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私は歯医者が苦手かもしれない。
最近、久しぶりに歯医者に行った。親知らずが人知れず成長して歯茎を圧迫し、炎症を起こしてしまったから。
あらまあ、と洗面所の鏡を見ながらすぐさま近所の歯医者をスマホで探し、そのまま洗面所で電話をして30分後に予約を取った。こういうのは勢いがカンジン。
歯医者さんに、炎症止めを処方するか、歯の上に乗っかっている歯茎を切除するか、後日親知らずを抜くかのどれがいいかと聞かれたので、間髪入れず歯茎切除を希望。
小さいころそこそこ歯医者に行かされていたので、久しぶりでも別にどうってことはない。
奥歯周辺に少々痛い麻酔を数回打たれ、ごっつい機械で歯肉が切られているのを感じた。終わりに変な味の薬を塗られて抗生物質の薬を処方されてその日は終了。感覚のなくなった奥を舌で確認しながら、せいせいした気持ちだった。
初期の虫歯がありますと言われたので、すかさず一週間後に予約を取って再び来院。
まあ長らく行ってなかったわけだし、虫歯があってもそこまでおかしくはないか。でも虫歯なんてやれやれ、と思いながら台に寝転んだ。
初期の虫歯なので麻酔もなし、すぐ終わりますよと言われたのだが。
なんだなんだ、私、ビビっている?
歯肉を切ったときは何の問題もなかったのに、今回は身体が恐れおののいているのを感じた。
目が潤んで、顔がびくつく。
なんで?
これが正真正銘のトラウマというやつなのか。
急いで幼少期の記憶をたどったのだが、私の記憶の中にある虫歯治療も大したことはなかった気がする……。幼き自分がショックすぎて記憶ごと消してしまおうと試みたのかもしれない。感情だけ残っていては逆に煩わしいわ。
こういうことって起こりえることなのか。
先生の言うとおり、凄い速さで治療完了。痛みも全くなかったのだけれど。
ビビリの余韻が残っている。
支払いの前の待合室で悶々としてしまったので、その日はいつもより遠回りをして家に帰った。
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