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かかる世に影も変らず澄む月を

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2021年8月の記事一覧

2021年8月29日(日)

2021年8月29日(日)

 新約聖書の世界を舞台にした歴史フィクション小説(historical novel)にハマっている(と言いつつ、まだ2冊しか読んでいないのでニワカもニワカだが......)

 最近読んだのはA Week in the Life of Ephesus(エペソの暮らしの一週間)という作品。新約時代、紀元89年のエペソを舞台にした物語である。

 これはIVP Academicから出版されているシリー

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2021年8月27日(金)

2021年8月27日(金)

 ときどき無性に漱石の小説が読みたくなる。これは逃避だ。彼の抑鬱的な「厭世観」に惹かれることがある。漱石自身が手紙のなかで書いている。生は厭わしい、かといって無理に死へと移ることも厭わしい。生と不自然な死を厭うた漱石は、結局生き続けた。他の幾人かの文豪のようには死を選ばなかった。そこにも惹かれる。厭世観を抱きながら、生を厭いながら、その生をまっとうするための生き方を模索したのだ。もしかしたら、その

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2021年8月15日(日)

2021年8月15日(日)

 夜中に寝室を真っ暗にした状態でカーテンを開け放ち、窓から外を見ることがある。別に月や星が見えるわけでもない。ただ住宅と、電柱ならびに電線が間近に見えるだけ。少し遠くにはネオンの光も見える。はるかに電車の音も聞こえる。昭和の面影が残る風景。かえって風情があるなと思ったりする。今日は雨が降っていなかったので久しぶりに窓を開け、窓際で時間を過ごした。とにかく夜風が気持ちいい。なんなら少し寒い。カーテン

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2021年8月9日(月)|聖書の翻訳比較について

2021年8月9日(月)|聖書の翻訳比較について

 聖書を読むときは、複数の翻訳を比べながら読むのがいいと思う。というのは、別に新奇なアイデアでもない。

 解釈上問題のある箇所ーー例えば、Aという解釈とBという解釈との二つの解釈がいずれも妥当な箇所があるとする。Aの解釈を採用した翻訳しか読んだことがなければ、Bの解釈を知ることはできない(良質な注解書などを参照しながら読む場合は例外)。

 「複数の翻訳を比べながら聖書を読むことで、複数の解釈を

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2021年8月5日(木)

2021年8月5日(木)

 ビデオ通話は便利だが、やはり疲れる。

 さまざまな理由があるに違いないが、最近になって、ある違和感に気がついた。

 ビデオ通話においては、話し相手と目が合うことは絶対にあり得ない。

 (厳密に言えば「目が合い合う」ことはあり得ない、ということになる)

 ここで、「僕」と「太郎」がビデオ通話で会話しているという状況を想定したい。

 僕がカメラを見つめれば、太郎の画面には、太郎をじっと見つ

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2021年7月31日(土)

2021年7月31日(土)

 山の中のキャンプ場に行った。着いてすぐ、「虫多っ」と思った。

 いたるところに虫がいた。草むらに入れば虫の感触を感じられるほど虫がいた。建物内に蝉が飛び込んでくるほど虫が身近にいた。

 そんな虫まみれの世界で一日過ごし、アパートに帰ってきた。「虫少なっ」と思った。

 それまで、自分の住むアパートについてそんな感想抱いたことなかった。むしろカメムシやら羽が生えた謎の細長い虫やらがいるのを見て

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