見出し画像

聖女と魔王:夢で見た話

夢で見たRPG系の話です。
アプリにしてエンディング分岐しても面白そうです。
忘れないように書いておきます。

------

魔王は組んでいた足を解きゆらりと立ち上がった
巨体が揺れる度、大気に毒素が混じる。
そして折り目正しく姿勢を90度に折り曲げて言い放った。

魔王「…ごめんなさい。お断りします」


聖女「は?」


魔王「速やかに安全にお帰りください。あ、城外までお送りして」
聖女「ヤダ、ねぇ、ちょっと待ってッ待ってッお待ちなさいよぉ!!!」
魔王「ほんと、本当に不要ですので!!困りますので」
聖女「アリエナイでしょ!?なんで魔王が聖女追い返すのよ!」

「聖都に咲く白い花」と呼ばれる王位継承権4位にして3番目の皇女、
シエスティアは極めて強い光を抱き産まれた。

民は聖女と崇め、その信仰は厚く、
借金をしてでも聖都参りをする者が続出したという。

彼女の聖なる輝きの前では、
敵対する賊でさえ膝をつき頭を垂れる●●●●●●●●●●●●●●●●●と言われている。

齢10にして人と人との戦を演説だけで収めたその姿は「無血の聖女」と謳われた。

聖女の中の聖女。それが彼女だった。

聖女「私が単身ここに来た理由はお分かりですよね!?」

聖女たるその身を魔王に捧げる代りに、自国からは手を引け。そう言いに来たのだ。
悪くない、むしろ魔王側に有利な取引のハズだった。
聖女を穢すなり贄にするなり、その利用価値は計り知れない。

彼女は身を賭して国と民を守る決断をしたのだった。

聖女「何が不服なの!」
魔王「えーと、うーん、あー…このみ、じゃ、ない?」

聖女「はあ!?
 あ、あ、あんなにやらしいサキュバス大量にはべらしといて何言ってんのよ!」

容姿端麗、すらりとした高身長。乙女でありながら熟れた果実のような瑞々しい肢体。欲しがらない理由がわからない。

魔王「部下を侮辱するでない!」
聖女「民がカサッカサに吸い尽くされてるの知ってるんだからね!」
魔王「彼女達は適度な食事を摂っているだけだ!人間だって魚や羊を食べるだろう!」
聖女「あーでたでた!人間は食べる分をちゃんと育てて…」
サキュ「ウ、グフッ」

ガタン

邪神官「カハッ」

ガクッ

サキュバスが倒れ、魔王の側近の神官が膝をついた。

聖女「へ?」
魔王「…頼む、帰ってくれ…」
聖女「え?なに?どうしたの…?」

邪神官「御自覚がおありでしょう…あなたは…清らかすぎるのです●●●●●●●●●
聖女「え、や、まあ、…聖女ですし?」
神官「魔王様をご覧なさい。そのご存在だけで周囲は禍に満ち、体の弱い人間ならば呼吸もままならないでしょう。
 あなたは、その対極。
 その身から満ち溢れる聖属性は私たちには毒に等し…ゴフッ」
魔王「神官!無理して喋るな!そやつの傍で息をしてはならぬ!」
聖女「ちょ、え…は?」

よもやこんな不名誉な扱いを受けるとは。

聖女「最悪、魔王に娶られる覚悟さえしてきたのに…」

魔王がヒッと喉を鳴らした。

魔王「しょ、生涯の伴侶は…心通う者と寄り添いたい!」
聖女「はあ?!」
神官「う、うちは一夫一妻制度なんです。どうか魔王様の血を絶やすのはご容赦を…!」
聖女「知らないわよそんなこと!!!!
 そ、そうよ、お決まりのセリフはどうしたのよ!!!!
 『光が強ければ闇はより濃くなる~!!』みたいなやつは!!」
魔王「あぁ、あれか…
 確かに。定型句だが…
 勇者たちもまた人間であるからして、どれほど強い意志を持っていても、その心の中には悩みや葛藤がある。闇が完全なゼロではないのだ。
 むしろ、沢山の魔を討ち、我が部下を手にかけてきた勇者たちは、強き意志こそあれ決して清らかではないのだ。
 我々はそこに付け入る」
聖女「…えーっと…」
魔王「そなたには闇がない」
聖女「せ、聖女、ですし?」
魔王「本気で、人々の為と思ってここに単身乗り込んできている」
聖女「そうよ!」

ふぅー…と、魔王は長いため息をついた。

魔王「ひとつ聞くが。聖都ではどのような生活を?」
聖女「聖都内の聖堂の一番奥に私の部屋、というかちょっとした中庭付きの小屋があって…その中で、可能な限り自給自足でやっているわ。
 もちろん、必要な日用品は届けてもらえるけれど…」
魔王「つまり、聖堂の中に監禁●●されていたのだろう」
聖女「は!?されてないし!!毎日ささやかだけれど楽しく自由に暮らしてたし!!」
魔王「だが、近年、大人になってから、聖堂を出たのは今回が初めてだろう」
聖女「ま、まあ、そうだけど…」
魔王「聖堂には強力な結界が施されているな?」
聖女「それはそうよ!あなたたちの侵入を防ぐためにって私は守られて…
 ってか、なんで聖都外秘の機密事項を魔王が知ってるのよ!!!」
魔王「…その結界だが…それは、そなたを封印する為●●●●●のものだぞ」

聖女「…は?」

魔王「善良な人間にも邪な心はある。神殿に使える聖職者たちにもだ。嫉妬心、出世欲、行動に起こさないまでも些細な心の揺れはある。
 そなたは、人間に対しても"毒"に等しい存在●●●●●●● ● ●●●●●●なのだ」
聖女「…なに、言ってるの…?」
魔王「もうひとつ聞きたい。
 大切に囲われていた聖女様が、なぜ、今日になってここに赴いた。"魔王退治"ではなく"交渉"に。
 そなた一人の意志か?」
聖女「だって!民が苦しんでいると聞いて…」
魔王「誰から?」
聖女「…答える必要はないわ」
魔王「『聖女様ならば魔王とも渡り合える』とでも吹き込まれたか。
 そなたは、体裁よく厄介払いされたのだ」
聖女「…そう。それが、あなたたちの手口ね…」
魔王「どう受け取ろうとも構わない。
 だが。速やかに退場願いたい。
 そなたがここにたどり着くまでに、当私の部下達が軒並み酸欠になって苦しんでいるのでな」
聖女「…え」
魔王「特にインキュバス軍は、そなたを穢せば威力が弱まるだろうと束で掛かっていったが、その背に追いつく前に敗れた。
 現在、高熱を出し病床が埋まっている」
聖女「ちょ、え、インキュバスなんて…いた?」
魔王「…『無血の聖女』…と言ったか。
 力任せにそなたを制しようとした我が民はは皆、体がしびれ、力が抜け武器が持ち上がらず、"膝をついてガックリと頭を垂れている" ●●●●●●●●●●●●●●●●● ぞ。
 聞き覚えがないだろうか」
聖女「…膝をついて…頭を…」
魔王「図らずも、そなた…いや、聖都の思惑通り。我が軍は壊滅に等しい
…そもそもそなたの国には特に旨味がないので手を出してはいないのだが。
 実害がなくとも、"魔王を討った"となれば他国にでかい顔も出来よう。
 それを土産に帰れ」
魔王(帰る場所があるかはわからぬが…)

聖女「そん…な…」

魔王「先ほどサキュバスたちがそなたの民を…と話していたが。
 それも、その者達が下心を持って我が部下の根城までやってきたのだ。
 楽しみつくして足腰立たないようだったので、聖都まで送ってやったのだぞ」
サキュ「ちょっとキモかったけど、折角いらしたのでサービスしときました❤」
聖女「…そう…聖都の民がご迷惑をかけたようね…
 私達は争う必要も、過去に争った事実もなかったというわけね…」
魔王「わかってくれて何よりだ…城外まで送っ」
聖女「ええ、私の心は、今、友愛の気持ちで溢れております!ハグして差し上げたい気持ちでいっぱいですわ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
魔王「エッ」
サキュ「ヒィッ」


…その後。
聖都の公式発表では、聖女シエスティアは聖堂の奥で余生を過ごしたとされている。

しかし、本当のところはよくわかっていない。

------

夢で見たRPG系のお話、忘れないうちに書き留めることができました。
自ら魔王を滅ぼしに行くスタイルのお姫様、とても好きです。

わーるどめいかーで漫画形式に挑戦してみたかったのですが、うまく機能しなかったのでおいおいトライします。

↓普段は自作アプリのnote書いています。

↓他のショーショート

スキ、フォロー、シェア頂けますと大変励みになります!!

#ゲームの作り方
#魔王と聖女
#聖女と魔王
#RPG
#私の作品紹介
#ゲーム
#アプリ
#シナリオ作成
#シナリオの書き方
#LadyWizardのアプリ
#ゲームデザイナーの記録


この記事が参加している募集

私の作品紹介

ゲームの作り方

スキ、シェア、フォローをして頂けると大変喜びます!!! 宜しければサポートお願いいたします。 アプリ開発費、取材費、リフレッシュ費、そしてnote更新の糧に致します。