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島の最盛期がやってきた

島のあちらこちらで百日紅の花。
真っ赤なやつ、薄紅色のやつに白いやつ。風がそよぐと少し大げさに揺れてみせて、その存在をより一層魅せてくれる。

そういえば過ぎてしまったけれど7月1日。
Entôは開業1周年を迎えた。

多くの媒体に取り上げていただき、施設だけでなく改めて町や隠岐全体の認知度が上がってきていることを肌で感じる。
そしてそれ以上に、ここで働くスタッフひとりひとりが施設や町、そして自分自身の「在り方」を常に模索し続けていることが、わたしは魅力的に感じていて、古くからある変わらぬ大自然と並んで、常に変化する「人」も島へ来なければ知ることのできない魅力のひとつに食い込んでくるんじゃないか。そんな面白い人達と一緒にゲストを迎えている。

途中参加の自分でさえ誇らしいこの場所で、記念すべき日に運営の一員であることは何よりもこれからの支えになる気がした。

そんな嬉しいときにひとつだけの心残りは、1周年を迎えた途端に急激に体調を崩してしまい(注:流行りの感染症ではない)7月まるまる仕事から離れていたこと。ひさしぶりにEntôで開催された、まるどマーケットに足を運ぶことも出来ずに泣く泣く同僚に買ってきてもらったカレーをすすった月初の苦い記憶。
飼っている猫の世話から、時々だれかが作ってくれるご飯に癒やされて徐々に回復。リハビリを経てやっと今週末からゲストを迎える場に戻ることができる。シェアハウスで暮らしている恩恵を惜しみなく享受した1ヶ月だった。

まいにち暑くて溶けそうな朔、よく畳や廊下に落ちている
いつでも楽しめるようにと、ジャングルと化した畑を救われた日もあった
つやっつやのおにぎりの威力に圧倒される…

横たわって動くことが出来なかったときは、命綱とも言える本に癒やされる日も少なくはなかった。命綱とは大げさな、という気もするけれど、様々な年代で綴られたたくさんの言葉が、もどかしい状態を解きほぐすように語りかけてくる。長田弘さんの詩集はいつも手元にあって、対人のサポートと同じくらい、わたしにとっては回復の一助だった。
遠くに行けなくても、言葉で旅することはできるんだと教えてくれる。

辻仁成さんの書籍から  「自分を大事にする」ことは人生の基本中の基本
食の思想/小林カツ代  読みかけのまま枕元に。

仲間の近況にも勇気づけられた。
特にTOUCAプログラムで各地を巡っている彼らの日々は、傷んだ身体にあたらしい血液をぐんぐん送ってくれるような力があった。はじめて知った方もこの機会にぜひ活動の記録を辿ってみてほしい。

左:TOUCA1期生の上岡さん 中:寝起きのわたし 右:TOUCA1期生の中田くん


海士町の夏は、おそらくこのご時世になってから久しぶりの超繁忙期。
遠いこの島へ足を運んでくれた人たちが、なにを感じるのか。自然か、人か。食の驚きも。

もしかしたら「自分自身」を感じる瞬間も転がっているかもしれない。島のフィールドで、はたまたふらっとEntôで、客室の小さなコンテンツを使って見つけてみるのもいい。

いつかどこかで逢えますように。


いただいたサポートは愛猫へのご褒美ちゅーるになる可能性が高いです。