いや、救急車はいらん。意識はあるもん。でも、涙も止まらないし、息ができない。体は震えるし、喉がきゅーってなって声が出ない。でも、キャップの前で倒れるのは2回目だったから、「前と同じです。少ししたら大丈夫」って伝えた気がする。

女性の先輩たちが駆け付けてくれて、足や手をさすってくれた。寒くて寒くて、凍え死にそうだった。誰かが布団を掛けてくれて、少しずつ落ち着いていった。

しばらくすると、女性の先輩と警備員さんたちが休憩室まで運んでくれた。体の震えと冷えが取れない。1時間くらい女性の先輩たちが代わる代わる世話をしに来てくれて、話も聞いてくれた。眠くなって30分くらい寝た。目が覚めて、休憩室の天井を見ながら、「これだめだわ、私」と思った。

休職の勧めに耳を傾けてみた

「環境がもうすぐ変わるから頑張ろう」「環境が変わったから頑張ろう!」。いつも心は頑張ること前提だった。だけど、感情も体調も追いついてこない。

倒れた日の翌日、H先生のところへ行った。私の顔を見るなり、「休みますか」と言ってくれた。「はい。2週間くらい」と答えると、「もう頑張るのやめていいんですよ。1カ月で診断書は出しましょう。長めにとって、やれそうだったら仕事すれば良いんです」と。

すぐに診断書を書いてくれた。診断書には「うつ状態で就業不可」と記されていた。「わたし、うつ状態なんだ」と思うと、また涙が出てきた。

H先生に、「何をしていても悲しい思いが頭の中から消えない」と相談してみた。

「そういう時は味わってください」

「え?食事するということですか」

「いいえ、今、換気扇が回っている音聞こえてますか?」

「いや、耳の調子はまだ良くなくて」

「いえいえ、換気扇が回っている音が聞こえますか」

耳を澄ますと、カタカタ、ゴーゴーという音が聞こえる。

「意識すると聞こえます」

「マスクをしている口元の感触はどうですか」

「マスクがざらざらしてます」

「靴の中は?」

「汗をかいていて気持ち悪いです」

「そうです。そんな具合に、あなたがいる、今を味わってください」

その時はそのアドバイスにふーんとしか思わなかった。けど、帰りの公園で立ち止まって味わってみた。遊ぶ子どもの声、座ったベンチの冷たさ、葉と葉が重なって揺れる音・・・。味わって集中している間は悲しさや怒りの感情がわいてこなかった。

「よく頑張ったよ~」

見る元気がなかったスマホを見たら、先輩や同期、後輩たちからメッセージが入っていた。今までよく頑張ったよ、休んでもいいんよ、そんな言葉が記されていた。

既に休職を経験した先輩からも、「どうせ有給の消化やで。当然の権利や。もっと気軽に休めばいいと思う」と背中を押された。実は、診断書だけもらって出さずに頑張ればいいかなとまだ2割くらい思っていたので、その考えはポジティブな休職の勧めで吹き飛んだ。

夕方、「会社休みます」と部長に連絡を入れた。いろいろと励ましの言葉をもらったが、あんまり覚えていない。でも、みんな揃って「頑張ったから休めば良いよ」と言ってくれたことが大きかった。

こうして休職して1カ月。少しずつ寝られるようになり、外に出たいと思う気持ちになり、今までのことを記しておきたいと思うようにまでなった。

このままのテンションで、精神的に追い打ちを掛けられたセクハラ問題のことを記しておこうと思う→。

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