I have a book hangover: “My Dark Vanessa”
朝ごはんに豆大福を食べた来輝です。
おはよう。こんにちは。
「My Dark Vanessa」は紀伊國屋書店の新春洋書セールで購入し、今年の3月に確か読んだ。本当は違う表紙のバージョンが欲しかったのだけど、読み終えてみると、こっちのカバーの方が内容に合ってるかも。
私のような年齢の人間がこんな本を読んでいいのだろうか。
いや。
若いからこそ、学生時代がまだ身近だからこそ、まだ自分の軸が定まらず、ふわふわ漂っているからこそ、読むべきなんだと思う。
主人公のVanessa Wyeが彼女の国語教師Jacob Straneと性的関係を持つようになったのは、彼女が15歳、Straneが42歳の時。周りの学生に上手く馴染むことが出来ず、孤立していたVanessaにStraneは「優しく」寄り添い、詩などの新しい世界を教え、彼女の文学の才能さえ引き出していく。
月日は経ち、17年後。Vanessaが32歳の時、Straneは他の元学生から性的虐待で訴えられる。そしてちょうどその頃は、人々がセクシャルハラスメントや
過去の性被害に声を上げ、「Metoo運動」が盛んにになってきた時代。ジャーナリストやStraneを訴えた女性から、協力を求められるVanessa。でも、彼女にとってStraneは初恋の相手で、本気の関係を築いた唯一の人。故に17年間、断続的に関係が続いており、Vanessaはずっと2人の間にあるのが、
愛だと信じてきた。しかし、それは本当に愛だったのだろうか。
VanessaとStraneがMaine州のBrowickという寄宿学校で出会う2000年、
物語が再び動き出す、2017年が交互に描かれていきます。
読む人を選ぶ本とはこういうことを言うのかな。性描写だけではなく、
Vanessaが陥る「私が悪い」っていう心理状態に…メンタルやられます。
若く幼い時って特に、「何かがおかしいな」「嫌だな」「怖いな」という脳が警告音を発する状況に遭遇したり、経験しても、誰に頼っていいか分からない。まず、恥ずかしくて身近な人にも伝えられなかったり、恐怖で記憶を封じ込めてしまったり。壮絶な体験をしてこなくても、記憶の中を探ってみると、意外と、誰にでも見つかると思う。クラスメイトに言われた言葉。たまたま目撃してしまった場面。ちょっとした出来事が、心の傷になっていることもあるからさ。
私が小さな時は、家に帰ってくるといつもママに今日、学校で何があったか聞かれてたな。今は、子どもの危うさを理解してくれてたんだなって分かるけど、当時はあまり話す人間では無かったので、面倒だと思ってたわ。
いとも簡単にgaslightされてしまう「危うさ」に焦点を当てているから、途中で気分が悪くなっても、読み進めてしまう。
この作品は著者、Kate Elizabeth Russelが18年間かけて書き上げた物語。
Vladimir Nabokovの「Lolita」の影響がところどころにあって、新生Lolitaと評されてるみたい。「Lolita」を先に読んでおけば、もっと知識が深まったなとちょっと後悔。
決して外野には分からない、当人たちだけが理解する感覚に触れることが出来た気がして、辛かったけど、読み応えがある作品だと思った。
要注意な本だし、trigger warningもいろいろあるけど、それでも読みたい人にはおすすめ。
この記事を書くために読み返したんだけど…結構なエネルギーを使ったわ。
知らなかったけど、邦訳も出てるのね。
次回は何について語ろうかな。
今日は今年初すいかを食べる。
Have a lovely day :)
Laica
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