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『慶応三年生まれの七人の旋毛曲がり』(坪内祐三)を読んで

坪内祐三著『慶応三年生まれの七人の旋毛曲がり』を読みました。

正岡子規・尾崎紅葉・斎藤緑雨・夏目漱石・南方熊楠・幸田露伴・宮武外骨。一度は聞いたことのある七人の面々。なんと同い年なんですね。ほぼ明治元年みたいなもの、明治を生きた男たち。

ジャーナリストの宮武外骨と小説家の夏目漱石。じぶんのなかでイメージがぜんぜん違うので、いやあ驚き。宮武外骨はなんだかんだ漱石を意識していたのだろうなあ。

あ、全員が同じ釜の飯を食べた的なお話ではありません。ただ、たしかに人間関係が微妙に重なってる面もあって。

正岡子規と夏目漱石は同級生で落語きっかけで意気投合したという、世に知られてるエピソードもございますし。

七人に関する語りの分量に差こそあれど、それぞれ人生を描写するってえげつないなあ、ちなみに著者にはこんな想いがあったようです。

同い年の人びとが、それぞれに付き合いを交わしながら、時代の空気に影響を受けつつ、その世代に特有の面白い仕事を残して行く。そういう彼らの軌跡、丸ごとを、様ざまな国や時代の中で探し求めて行きたいと思っていた。

企画勝ちですね。

男26歳、原点説。

そういえば、過去に大吉先生の『年齢序学説』を読んでおもしろい切り口だと感じたのを思い出しました。

ダウンタウンの「ガキ使」とんねるずの「みなさん」。いずれも26歳のときに生まれている。上岡龍太郎さんに男26歳原点説っていうのもあります。

切磋琢磨でいえば、何かで読んだ記憶ですがコルク佐渡島さんと東宝の川村元気さんは、同世代。エンターテイメント業界の若手のつながりとやらで、接点があったようです。

後から思えばすごいメンバーがそこにいた!ってことありますね。

佐渡島さんがたしかおっしゃっていたのは、スターのような存在が奇跡的に終結していたわけではなく、ひとりが抜きんでると、周りが刺激と鼓舞で切磋琢磨する。そうしてすごい人たちが生まれていくと。

これに近いお話は、80年代、タモリさんや糸井重里さんが通った四谷のバー「ホワイト」だとか、いろいろあると思います。いいたまり場が必要。

田端信太郎さんは会社の同期っていったって、たまたま同じ年に入社しただけで馴れあいは不要だ!と本でおっしゃってました。

人は環境に流されますから、そういうマイナスのおそれもあるでしょう。その一方で切磋琢磨になることもある。

慶応三年生まれの面々は同世代に対してどれほど自覚的だったのだろうと想像するだけでおもしろい。

というわけで以上です!

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