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『フランクリン自伝』(ベンジャミン・フランクリン)がめっちゃおもしろい

『フランクリン自伝』を読みました。

なんだかんだ、いいヤツが勝つ。本質をみた気がしました。いいヤツが世の中に必要とされ、場合によってはベンジャミン・フランクリンのように偉人となり、歴史に残ることがある。国葬です。

交渉の本でも「いいヤツであれ!」ってわりとあります。ドラッカーの考えるイノベーターは、単純な破壊者ではなく、全方位に働きかけができる調整役のような人です。解釈すれば、いいヤツと考えられなくもない。

で、ベンジャミン・フランクリンが生きてきた自身の歩みを、ときには俯瞰の目線を持ち合わせながら、とにかくいきいき描いています。ただそこには傲り・驕り・奢り的なものはいっさいありません。

印象に残った言葉をいくつかクリップします。

わたしは自分の生涯を振り返ってみるとき、もう一度自分が過ごしてきた日を同じように繰り返すことが許されるなら、この幸運だった生涯をもう一度選びたい。ただ、作家が本の再版を出すときに、初版の中のまちがった部分を訂正するような便宜は持ちたい。

ただ〜のところにユーモアがあって、好きです。

もしおまえが人に何かを教えようと思うなら、おまえの意見を述べるときに独断的な言い方をすると、相手に逆に反対したい気持ちを起こさせて、おまえの言うことを素直な態度で聞いてはくれないことになるだろう。

(中略)「人にものを教えるとき、教えるような態度はいけない、その人が知らないことでも、あたかもそれを忘れているかのように言わなければならない」

教えるときの態度のあり方。

理性のある動物といわれる人間はまことに都合のよいもので、したいと思ったことをするときは、何か理屈を探し出したり作ったりしてしまうことができる。

よくもわるくもですね。

わたしは人間生活を幸福なものにするには、人と人とのやりとりに真実とか誠実とか清廉とかいうものをもってすることが、一番大切なことであると信じるようになり、生涯実行していくつもりでその決心を述べたものを作った。

いいヤツで生きていく!と心に決めています。

何か計画をやりとげるために後援を必要とするときは、頼む側がほんのちょっとでも名声があがりそうだと考えられる計画は、それがどんな有益なものでも自分が発起人だと分かると、うまくいかないものである。(中略)当座の名誉を少し犠牲にすれば、あとできっと十分なつぐないはあるものだ。

とっても説得力があります。うまい具合に「主体は別の人です」と伝える。宗教の広まりをみても、まさしくそうですよね。

その当時、自分に必要であり、また望ましいと思われた徳をすべて十三の名称にふくませることにして、それぞれに短い戒律をつけた

下記、ピックアップしました。デカルトを思い出します。どのように実行するかを記録までしているのがすえおそろしいです。

・節制…飽きるまで食べるなかれ
・沈黙…むだ口をたたくなかれ
・規律…仕事はすべて時を決めてするべし
・決断…決心したことは必ず実行すべし
・倹約…浪費するなかれ
・勤勉…無用な行為はすべて断つべし
・誠実…偽りで人を傷つけるなかれ
・正義…他人を侮辱したり、傷つけるな
・節度…極端を避けるべし
・清潔…不潔を許すべからず
・平静…ささいなことに心を乱すなかれ
・純潔…自他の平和や信用を傷つけるな
・謙譲…イエスとソクラテスを見習うべし

※熟語に続く言葉はちょっと編集

実際、人間が持って生まれた感情の中で、自負心ほどおさえられないものはない。どんなにかくそうとしても、また戦って殴りつけ、息の根をとめ、ぎゅうぎゅうおさえつけようとしても、依然として生き続け、ときどき頭をのぞかせて現れるのである。

わたしは完全にこれに勝ったと思うことができるしても、今度は謙譲を自負することがあるだろうから、この自伝の中でもあちこちで自負心を見せることになるだろう。

どんなに自慢をしない素晴らしい人間でも「私は自慢をしない人間です!」と高らかに宣言すれば、それ自体が自慢となる矛盾が生まれます。

ここを認め、開示したうえで筆を進めるところがフランクリン。

というわけで以上です!

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