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深読み:屋台彫刻と神話

播州の秋祭りで練り出される屋台は、「動く芸術品」と言えるほどに、各部の装飾や彫刻には日本の伝統工芸の技がふんだんに盛り込まれています。例えば、屋台の屋根の頭頂部の擬宝珠(ぎぼし)のすぐ下の露盤(ろばん)彫刻や、屋根下の東西南北4面ある狭間(さま)彫刻などです。


狭間には、江戸後期から現在まで受け継がれる名だたる彫刻師たちによって様々なモチーフが採用されています。例えば、日本書紀・古事記から源平合戦、戦国時代、浄瑠璃・歌舞伎の名場面、中国の戦記物などがあります。基本的には、神様の国産みの場面や、武士の勇ましい姿を思わせるものが多いようです。彫刻によっては、値段がつけられないほど高価な傑作もあります。

知識がないと、その彫刻が何の場面かわからないのですが、詳しく調べると、少しずつわかるかもしれません。

例えば、高砂神社氏子の戎町の露盤は、スサノヲによる大蛇ヲロチ退治の場面がモチーフになっています。スサノヲは、ヲロチに酒を飲ませ、酔ったところを斬り殺して退治しました。その尾から一振りの剣が出てきたので、姉のアマテラスに献上しました。

ここで話は飛躍しますが、日本神話のスサノヲとインド神話のシヴァがいくつかの点において共通していることを指摘する研究者もいます。例えば、破壊と生殖、悪魔退治と武器、荒ぶる神であることとそれへの罰、自然神として暴風を司ること、文化(歌と踊り)、女性的なものとの一体化、イニシエーションを授けることなどです。

播州の屋台には、こういった文化的な側面もあり、追究すればドンドン深みにはまってしまいます。

参考:http://www.matsuri.gr.jp/kokoro1/kaisetsu.htm




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