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拠点が自分の居場所をつくる!『地方でクリエイティブな仕事をする』(笠原徹)

長場雄さんのイケてる表紙の雰囲気からして、やわらかくも感覚的でセンス重視の内容と思いきや、至極まっとうなクリエティブ論でした。ファンベース的でもある。

ちょっとでも地方の仕事に興味ある方にはオススメの一冊。

著者にとってクリエイティブとは、感情を動かす仕掛けをつくること。人の心をゆさぶるということは、使う誰かのことを想ってものをつくることともいえる。

そのためには顧客と自分と向き合う必要があって、何かをさせられているような労働的な心から脱却せねばならない。著者は自身の経験から、そう思うようになった。

もともとはウェディング業界でカメラマンとして従事していた著者。実際の顧客は式場で、なかば下請けのような扱いを受けていた。また提案しても、その先にいる「本当の顧客」まで届かずに終わってしまう。

結婚を機に佐賀県へ移住して12年。佐賀の写真館で働いた後、事業立ち上げの失敗経験も経て、いまのハレノヒ柳町フォトスタジオをオープンした。

○○屋と名乗ること

もっとも興味深かったのは、拠点が文字通りの「居場所」となること。著者はSWOT分析でスタジオがないという弱みを再認識し、古民家をリノベーションしたスタジオを構えようと決心します。

地方だからこそ相対的に家賃が低くチャレンジしやすい環境もポイント。拠点を持ってオープンにしていると顧客とオーナーの関係性がより可視化され、地域で商売している方にも浸透していく。

いわばこの地域で自分は○○で貢献できるという意思表明になるんですね。拠点が自分の居場所になる。デジタルシフトが叫ばれているけれど、拠点の意味をあらためて意識したい。

えらいてんちょうは、店=自宅にして費用を極限まで下げながらもリアルを大切にしました。たしか初めの頃は、自分の着ていた服を古着として店で売っていたはず。

リアルとデジタルの有機的なリンクでいえば、ほぼ日のTOBICHIもその例でしょう。

エコシステムを意識する

著者は佐賀に移住してから10年以上、人との関係性を育みながらスタジオを開いた。地方が家賃が低いのもあるのけれど、地域への目線が行き届いた理念と、与える価値を抽象化しながらもちゃんと言語化できている。

自分の提供価値で地域に貢献→地域の価値を上げ、地域の人に喜んでもらう→地域の人たちが応援もかねてサービス利用する→収益をもとに、またに地域に還元する。

地域に始まり、地域に終わってグルグル回すエコシステム。マインドをどう持つかという視点でも参考になりました。

というわけで以上です!


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