英文記事('Murder Hornets' as Hype)の意訳抄訳(本文1820字程; VOA Learning English, May 11,2020)

(↑英文本文569words)

1.昆虫の専門家たちは、人々は、殺人オオスズメバチと呼ばれる大きな昆虫に対し、冷静でいるべきだとしています。アジア産の大型のオオスズメバチはワシントン州ではまれにしか人を死に至らせません。しかし、ミツバチの巣全体をだめにしてしまいます。こちらの方は既に危険に晒されている状態です。

2.多くの虫の専門家たちは、彼らの言うところのオオスズメバチの「誇張表現」は、1970年代のアフリカ産のミツバチに人々が恐れおののいたことを思い出させると、AP通信に語りました。その昆虫は、殺人バチとして広く知られ、南米から北米に移動して来ていました。これらのミツバチは、テキサス州から合衆国南西部に来襲しましたが、より攻撃的とはいえ、人を死に至らしめることはまれなので、その恐ろしい命名に耐えうるものではありませんでした。

3.今回は、ぎょっとされるような響きの名前を付けられたオオスズメバチですが、専門家はその名前を使わないようにすることを望んでいます。

  彼らは、「殺人オオスズメバチ」じゃなく、単なるオオスズメバチですと、昆虫学者は言っています。

 2匹の大型のオオスズメバチの死骸が、昨年12月にワシントン州で見つかりました。1つの活動中の巣も昨年9月にカナダで見つかり、処分されました。今年は現時点までに生きたオオスズメバチはまだ発見されていません。

4.以下の英文については、英文法や言葉の使われ方に関し興味深いものがありましたので、それらを取り上げて検討するので済まさせて頂きます。

(1)[パラグラフ9] But University of Illinois entomologist May Berenbaum said, “People are afraid of the wrong thing. The scariest insect(s) out there are mosquitoes. People don’t think twice about them. If anyone’s a murder insect, it would be a mosquito.”

 If anyone is a murder insect, it would be a mosquito.と isが短縮形になっているものでしょう。

 もし、何かが殺人虫である(という)なら、それは、蚊でしょう。

と訳せると思います。if節の副詞節が、条件を表す直接法であり、主節(帰結節)が現在時制の仮定法です。ありうる条件なので直接法で書かれており、主節では控えめに仮定法が使われています。直接法と仮定法が混合した文の一例です(mixed conditional)。

(2)[パラグラフ13] But bug experts across the country are getting worried calls from people who wrongly think they saw the Asian hornet. しかし、国中の昆虫専門家たちは、人々がアジア産オオスズメバチを見たと間違って思い込んだことからの目撃情報に、憂慮しつつあります。

[パラグラフ14] “This is 99 percent media hype and frankly I’m getting tired of it,” said University of Delaware entomologist Doug Tallamy. “Murder hornet? Please.” 「これらは99%、マスコミの誇張表現によるものであり、率直に言って、私はうんざりして来てますよ。」と昆虫学者は語りました。「殺人オオスズメバチ?よしてくれよ(うんざりだよ)。」

[パラグラフ15] Bee expert Jerry Bromenshenk said in an email, “One nest, one individual hornet, hopefully, does not make an invasion. ... Do we want this hornet — surely not. But the media hype is turbo charged.” 「1つの巣、1匹だけのスズメバチは、たぶん願わくは、侵襲にはあたらないでしょう。・・・こういったオオスズメバチに来て欲しいかって?確かに否です。しかし(言えることは)、マスコミの誇張表現は、増幅されかねない(ということです)。」

(3)[パラグラフ16] For bees and the people who depend on them for a living, Asian giant hornets could be yet another big problem. But it is not a big problem yet. 

 ミツバチやミツバチで生計を立てている方々にとっては、アジア産のオオスズメバチは今のところ(ダニ,病気,殺虫剤,エサ不足など以外の)他の大問題たり得るものですが、現実には、今のところ大問題とは言えません。

 これも could beと現在時制の仮定法が使われており、「今のところ大問題たり得るかもしれない」が、仮定法で書かれているので、ありそうもないことという意味合いが入っています。ですので、それに続く文で、「今のところ大問題ではない。」と言い切っていいる訳です。

[パラグラフ18] The new hornets would present a different problem. If they get into a hive, they tear the heads off worker bees and the hive mostly dies.

 1文目は、現在時制の仮定法です。

 2文目は、if節も主節も直接法。

(4) 最後に、insect expert昆虫の専門家と bug expert虫の専門家と、同じような言葉が2つ使われており、養蜂業者さんなどを含むものだと思いますが、具体的にどう異なるかはわかりません。これらに対して、昆虫学者は、entomologist, scinentist at the University of .. Entomology Research Museumなどど書かれています。

 スズメバチについても、hornetと waspと2種類の言葉が使われており、hornetは大型のスズメバチを指すようで、オオスズメバチと訳しました(後掲の参考①記事参照)。

 後者の waspは、ジガバチなども含むスズメバチのうち、より小型で攻撃的な蜂を指すようです。日本語のスズメバチと英語の waspとでそれぞれ守備範囲が微妙に異なるように思います。

以上

参考: 

①記事: アジア発「殺人スズメバチ」米上陸 生態系への影響懸念 - 時事通信(https://www.jiji.com/jc/article?k=2020051400644&g=int)。内容は、上掲の VOA Learning Englishの記事(元は、the Associated Pressの Seth Borensteinさんの記事)とかなりダブルようですが、こちらはオオスズメバチも攻撃的な性格と書き、危機感が煽られている感じで、VOA Learning Englishの記事と対照的なのも興味深いです。

②記事: アジア発「殺人スズメバチ」米上陸 | 時事通信ニュース( https://sp.m.jiji.com/article/show/2384380 )

③動画: 


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