人が集まる場所をつくる仕事がしたかった。VILLAGE INC.を通じて、実現したい想いと向き合い続ける
最後のインタビューは、VILLAGE INC.の第一スタッフこと茶屋尚輝さんだ。
茶屋さんはCAMP事業グループ長として、キャンプに関わる業務を一手に引き受けている。
聞けばもともとは東京にある企業の第一線でバリバリと仕事をしていたとのこと。なぜこんな僻地(失礼!)にあるVILLAGE INC.にやってきたのだろうか。
茶屋さんが語る言葉には、静かながらも熱い想いが込められていた。
〈聞き手=長濱裕作〉
自分の手の届く範囲で、人が集まる場所をつくる仕事がしたかった
▲執行役員 CAMP事業グループ長の茶屋さん。ワイルドな雰囲気だがとても優しい
ー茶屋さんは建築関係のお仕事をやめてVILLAGE INC.に入ったとうかがいましたが、どのような経緯だったのでしょうか
もともと僕は、「人が集まる場所をつくる仕事」をしたかったんですね。
建物のデザインも好きで、住宅を作りたかったので建築を学んで前の仕事についていました。
ただ、勤めていた企業はゼネコンで、思っていたよりも駅や商業施設など大規模な建築物が多かったんです。建物をつくっても、実際に使う人たちとあまり触れ合うことがないんですね。
なので、もう少し自分の手の届く範囲で、人が自分のつくった場で遊ぶとか、そういう場所をつくりたいと思うようになりました。
そんなときにAQUA VILLAGE(アクアヴィレッジ)に出会ったんです。
建物がなくても、人が集まる場所はつくれる
▲アクアヴィレッジは代表の橋村さんが1人で開拓を始めた貸切のキャンプ場。船でしか行けない秘境感が魅力
アクアヴィレッジはネットで紹介されているのをたまたま見つけました。
もともと、キャンプで横に知らない人がいて、それを気にしながら過ごすのは嫌だなと思っていたんですね。だから貸切できるところはないかなと思っていて、そしたらアクアヴィレッジがあったんです。
それで、趣味でやっていたバスケットのメンバー10名と一緒に使ってみることにしました。
ー実際に利用してみてどうでしたか
……最高でした。(笑)
子どもの頃、毎年夏に田舎へ行き素潜りをしていたんですけど、そういう感覚に戻った感じというか。
「ああ、人のサービスの力で、何もない場所でも充実させることができるんだな」
「建物がなくても、人が集まる場所はつくれるんだな」>
そう思いましたね。
確かに1万5,000円は安くはないですけど、自分たちだけで遊べて、道具もすべてそろっている。これは全然高くないなと僕は思いました。
そしてそのキャンプの帰り、車の中で友人に「なんか、あんな感じの仕事がしたいな」と言ったんですね。
でも友人からは「でも、あんなの毎日は大変やぞ」と返されて、僕は「そうやけど……」みたいな感じで言い返せず。
そしてそんな思いを抱えつつ、秋にもまたみんなで利用させてもらったのですが、そこで来年「REN VILLAGE(レンヴィレッジ)」がオープンすることを知るんです。
橋村がカヤックでその場所まで連れて行ってくれて、まだ更地の状態だったんですけど「面白そうだなぁ……」と思いました。
そして帰ってきてお礼のメールを橋村に送ったんですね。
そのメールの中で思い切って「色々転職のこととか、悩んでいることがあるので相談に乗ってください!」と書いたんです。
そしたら「俺でよければ全然!」みたいな感じで返ってきて。それで相談に乗ってもらうことになりました。
ーえっ、いきなりそんなに話が進むんですか!?
はい。(笑)
もうメールを送ったタイミングでは、VILLAGE INC.で働きたいと思っていたんですね。
すでにVILLAGE INC.のサービスが素晴らしいものであることはわかっていましたし、橋村とも一緒に働けたら面白いだろうなと感じていたので。
それに、秋にレンヴィレッジができるということは「人を採るに違いない」と思っていました。相談して「じゃあうちに来る?」と声をかけさせたら自分の勝ちだなと。(笑)
たとえ採用にならなくても、こんな面白いサービスを提供している人だから、ぜひ相談に乗ってもらいたいなと思ったんですよ。
それで実際に会って自分の思いや考えていることを話したら、「ああ、そこまで思っているんだったら、ちょうどうちも人探そうとしていたところだから来る?」と言われて、「じゃあ行きます」と。それが2012年の年明けくらいの話です。
VILLAGE INC.は、自分がイメージしているものを実現する1つの手段
▲VILLAGE INC.のリクルーティングムービー。いわゆる普通のキャンプ事業者ではないことがよくわかる
ーそして仕事をやめてVILLAGE INC.への入社を決めたわけですね。まわりの反応はどうでしたか
仲間からは「そんなにキャンプ好きだったっけ?」と言われたんですけど、僕は決してキャンプ場で働きたかったわけでも、キャンプ場をやりたかったわけでもなかったんですね。
あくまでVILLAGE INC.が提供しているキャンプ場が、自分がイメージしているものを実現する1つの手段になると、そう感じたからこの会社に入ったんです。
それにこの会社は、このままキャンプ場だけで終わらない。それは何となく感じていました。
ー住み慣れた東京を離れて田舎へ移住……お金のことも含めて不安はありませんでしたか
僕は仕事のことで橋村に相談したときも、「じゃあ行きます」となったときも、1回も給料の話をしていないんですね。それは正直どうでもよかったんです。
自分にとってやりがいのある仕事ができて、カッコよく生きられればそれでよかった。
そして僕は、そもそも東京という街にあまり魅力を感じていなかったんですね。
人は面白いけれど、街はそうでもない。だから田舎に住みたいという思いがありました。
友達ともそういう話はするけれど、「追い追いね」とか、「歳とったらね」とか、結局みんな踏み出せないんですよ。
だから「あいつがやってるから」みたいな感じで、自分の存在が何か一歩踏み出すためのきっかけになればいいな、という思いもありました。
VILLAGE INC.へ入ったのは、そんな色々考えていたことがすべて重なったタイミングだったんです。なので迷いや不安はまったくありませんでしたね。
大切にしているのは「想像力」と「向上心」
ーホームページの茶屋さんのプロフィールに「Think Realistically, Act imaginatively.」と書かれていますが、これはどういう意味なんですか?
意味としては、「想像力を働かせて行動しよう」ということを言いたいんですね。
もともと「Think global, act local」(グローバルに考えて、ローカルに行動しよう)っていう言葉があって、それをモジったものなんです。
これは前職のときからずっと思ってたことなんですけど、正直言うと知識とかは本当にどうでもよくて、それよりも想像力を働かせて行動するほうが大切だなと。
相手のことを情報として知っていることはもちろん大事なんですけど、「相手がどうしたいか」「相手がどう思うか」ということをイメージしていく方がずっと大切なことだと思うんです。
あとは向上心を常に持つことも大切にしています。
そもそも橋村と一緒に働きたいと思ったのも、彼がめちゃくちゃポジティブで向上心があると思ったからなんです。
僕自身、もちろん落ち込んでしまうときもありますけれど、向上心は常に持っていたいなと思いますね。そしてそれは、一緒に働くスタッフのみんなにも求めていることです。
感じたワクワクを大切に。自分たちなりの「いい場所づくり」と向き合っていく
ー今後「自分で何かやってみたい」など、先々考えていることはありますか
入社した当時は、ゆくゆくは独立して自分の事業をやってみたいと思っていました。
ただ、この会社って面白いくらいに何でもやる会社なので、やりたいことがあるなら会社の中でやれる方法を探してプレゼンすればいいんですよね。
そういうものは常に社員全員に開かれているので、自分のキャンプ事業部のメンバーにもそういう話はよく伝えています。
ーでは今の会社をやめることはあまり考えていない?
自分にとっては、今の仕事は「新しい人生」なんですね。
東京での仕事をやめて、ここで働くと決めて体ひとつでやってきました。橋村から第二の人生をもらったという、感謝みたいな恩義を感じているんです。
だから、それは返さないといけないと思うし、簡単にやめるわけにはいきません。
それに、僕は自分がお客としてアクアヴィレッジを利用したときに、すごくワクワクしたんですよ。
そのワクワクする感じを、来てくれるお客さんにずっと感じてほしい。
来てもらったからには「新しい発見があった」とか「こんな遊び方できた」とか、これまでの感覚がちょっとでも崩れてくれたらいいな、と思ってるんです。
そして、やっぱりキャンプ事業の土台は、橋村が1人で始めた「秘密基地」なんですね。
なので、そこを陳腐なものにしないようにすることが1番大事だと思っています。でも、だからといって盲目的に橋村についていきたいとは思っていません。
ただ同じものを目指しているというか、見ているものが一緒で、その手助けができればいいなと思っているんです。
設備の豪華さに頼るのではなく、VILLAGE INC.ならではの「いい遊び」、「贅沢な時間の過ごし方はこういうものだ」というものを提供していかなければいけない。僕たちがやろうとしていることは、そういうことだと思うんです。
「自分たちなりのいい場所づくりって何だっけな」というのを、スタッフと一緒に考えながら、日々の仕事と向き合っていきたいですね。
リスクを恐れずに前を向いて。ワクワクを胸に挑戦の海へ舟を漕ぎ出すVILLAGE INC.
茶屋さんも「秘密基地」に魅せられ、橋村さんに魅せられ、人生のあるタイミングで大きく舵を切っていた。
茶屋さんが「秘密基地」で感じたワクワク。それがもともとあった「人が集まる場所をつくる仕事がしたい」という思いと重なり、VILLAGE INC.へ引き寄せたのだ。
今回、梅田さん、橋村さん、茶屋さんと、VILLAGE INC.の中核となる3名をインタビューさせていただいた。
3名に共通することは、
〇常にポジティブである
〇恐れずにリスクをとっている
〇心からワクワクする選択肢を選んでいる
こと。
とにかくお三方とも前向きで、話を聞いているだけで不思議とこちらも元気になるのを感じた。
そして、周りとは違うタイミングで、普通はためらってしまうような難しい舵取りをしている。それぞれがとったリスクは「保証が一切ない世界への挑戦」だ。
それぞれのお話をうかがっていると、まるで皆が皆、海に向かってオール片手に舟を漕ぎ出しているかのように感じた。そしてそれを心から楽しんでいる。
みんな子どものように、ただただ楽しいことを求めて走り回っていたあの頃の目をしていた。
今後もVILLAGE INC.の「秘密基地」からは、子どもの目を取り戻した人たちが挑戦の海へ漕ぎ出していくに違いない。
これにて一旦VILLAGE INC.へのインタビューを終えることになるが、これからも個人的なウォッチは続けていくつもりだ。そして僕もまた伊豆下田を訪れ、今度は「秘密基地」に滞在してみようと思う。
なおそんなVILLAGE INC.は、LivingAnywhere Commonsのコミュニティーメンバーとなり、お互いのビジョンを実現するためにタッグを組んでいる。LivingAnywhere Commonsは自由な働き方を共創してくれるメンバーを募集しているので、少しでも興味を持った方は個人・法人問わずぜひ募集ページをチェックしてみてほしい。
VILLAGE INC.の皆さん、本当にありがとうございました!!!
〈取材・文・撮影=長濱裕作(@hamalandspace〉
LivingAnywhere Commonsでは今、個人・法人を問わず、自由な働き方を共創してくれるメンバーを募集しています。今回の記事を読んで少しでも興味を持った方は、ぜひ募集ページをチェックしてみてください !
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