【ファンタジー連載小説 奇跡の旅❶】奇跡の旅のはじまり
そこは奇跡が起きたことで世界中から注目された小さな小さな村。砂地に大きな野菜が育ち、風が吹くと妖精たちが舞っている姿が見えるともいわれる場所だった。年間数十万の人たちが奇跡を体験しようと集まって来ていた。
晩秋のある日、奇跡の村でひとりの旅行者の女性が、大きな黒い瞳を輝かせながら好奇心いっぱいの眼差しをあちこちに向けいていた。
彼女はフード付きの白いダウンジャケットにパンツ、トレッキングシューズという出で立ちで、大きなリュックを背負い、片手には大きなスーツケースをゴロゴロ