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女性政治家を増やすために~上昇婚はなぜ悪いか、毎年1回フェミニストは自分で説明している

繰り返し説明している通り、私が上昇婚(特に就労意欲の強い女性ほどマッチョ男性を好み"女々しい"男性を嫌悪する傾向。リンク先参照)を問題視しているのはそれが男女格差の温床になっているからである。しかも、日本の男女格差はピンポイントで《女性が主夫の内助の功で出世する》ことが解決に役立つ構造となっており、ゆえに上昇婚問題を強調するのである。このことはフェミニズムの側でも分かっているはずである――なにしろ毎年1回、そのような主張が大量に上がってくるのだから。

男女格差を測る

日本の男女格差を語るうえで、まず、男女格差の測り方、比較の仕方について取り上げよう。その方法には様々なものがあり、例えば、以下のような指標が国際比較でよく用いられる。
・健康 [寿命、妊産婦死亡率、性比]
・人権 [外出制限、児童婚、性犯罪、DV、セクハラなど]
・教育 [識字率、就学率、高等教育進学率]
・経済 [就業率、所得格差、同一同労同一賃金、育休制度]
・政治 [投票権、地方議員、国会議員、首相任期]

女性差別を測る最も基本的な指標としては、国連UNDPの発表している人間開発指数の一部である、人間開発(健康、教育、労働)で男女差がないか見たジェンダー開発指数(GDI)および社会的に男性のみが求められていないかを測るジェンダー不平等指数(GII)の2つが挙げられる。2018年版の人間開発指数(2017年の数字を集計)では、日本はGDIは十分達成扱いの第1グループ、GIIは世界22位で、いずれも世界トップクラスである。特にGDIは所得格差、GIIは国会議員の男女比が足を引っ張っているのみで、それ以外は北欧並みのトップオブトップに評価されている。この数字が報道されることはほとんどないが、いわゆる「便りがないのは良い便り」の類であろう。

また、世界銀行の制度的男女平等度ユニセフの育休制度の評価など、日本は制度面での男女平等は世界トップクラスに高く評価されることが多い。ただ、制度の誘導通りに事が運んでおらず、実現された男女平等度では低くなることもまた世界銀行は指摘している。

日本で最も多く報道されるジェンダー格差指数は世界経済フォーラムが発表しているGlobal Gender Gap Index (GGGI)だろう。このインデックスでは、日本は毎回100~120位前後というセンセーショナルな数字を出すため、毎年発表されるごとに報道に乗り、男女格差の象徴として盛んに取り上げられる。

人間開発指数では男女差の少ない優良国扱いの日本が、GGGIではなぜここまで順位を落とすか――それは、GGGIがやや癖のあるインデックスで、女性首相在任期間>国家議員女性割合>女性経営者/管理者数>所得男女比、の4つがこの順で効いてくるからである。これが極端に出ている例として、2018年版のバングラデシュの数字を挙げよう。
   2006    2018
総合   91位 →  48位
経済 107位 → 133位
教育   95位 → 116位
健康 113位 → 117位
政治   17位 →  5位
   (115国中) (149国中)
バングラデシュは、調査国数が変わったことを鑑みても2006年から2018年にかけて躍進している。しかし内訳をよく見ると、政治だけが高い。政治の中でも女性大臣比率などは日本より悪く、ただ一点、国父ムジブル・ラフマンの未亡人と長女が交代で政権を握り続けることでこの順位を稼いでいる。バングラデシュにおける女性の人権は、レイプ、幼女婚、持参金殺人や寡婦殉死など基本的な部分が世界中で最悪に近い劣悪な状況で、人間開発指数のGDIはグループ5(最低)、GIIは134位/189か国となっている。日本女性とバングラデシュ女性のどちらに生まれたいかと言われれば迷いなく日本であり、その意味でもGGGIは極端な数値が出やすい指標だということに注意が必要である。

しかし、GGGIが意味がないわけではない。その極端な傾斜が示す通り、政治的エンパワメントを示す指数だからである。そして日本はその数字が低い。具体的にいえば、女性首相在任比率、女性大臣比率、女性国会議員比率、および会社役員の女性比率が特筆して低い(これら4指標は男女平等の満点の20%以下。それ以外は一番低い数字でも52%。経済系117位の中でも、同一労働同一賃金は45位と高く、女性役員比率129位や女性技術者比率108位が低い)。それを高めることは男女格差の解消の目標として適切である。現に、日本のフェミニズムにおいてはこのインデックスは重要視され、特に声高に解消を求められている。

GGGI改善のため、女性政治家と女性会社役員を増やす

筆者はこれまで、外国ではなぜ女性政治家や女性役員の数が多いか、その理由を探ってきた。そして、ニュージーランドのアーダーン首相、アメリカのマリッサ・メイヤー、蓮舫をはじめとする日本の国会議員などの個別例や、その他外国の女性エグゼクティブの統計を見ることで、一つの答えを得た。彼女たちは配偶者を主夫として内助の功を得て、産休を1か月程度の早期に切り上げ、月額20万の保育料を支払って仕事に邁進しているのである(またはメルケルのように実子を産まないという手もないではないが)。

男女格差を埋める方法としては、ワーク・ライフ・バランス(WLB)を重視する方法もある。過去男性は主婦の内助の功というチートを使って働いており、これを解消することで男女差は埋まるからである。

しかし政治家や役員はそうはいかない。これらの職業は、多くの人の話を聞いて集約し、多くの人のあげてくる決裁要求にこたえていく仕事であって、とかく時間がかかる。地方議員なら1000票も取れば当選する人がいるので副業議員も珍しくないが、GGGIが問題にする国会議員は数十万票は必要であり、とても片手間では済まない。政治家については、職業倫理上有権者の話を聞く滅私奉公が求められており、プライベートの時間の確保を求めるWLB重視の方向と相いれない。

日本のフェミニストが声高に改善を求めるGGGIをよくしていくには、何をしたらよいか?その最短の答えは、女性が配偶者を主夫にして内助の功を得て、とかく時間を必要とする管理職、役員、国会議員に出世する勇気とバイタリティを持つことだ。

そしてその邪魔になるのが上昇婚だ。ダグラス=有沢の法則に現れる通り、女性が自分より高所得の配偶者を持っていると主婦化してしまうことが多い。せっかく管理職トラックにいる女性も自分と同格以上の男性と結婚しては、ドロップアウトして駐妻のような存在になり下がってしまうのである。これではいつまでたってもGGGIは改善しない。退路を断って配偶者を主夫にし、自分が出世する。これは最善の答えの一つである。

GGGI改善のその他の策

筆者は従前から女性に資格を取るように勧めており、技術系(電気工事など)の資格は特に勧めている。資格職は産休・育休からの復帰が(他の管理職系トラックに比べ)ずっと容易であり、WLB重視の働き方をするにしても重要だからである。

GGGIでは経済部門で日本の女性技術者比率が世界108位と悪いことを指摘しており、これは女性の生涯賃金の低下を増大させていると考えられる。日本は士業や技術系資格で女性の比率がいまだに低く、これらの職種への女性の進出を筆者は強く推奨する。

終わりに

この「上昇婚をやめよ」という主張は不可解なことに女性側から嫌がられ、男がこれを主張することミソジニーとして扱ってくる手合いもいる。だが、それは勘違いだ。

私は下手なフェミニストよりはずっと進歩的なフェミニストであり、GGGIを改善せよという貴女方の主張を真摯に、そして真剣に受け止めている。私が声高に上昇婚を批判するのも、フェミニストがGGGIを持ち出して主張していることをかみ砕いて話しているだけのことに過ぎない。私は、皆さんがGGGIの意味をもっと真剣に受け止め、その改善に勇気をもって踏み出し、主夫の配偶者を得て内助の功で出世することを期待している。

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