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映画「君たちはどう生きるか」

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#宮崎駿

すずめと青サギで見つめ直す今の自分と両者の比較について。

中3で「君の名は。」高3で「天気の子」大3で「すずめの戸締まり」と、僕の若き日々の記憶は、常に新海誠作品が隣り合わせにあった。 また同じように、子どもの頃の記憶には、何度も見たトトロやポニョ、千と千尋、平成たぬき合戦ぽんぽこ、耳をすませばなどなど、ジブリ作品の記憶が編み込まれている。 ライフステージの成長と共に、このような作品に囲まれて育った今の自分に、このところ連続して公開された新海誠作品「すずめの戸締まり」と宮﨑駿作品「君たちはどう生きるか」の2作品は極めてクリティカ

力が抜けない私たちに送る宮崎駿の「君たちはどう生きるか」

先日、宮崎駿の「君たちはどう生きるか」を見てきた。 皆、いろいろな意見があるので、わたしもこの映画の感想を書こうと思う。 わたしがこの映画を見て感じた事は、宮崎駿はもうみんなのために頑張るのをやめたんだなっということでした。 これまで、皆の腹を満たすための映画、つまりはただ消費されるための映画を作ってきた。宮崎駿自身は、その自分の作る映画の意図がしっかりと見る人の心に届いているとそう信じて製作を続けてきた。 でも、その皆の心の奥深くにある光に届くと信じて書いてきたもの

継承と帰還。宮崎駿と庵野秀明。

2023年。 今年、何の因果か、 宮崎駿と、庵野秀明の映画が公開された。 ナウシカで巨神兵を描き、 新世紀エヴァンゲリオンで時代を築いた、庵野秀明。 日テレと提携したことで商業的に成功し、 千と千尋で、スタジオジブリを世界に轟かした、宮崎駿。 20年前の世紀末では、 だからみんな死ねばいいのに、エヴァと 生きろ、もののけ姫だったが、 シンエヴァシリーズ完結させ、 さようなら全てのエヴァンゲリオンとして、慈愛と感謝を伝えたり、 宮﨑駿としてのクリエイター、最後として、

君たちはどう生きるか-今だけの贅沢な体験に乗り遅れるな

いよいよ明後日にジブリの最新作君たちはどう生きるか、が公開されます。 公開に先立ち、内容の予想も書いてみましたが、 あれから2週間、流石に直前には少しは情報は出るのではと思っていましたが、全く出てきません。 劇場パンフレットもなし、という徹底ぶり。 これはもうすごいです。そもそも、普段映画を観ない人は映画が公開されることすら知らないんじゃないでしょうか。 当日の映画館のポスターにも声優なども書かれないんですかね。そうかもしれません。 この宣伝をしない、という宣伝、鈴木P

【君生き感想】え?わけんからん?それはそうよ

君たちはどういきるか、観てきました。 観終わったあとの1番の感想は 「ああ…商業も人の目もなく作品を作りたかったのだろうな」と思いました。 理由は自分が学生の頃にアートアニメーションを 制作したことがあり、 そのアートアニメーションの表現に非常に近しい部分が大変多かったからです。 商業アニメーションにはかわいい女の子、イケメン、グッズ化しやすい素敵なキャラクターが必要です。 だって商業なので。 宮崎駿クラスの人でさえ…いや、だからこそ。 お金にどうなるのか? から離れる

343. まさかの世界観だった、ジブリ「君たちはどう生きるか」

※大きなネタバレにならない範囲で語りたいと思います。 個人的に子供の頃からジブリ作品は意識せずとも刷り込まれているようなアニメでした。 だから敢えて観に行こう! と思う程の熱量はありませんでした。 ですが今回チケットが手に入ったのもあって、人生で初めてジブリを映画館に観に行きました。 前情報一切ゼロで。 宮崎監督の説教だとか噂されていたり、タイトルが「君たちはどう生きるか」であったりと、けっこう重たい作品になるのかな・・・と少し心配になりつつ・・・ しかし、そんな

「君たちはどう生きるか」20230714

同じ国に、同じ時代に、宮崎駿監督という才能がいて、 その新作をリアルタイムに見ることができる。 これがどれだけ尊いことなのだろうか。 その最後の作品になるかもしれない一作。 噛みしめて見よう。 と思い、朝一で映画館に行った。 最初の感想は「俺たちは何を見せられているのだろうか」だった。 しかし異世界にいった辺りで「なるほど、こういうことか」と思い始めた。 そして最終的な感想としては「俺たちは何を見せられているのだろうか」だった。 正直 わからないよパヤオ。 置いてかない

宮崎駿『君たちはどう生きるか』時代の終焉と命の終わり。表明と決意を船に乗せて荒ぶる残酷な現実と対峙する。作家性が漂いそれを観る。映画感想文。

 観た。情報なしで観たい方は閉じてもらうかして欲しい。何故ならめちゃくちゃ内容に触れると思うから。すんごく言いたい事があるし、自分は今回の作品に強く心惹かれたから。無茶苦茶長文で思いの丈を書き殴る準備は出来ている。  結論は凄かった。かもしれない。何が? と問われるとおしまいなんだけど兎に角凄かったのは間違いない。裸のランチとツインピークスリミテッドシリーズを合成したキメラみたいなものと言ってよいかもしれない。怖ろしく直接的な方法論で物語を繋げていく剛腕っぷりには脱帽せざる

宮崎駿最新作『君たちはどう生きるか』を理解できなかった人のためのネタバレ謎解き(ちょっと上級編)。

 昨日、「宮崎駿最新作『君たちはどう生きるか』を理解できなかった人のためのネタバレ謎解き。」と題する記事を書いた。 https://note.com/kaien/n/n60f311211017  これが、意外にというか、非常に好評だったようで、現時点で600以上の「スキ」を獲得している。  ぼくとしてはわりと常識的というか、いってしまえば基礎的な内容に留めた記事だったのでいくらか意外に思うと同時に、「そうか、この種の記事の必要性があるのか」といまさらながらに気づかされた

『君たちはどう生きるか』【ネタバレ感想】宮崎監督は「自分の人生の扉を離すな」と言った。

メタファーがすぎる!ww そんな映画に見えました。 『ラピュタ』も『トトロ』も『カリ城』も、ジブリ作品のモチーフがてんこ盛り。 キリコさんの船の足こぎ(カッコいい!)には、『もののけ姫』のタタラ場の足踏みを、サギ鳥が渾身の力で飛ぶ「ビィィン」と鳴くような羽ばたきからは『ラピュタ』で海賊兄弟が乗るフラップターを感じました。 まだ1回しか見ていないのですが、その時点での感想を書きます。 眞人くんは宮崎駿監督の心の中にいる少年。 直近の記事には「自分の理想だけではなく己の悪い面

宮崎駿最新作『君たちはどう生きるか』を理解できなかった人のためのネタバレ謎解き。+おまけ記事30000文字。

 昨日、宮崎駿監督の『風立ちぬ』以来、10年ぶりの新作映画『君たちはどう生きるか』が公開されたので、ひとりのアニメファンとして当然ながら初日初回で見てきた。  個人的にはリッチなアニメーションと幻想的なストーリーテリングを楽しんだが、予想通りというかいつものことというか、ネットでは賛否両論である。  それ自体はおおよそ想像できた展開ではあるのだが、予想外だったのは「ストーリーがわからない」という意見だった。  たしかにとっつきの良いわかりやすい娯楽大作とはいいがたい映画

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