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プラットフォームビジネスのグロース戦略を整理してみた

世の中にプラットフォームビジネスは数多ありますが、各サービスが事業拡大に向けた考え方は様々です。また、同じサービスでも事業フェーズによって考え方が変わる事もあると思います。色々なサービスを外から見ていると、こうやってこのサービスは事業拡大してきたんだなあと考える事があったので、今回は4つに整理してみようと思います。

1.ユーザ向け×プロダクトの改良

ユーザがプロダクトを利用する際の使いやすさや楽しさレベルを上げていく事で、サービスを拡大していこうという考え方です。これはどんなサービスでも当たり前にやっている事だと思います。

2の「ユーザ向け×施策の実行」との違いは、ユーザを動かす手法はあくまでプロダクトそのものであるという点です。ユーザがプロダクトを利用する過程において、迷いやストレスが生じず楽しんで利用してくれている状態を指しています。

先にも申し上げたとおり、これは世の中の全プロダクト全サービスが実行している事だと思いますが、その中でも私個人的には、ZOZOさんがこれを体現していて、ZOZOSUITやZOZOMATはまさにユーザ向けのプロダクト改良だと思っています。試着できないというECならではの懸念を解消するために、ZOZOSUITというプロダクトを作り上げ、ユーザのストレスを解消しようとしる姿勢を見て、プロダクト改良ってこういう事だよなあと思うのです。

2.ユーザ向け×施策の実行

1がプロダクト改良であったのに対し、2はプロダクトではなく施策によってユーザを動かすという考え方です。プロダクトに多少使いにくさや改良点が残っていたとしても、それを超えるメリットを何かしら提供してユーザを動かしていくイメージです。

プラットフォームとは少しズレますが、PayPayのポイントバックキャンペーンはまさにこの手法ではないでしょうか。リリース当初は、正直プロダクトの使いにくさも話題に上がっていましたが、そのストレスを凌駕するポイント還元によってユーザを一気に動かし、決済領域のシェアをかっさらっていきました。

この手法は、ある意味手っ取り早いというか、プロダクトを地道に改良していくよりもスピード感を持って、ぐいっと力技でユーザを動かせますよね。但し、ある程度の資金が必要だと思うので、事業フェーズや会社の資金力によってこの手法を取る・取らないの戦略は大いに変わってくると思います。

数年程前からの楽天グループさんの動きは、まさにこの動き方だと思います。これは個人的印象ですが、楽天さんってユーザの痒いところに手が届くような機能ってあまりなくて、どちらかというとユーザが無意識のうちに商品に出会って買ってしまう、みたいな楽天さんの手の上で転がされてるような設計になってると思っていて(褒めてます)ユーザ自身が楽天をすごく使いやすいと感じてる事って少ないと思うんですが(褒めてます)、ポイント還元キャンペーンを打ちまくる事で圧倒的なユーザを獲得してるんだなと。これは楽天さんだから出来るやり方ではないでしょうか。

3.プレイヤー向け×プロダクト改良

ここからは戦略方針がガラッと変わります。ユーザのための動きではなく、プレイヤーのための動きです。

そもそもプラットフォーマーは、プレイヤーが居ないと成り立たない商売です。プラットフォーマーはあくまで場を提供しているだけで、本来はプレイヤーとユーザのコミュニケーションだけで成立します。なので、プラットフォーマーはユーザの獲得と同じくらい、もしくはそれ以上に、プレイヤーの獲得・プレイヤーにプラットフォームを活用してもらえるかが非常に重要だと思っています。

同時に、プロダクトは一見ユーザが使うためのものと捉えがちですが、プレイヤーが情報を提供したりユーザと繋がるためのものでもあります。プレイヤーが動きやすくするためのプロダクト改良も非常に重要です。

またしても外から見た勝手な見解ですが、例えばBASEさんはよくこの動き方をされている印象があります。勿論ユーザ向けのプロダクト改良も沢山やっていらっしゃると思いますが、お店の方々に対する目線のメッセージやリリースがすごく多いなと。

他には、メルカリさんの出品体験のプロダクト改良もそうですね。(メルカリさんの場合、出品者も購入者もユーザという扱い方かもしれませんが)ユーザからすると特に体験変化は無いような改良も沢山あると思いますが、プレイヤーがプラットフォーム上で活動しやすくなれば、自ずとユーザに対して提供出来るサービスレベルが上がり、結果的にユーザ獲得出来るという考え方だと思います。

4.プレイヤー向け×施策の実行

プレイヤー向けの施策は一般の目に触れにくいですが、代表的な例は2013年に実施されたYahoo!ショッピングさんの出店料・ロイヤリティの無料化だと思います。プレイヤーの出店数を一気に加速させるには良い施策だったんだと思います。

プレイヤーがどのプラットフォームで戦うか選択する基準は、プレイヤーにとって様々です。売上影響は勿論のこと、コスト感、プレイヤーの戦略とプラットフォーマーの戦略がマッチするか、システム上懸念はないか(プラットフォームが提供する機能だけだとビジネスが成り立たない、みたいな事はよくある話)等、多岐に渡ります。プラットフォーマーは、事業をグロースするために集客力や販売力の高いプレイヤーをプラットフォームに誘致する必要があり、プレイヤーの判断基準に適った施策を打っていく事がプラットフォーマーにとって重要となります。

さいごに

ここまでが、私が考えるサービスグロースの4分類でした。当たり前ですが、実際の手段が全て綺麗に4グループに分かれる訳ではないと思いますし、各分類にまたがる手段もあると思います。重要なのは、事業のグロースに向けてどのタイミングでどの手法を実行するか、です。

最近ZOZOTOWNにブルガリがOPENしていましたが、これって10年前のZOZOさんでは出来なかったと思うんですよね。ここまでZOZOさんがユーザ獲得に向き合ってこれだけの規模を獲得したからこそ、プレイヤーが動いたと思うのです。事業フェーズや成長戦略によってどこに注力していくか、もしくは全部やるのか、これがプラットフォームビジネスの難しさであり、面白さだと思うのです。

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