『ソニーのふり見て、我がふり直せ。ブランドで稼ぐ勘と感』を読んで
『ソニーのふり見て、我がふり直せ。ブランドで稼ぐ勘と感』を読みました。
テーマは、ソニーのブランド、かっこよさ、らしさとは何なのか・どのように作られたのか。
ソニーの創業社長たちと仕事を共にし、マーケティングの責任者までのぼりつめた河野透氏が語りが中心。聞き手は元・電通の山口誠志氏、ズバズバ聞いて掘り下げていきます。
まずは本書におけるブランドの定義です。
ブランドとは、製品あるいは企業や産地の商標に対して我々が何気なく抱く情緒的な期待感のこととした。
たとえば「美味そうだ、良さそうだ、おもしろそうだ、上等そうだ」などである。期待の理由をはっきりと説明できる諸元的なもの(性能・価格・実績・稀少性など)ではなく、言わば我が子を愛するかのような情緒的な選好や愛顧である。
情緒的な価値のニュアンスを我が子を愛でる様にたとえるのはおもしろいなあと。
ここで、ソニーらしさに言及している河野氏の言葉をクリップします。
ソニー的とかソニーらしさというのは、そもそも何かの具象としてあるわけではないんです。では、何なのか。ものごとや課題に対する僕らソニーの意識の向け方や視点の取り方です。
それを製品と宣伝を通して素直にポーンと出す。その積み重ね。その時の、一番ユニークだと思うことを疑わずに出し続ける。そういう振る舞い方や向き合い方にあると思います。
意識の向け方、視点の取り方、振る舞い方、向き合い方。それはつまりひとりひとりの社員の行動なんですね。そこから生むアウトプットの積み重ねだと言います。
まずは内部から醸成され、やがて外に漏れ出してゆく。ちなみにソニーでは、設立趣意書はあるけれど、らしさに関する文章はないようです。
他にもおもしろかったところもメモします。
*「お客様の声を聞いて作りました」はやらない。「製造物責任は製造者にあるわけで、それをやると、肝心な決心をお客さんのせいにすることになる」と考えている。
*マス広告はあくまで製品を売る目的にすることであって、ブランド向上の名目ではいっさい広告はしていないこと。
どちらかというと行動とセットでニュースやPRでブランドを浸透させていった。ちなみに開拓時代の宣伝活動ではネオン(交通広告的)が効果を発揮した。たしかにこの前アメリカでNetflixの交通広告をかなり見た。
*ブランドのメリット(企業の期待)とは、利益率。差別化による価格が高くても買う理由の創出。つまり、他社よりも高く売れること。
当時、家電量販店で他社よりいくら高くして売れたかを経営者はみていた。視点を変えると、ソニーには利益率を取って高く売らないといけない事情もあった。
なぜソニーはiPodを作らなかったのか、大企業のジレンマ的なこともふれていてその話も興味深いです、オススメ。
というわけで以上です!
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