「昭和少年事件帳②」入院、手術と歴史的快挙の事件!
(はじめに)これは、私が青少年期を過ごした昭和時代の話です。
同じ時代を生きた皆さんをはじめ昭和をご存じない世代の皆さんにも楽しんでいただければ幸いです・・では、事件の始まりです。
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舞台は小1の夏休みの耳鼻咽喉科専門病院です。
なお、突然ですけど、皆さんは扁桃腺(へんとうせん)が腫れた経験はお持ちですか?
私はよく熱を出す子で、年に3~4回は高熱にうなされていた記憶があります。
まぁ~それが原因で扁桃腺を摘出することになるんですけど、現在ではその役割(ウイルスや細菌などが体に入って病気を起こすのを防ぐ)が明らかになり、むやみに手術して摘出することはなくなっているそうです。
人間の体にそうそう無駄な部位は付いていないってことですね(笑)
今では稀な摘出手術でも当時は風潮(?)ですし、失敗した訳でもないのですが、偶然、忘れられない出来事と重なりましたのでお聞きください。
手術日当日、私はオフクロと一緒に控室に待機しています。
看護師さんから“手術は今日の2番目だからゆっくりしていてね。”と声を掛けられたものの不安と緊張で押しつぶされそうになりながら待っていました。
予定ではこの後、1時間ぐらいして手術前の準備に入るハズでした。
ところが突然、看護師さんが控室に飛び込んできたのです。
“ごめん、手術の順番が繰り上がったから、コレを口に含んでくれる?”といって、手渡されたコップに入っていたのはドロッとした液体でした。
薬臭く得体の知れないモノでしたが、言われるままに口に含みゴクリと飲み込みました。
私が思わずオェッ!ってなったのを見て看護師さんが、“えっ?飲み込んじゃったの?飲まずに含むだけだよ!”
ソレを最初にハッキリ言ってよって話ですが、“へぇ~よくあんなモノが飲み込めたわねぇ~、じゃ~やり直し、ハイ!もう一回!”
後で考えると、コレって口内を麻痺させるしびれ薬みたいなモノだったんじゃないかと思います。
こうしてバタバタした雰囲気のまま足早に手術室に向かいます。
手術開始にあたり、先ずは麻酔薬の注射です。
“口を空けて~ちょっとチクッってするけど一瞬だからね。”
針が刺さった瞬間は確かにイテッ!って思いましたが我慢できない痛みではありませんでした。
もしかしたら、間違ってしびれ薬を飲み込んだことが功を奏したのかも知れません(笑)
その後どれくらい時間が掛かったのか正確には覚えていませんが、部分麻酔だったので手術の一連の流れは最初から最後まで目撃することになりました。
最終的には、自ら持たされたステンレス製のお皿型の器にビー玉サイズの肉片がコロッコロッと2個落ちてきて終了でした。
あれがきっと扁桃腺だったんだと思います。
こうして手術は無事に終わりましたが、謎として残るのはなぜ?私の手術の順番が突然繰り上がったのか?ということです。
その理由は手術後に看護師さんから聞かされました。
この日、最初に手術を受ける予定だったのは私と同じ小1の男の子で手術内容も同じく扁桃腺の摘出でした。
ところが、この子が手術室に入った途端、大声で泣き始めて収拾がつかなくなり、困り果てた先生が“次の子と入れ替えろ!”って指示したんだそうです。
“君は泣かなくて立派だったわぁ~”って言われましたが・・
突然、急き立てられるようにしびれ薬飲まされ、拉致されるように手術室に入った訳で・・泣く暇なんてなかったんですけど・・・(苦笑)
こうして、手術自体は特に問題なく終わり、手術日前日から始まった初の入院生活は僅か1週間ほどの短期間だったのですが、偶然にもこの僅かな期間が人類初の快挙と重なります。
それがアポロ11号の月面着陸です!
ネット検索してみたら1969年7月21日とのことなので、手術日の前日に見たのかも知れません。
病室にいたところを担当の看護師さんに誘われてオフクロと一緒に病院の待合室のテレビを見に行きました。
そこは入院患者さんだけでなく、外来患者さんや病院スタッフでごった返しています。
やがて着陸船から宇宙服を着た宇宙飛行士が船外に出て、最初の一歩を踏み出した瞬間、地鳴りのような歓声で待合室が揺れました。
まだ7歳でしたので、これがどれだけ凄いことなのか実感はなかったのですが、周りの大人たちの熱狂の波に巻き込まれて妙に興奮している自分がいました。
これがもし入院していなかったら・・恐らく自宅のテレビで見たでしょうけど、ここまで完全に記憶できていたかどうか怪しい気がします。
何しろ人生初の入院、手術の緊張と人類初の偉業による興奮がセットですからゴージャスです(笑)
なお、話はまったく変わりますが、ポルノグラフィティの歌う
“僕らの生まれてくるずっとずっと前にはもう♪・・”っていうアノ曲、
鮮明にこの時の記憶があるだけに、カラオケで堂々と歌えないのは・・私だけですかね?・・・
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