詩日誌 2023.09.18

2023.09.18.

1.

中谷潤人選手とアルヒ•コルテス選手の世界戦が始まるゴングの音とともに書き出して、スクリーンの真ん中あたり、二人の戦いに意識が自然と吸い込まれていく。

緊張感のあるライブ映像の魔法は記録済の映像を観るときのそれとは違う。同じものでもまったく違うように感じる。

狩のように仕留める者の雰囲気が中谷選手にはある。一瞬のタイミングで試合が決まってしまいそうな、と書いていたらボディーで倒し、フックで倒し、5Rに二度のダウンを中谷選手が奪った。

2.

ボクシングが終わり夜がもの静かな方へ傾いていった。

コミュニケーションはその深いところにリズムが隠れていて、それが上手くいかないと良いコミュニケーションとは言えない。

言葉の響きを大切にしてきたけれど、リズムもまた決しておろそかには出来ないのだと知る。

3.

映像の中の散歩道をのっそりとサイが進んでいく。

言葉の死、枯葉を踏む足音が深まり静けさに包まれる時。目の前には一匹のサイ、…いや、あれは一角獣か。わからない。わからないなりの散歩道。神話の横道、うねる宇宙の紡ぐ素早く書きとられた散文詩あるいは伸びていく声。

イメージを振り切るかのごとくに言葉が前へと進んでいく。それを捉えるための夜。

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