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「サイン盗み」問題でわかった貴重な”選手”とは?

天才・イチローの問題提起

イチローは引退会見の中でこう語ったのは記憶に新しい。

「(2001年から最近にかけてアメリカの野球が)頭を使わなくてもできてしまう野球になりつつあるような。選手も現場にいる人たちもみんな感じていることだと思うんですけど、これがどう変化していくか。

頭使わないとできない競技なんですよ、本来は。でもそうじゃなくなってきているというのがどうも気持ち悪くて。」

”おもろいヤツ”が絶滅の危機?

そして最近、甲子園で話題の「サイン盗み問題」。自分なりにこれに【気持ち悪さ】を感じている部分がある。それは何か?
きっと「盗んだサインをあまり深く考えもせずに目先1球や1勝を優先して安易に伝達することを選択してしまっている」という事。

昔、自分らが少年時代(20年くらい前だけど)に野球やってた時、何故かわからないけど相手投手の癖とかやキャッチャーのサインなどを読む事が”得意”なヤツっていませんでした?
(これがまた何故か”野球選手としての能力”自体はそこまでもないっていう共通点もまた面白いけど、それはまた別の機会にw。)

こういうヤツって、ある意味”野球自体”を凄く知っていて、体の使い方の癖とか、野球を”する”のが好きというより”観るのが好き”っていうタイプだからその辺りの洞察力が研ぎ澄まされて、一つの能力として確立されてゆく。
で、人間自体の観察眼も鋭いから、チーム内での伝達方法とかも頭使ってうまく考えるのよね。こういう選手って、今思うと凄く貴重だったのかも。

でも、最近はそういう”おもろいヤツ”が絶滅危惧種的になってきてる。

「サイン盗み」問題の根っこ

それは、何故か。
アマチュアメジャーリーグである高校野球は「トーナメント形式」であり、もちろん負けたら終わり。目先の1球や1勝を重視する勝利至上主義がこういう”おもろいヤツ”を絶滅に追いやったのでは?と考える。

実際こういう選手が活躍するのって、プロ野球とか大学野球とかの長期的に戦っていくリーグ戦だと非常に重宝されるのだけれども、いかんせん、この最高峰の野球フィールドに行き着く前の高校野球で、この種の”選手”はトーナメント形式で力を発揮しづらいからチームでも自然淘汰されてしまいがち。

で、残った”野球自体のプレー能力の高い野球選手”が前述したようなヤツがやる”プレー”を真似しようとしても、その”プレー”は身振り手振りが全面に出てしまう思慮の浅い手法になってしまう。

つまりは、各選手の野球脳が一番鍛えられる育成期間で横行する”勝利至上主義”が考えない選手、思慮の浅い野球を生み出してしまっているという捉え方もできなくはない。
これが、今の「サイン盗み」問題の根っこのような。

あるべき”日本の野球”

イチローはさらにこんな風にも。

「日本の野球がアメリカの野球に追従する必要なんてまったくなくて、日本の野球は頭を使う面白い野球であってほしいなと思います。アメリカのこの流れは止まらないので。せめて日本の野球は決して変わってはいけないこと、大切にしなければいけないことを大切にしてほしいなと思います。」

もちろん勝負事だから、負けるのは面白くない。
それは勝った方良いのはいうまでもない。
でも、”どう勝ったのか?”とか”どうしたら負けないのか?”とかそういう本質的なところを【考え抜ける選手】が多く出てくるのを楽しみにしたいなぁ。

もっと”自分のプレーや体現しようとしている野球の理由”を語れる選手

って言いながら、結局のところイチローロスを抜けられてないお前も頑張れって話。

終わり。

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