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『2020年6月30日にまたここで会おう 瀧本哲史伝説の東大講義』を読んで

東京大学に遊びに行ったのをふと思い出しました。赤塚不二夫生誕80周年企画「バカ田大学講義」というイベント。

カルチャー界隈の素敵な講師陣が赤塚不二夫スピリッツを伝えるべく、あえて東大で講義するという内容でした。泉麻人さんの回「シェーとは何か?」に参加しました。ちなみにその各講義をまとめたものも出版されています。

さて、本書は2012年6月30日、東大伊藤謝恩ホールで行われた「伝説の講義」。後半の質疑応答も余す所なく載せるなど、会場のライブ感をそのままに閉じ込めようとしている心意気が伝わります。参加者の気持ちになった、あっという間に読めてしまう一冊。

どうやら本書の元になっている「伝説の講義」は初代星海社新書編集長の柿内芳文さんが仕掛けたようです。かつて、京大で行われていた瀧本氏の凄まじい講義を目の当たりにした柿内さんは、星海社新書の一発目の企画「武器としての決断思考」を出版。その後、京大生以外の若者にも届けてほしいと瀧本氏に依頼。講義は実現します。

なぜ講義から8年経過して本書が出版されたのか?それはタイトルが示しているように、瀧本氏が発したメッセージに関係します。講義の最後「で、君たちはどうするか」と参加者を(氏の言葉でいうところの)アジテーションし、ボン・ヴォヤージュと挨拶を送りました。瀧本氏は2019年、病のため47歳の若さで亡くなります。

武器モデルの拡散

瀧本氏と日本を結び付けるのは「反発精神」と「残存者利益」。この国をよりよくするために何をすべきか。彼はジョージ・ソロスを参考にします。

ソロスは私財をはたいてコピー機を配りることで東欧の国々の民主化運動を促し、結果としてソ連からの独立が実現していった。瀧本氏にとっての「武器モデル」とはたとえば教育であり、出版した自身の本。

結局のところは、自分。

これまでの歴史の積み重ねがあり、現代の資本主義・民主主義・自由主義という構造のなかで生きるとは、つまるところ「自分の人生は自分とで考えて自分で決めてください」に行き着く。

だからこそ自他の境界線を溶かしていく必要があるような気がしてます。ただ実態はサルトルの「人間は自由という刑に処せられている」であり、アンガージュマン。

「君たちはどう生きるか」

だから瀧本氏は「仲間を見つけろ」と言います。カリスマモデルではなく、分散型の組織が望ましい。それはたとえば見えない結社であり、呼び方を変えれば秘密結社。アメリカのように民間組織のシンクタンクが裏で政策提言をしていってもいい。

高齢層が多いといっても、割合でいば2:1。後世を考えてくれる上の世代は少なくなく、組みで考えたときに一人味方にすれば形成逆転はできる。そもそもパラダイムシフトは世代交代で起きるもの。まずは小さな一歩からでいい。

瀧本氏の遺伝子

柿内さんの「あの会場にいなかった人たちに瀧本哲史の遺伝子を配りたい」という想いはきっと届いています。ぼくは本書をきっかけに瀧本氏の存在を知った一人です。パーソナルな部分に興味を持ちまして、今後他の本も手に取ってみます。

というわけで以上です!



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