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集まりはじめた麻袋

前回からの続きです。

KISSACOで苦労されたことは何ですか?

と、今までも色々な方に尋ねられました。

好きなことなので苦労話として語るのは少し違うかと思いますが、でも強いて言えば麻袋を譲っていただくことだったかもしれません。

前回も書きましたが、麻袋は中身のコーヒーの履歴書のようなものだそうであまり無防備に人にあげることができない物だということをKISSACOを始めてある程度の時間が経ってから、私も知りました。

絵柄が可愛い!
色が綺麗!
それなのに捨てられてしまうだなんてもったいない。

特にエコやエシカルなどの大義や哲学を前提に始めたわけでなく、

大好きな麻袋で長持ちするバッグを作りたい、
そして何より自分が持ち歩きたい、

というとてもシンプルな気持ちで始めたのです。

一番はじめに手にした麻袋は、たったの数種類の絵柄のみでした。

その後、何かのきっかけでKISSACOを知ってくださった数軒のコーヒー店さんから麻袋をいただけることになり、少しずつ絵柄のバリエーションも増えていきましたが、次第に色々な場所で販売を始めるとそれだけでは足りなくなっていきました。

私は麻袋がたくさんありそうな全国の直焙煎店をWEB上でピックアップして、片っ端からお電話をしました。

しかし、上述のようなデリケートな部分もある素材だということもあり、片っ端から断られました。苦笑

「うちは今後も外部の人に麻袋をあげるつもりはないので」

「植木屋さんが植物を包む袋としてリサイクルに前から出しているので」

「マニフェストがあって廃棄しないといけないんです」

「近所の主婦の方に縫製をお願いして、バッグにして販売しているので」

答えは様々でしたが、軒並み断られました。

あまりにもどんどん断られるので、次第に電話するのが怖くなってきてしまい消極的になりました。

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そんなとき、SCAJという年に一回東京ビッグサイトで開催されるスペシャルティコーヒーの展示会の存在を知りました。

SCAJ2020

SCAJ

すでにKISSACOをはじめてから数年は経過していましたが、コーヒーについてはそれほど詳しくもなかったので、そのようなイベントがあることを知りませんでした。

KISSACOは2009年からはじめたので、当時はまだブルーボトルコーヒーも日本に上陸していなかったですし、サードウェーブコーヒーという言葉すらありませんでした。

サードウェーブコーヒー

2015年に黒船のごとく上陸したブルーボトルコーヒーと共に、サードウェーブコーヒーは瞬く間に世間に知れ渡り、ついにはサードウェーブ系男子なんていう言葉までできてしまいましたよね。

サードウェーブ系男子

今となってはシングルオリジンという言葉も浸透して、多くのコーヒー店で産地や農園などから選ぶことができますが、2000年になりたての頃はまだブレンド一種類だけがあり、ホットかアイスを選ぶようなお店が一般的だったように記憶しています。

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右も左も分からないまま、私はSCAJの会場に乗り込みました。


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本来であれば世界各国から集まったスペシャルティコーヒーや熟練したバリスタの淹れるコーヒーのために来場されている方がほとんどですが、私の一番のお目当てはなんと言っても麻袋。

様々なコーヒー関連の会社さんのブースが連なっている中をぐるぐるとまわり、ついに麻袋をブース内にたくさん飾られている会社を一社発見しました。

その会社さんはアタカ通商さんという商社でした。

バリエーション豊富にさまざまな国、農園のコーヒー豆をお取り扱いされていました。

ああ、どうせまた断られるのだろうな。
でもな。
せっかくここまで来たのだし。

恥を忍んで、私は相当に緊張しながらブースの中にいたスーツ姿の方に話しかけ、KISSACOのバッグをお見せしながら麻袋を探している旨を伝えました。

すると、今度会社の方で詳しくお話しましょう、と大変親切に話を聞いてくださいました。

嬉しかったですね〜。
今思い返しても、あの日の出会いのおかげで今のKISSACOがあるのだと感じています。

(それから数年経ち、2018年にはSCAJ内のステージでサスティナブルについてのトークライブで私も登壇させていただきました。緊張しながら麻袋を探し歩いたあの日には全く想像もしていませんでした。)


その後、アタカ通商さんからKISSACOやリサイクルに対するご理解もいただき、私は横浜の大黒埠頭にある倉庫で麻袋を発掘しに行けることになりました。


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あれからもう10年近くになりますが、倉庫で使用済みとなった麻袋を回収し、数千個のバッグを製作してきました。

また、麻袋のバリエーションが増えていくと、
お客様からもたくさんの喜びの声をいただき、
メディアなどでも取り上げていただく機会が増えました。

すると、少し信用が高まったのでしょうか。

雑誌を見ましたよ!
新聞を見ました!

という感じに、共感してくださった各地のコーヒー店さんやコーヒー関連の会社の方から麻袋を寄付しますというご連絡をいただきました。


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たくさんの出会いのおかげでバッグを作ることができているのだと、しみじみ思います。

良きご縁によって作り続けることができたバッグなので、KISSACOを持ってくださる方々に良き出会いがありますように!という想いを込めながらいつもバッグを作っています。

webshopでは、これらの麻袋をWORLD COFFEE MAPとして公開していますので、ぜひお気に入りの麻袋を探してみてください。
WORLD COFFEE MAPを見る

次回は、麻袋をくださっているコーヒー店さんとの取り組みについてお話したいと思います。

今回も最後までお付き合いありがとうございました😊

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