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コンソメを、マジメに作る、手間コスト

こんにちは
ミンチを作るとき、開業当初は手動のミンサーでグルグル回していましたが、途中から電動らくらくに出世した、ラ・フェ修家です。

コンソメスープと言えば、フレンチレストランでは、高価な価格で販売されています。

それもそのはず、コンソメを作るには、鶏ガラと野菜からとったブイヨンにさらに、牛肉のひき肉と香味野菜を使って長時間煮出し作ります。

コストも時間もかかるスープなのです。

今回はスープではなく、ジュレにするために、コンソメを仕込みました。

牛挽肉(スネ肉が好ましい)と細かく切った香味野菜(玉ねぎ、にんじん、セロリ、トマトなど)と、卵白などを混ぜ合わせ、ブイヨンを入れて火にかけます。

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火にかけている間は、混ぜ続け、65℃ぐらいになったら混ぜるのやめます。

しばらくすると、卵白が固まって来るので、中心に穴を開けて、沸騰したときの蒸気が逃げるようにします。

このときに目を離して、ボコボコ沸騰させると濁ってしまって、コンソメ生命はそこで終了します。このときは注意深く見る必要があるのです。

ホテルでコンソメの仕込みを任されたときは、むちゃくちゃ緊張しました。

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写真のように、固まって真ん中にうまく穴を作れば、あとはアクをひきながら5〜6時間煮出します。カーナビで言うとしばらく直進です。

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6時間煮出した状態です。いい感じの色になってきました。
煮込んでいる間は、ものすごくいい香りが厨房に漂います。

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静かに丁寧に漉します。
漉すときも、勢いよくやってしまうと、濁ってしまいコンソメが台無しになります。

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透明感のあるコンソメができました。

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漉した後の肉です。2番を取って別のことに使うか次のコンソメで使います。

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器に注ぐと、とてもシンプルに見えるのですが、凝縮された味は、手間のかかった証です。

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冷えると、ゼラチンを入れなくても、こんな感じの透明なジュレになります。温製でも冷製でも使えます。

じゃがいもの冷製スープ・ヴィシソワーズとコンソメジュレを入れると、「パリソワール」になります。

手間はかかりますが、それに見あったおいしさです。

ただ・・・
以前に冷凍食品のビーフコンソメを使っている部署で働いていたとき、その冷凍ビーフコンソメを口にしたグルメなお客様が

「このコンソメはめちゃくちゃウマイ!」

と絶賛している方が結構いました。

ニチレイさん、お見事です。
ホテルの裏方で働いていると、手間をかけていない既製品が評価されるということはよくあります。
もちろんニチレイさんが、しっかり研究と手間をかけているからこそ評価されているのです。

僕自身、よくできたコンソメだなあと思いました。

味覚は、味以外の要素に大きく左右されるのです。
以前の記事にも書きましたが、お客様は情報を食べているのです。

ある実験で、A、B両グループに同じ料理を食べさせ、Aには味気ない料理名。Bにはおいしそうな料理名にすると、同じ料理にもかかわらず、Bのおいしそうな料理名の方を評価する割合の方が多かったのです。

これには、人間の共感能力が働いていて、周りが笑っていると自分も笑えてくるような現象と似ています。

とは言うものの、マズイものはおいしくならないです。

それなりにおいしくできたら、あとはメニュー名やキャッチコピー、ストーリーなどをつけるのが、味の最後の仕上げになります。

いろいろ書きましたが、料理人が手間をかけなくても、簡単においしくできる既製品の発達はすごいです。

A Iが発達しても、料理ロボットが生まれても負けないように、必要とされる料理人でありたいです。


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