二十四節気の養生法【2024 穀雨】
太陽の黄経が15度になり斗が癸を指すと穀雨です。今年は4/19~5/5までが穀雨になります。春の最後の節気で「温かく降る春の雨が田畑を潤し穀物を生長させる」という意味があり、暦便覧には「春雨降りて百穀を生化すれば也」とあります。二十四節気の中の六番目の節気で春季の最後の節気です。
今月の癒しの庭園 仁和寺「御室桜」
京都ではすでに桜端の候となり葉桜のところも多くなりましたが、今年は昨年と比べるとずいぶん遅い開花でした。東北や北海道では今ごろは見頃を迎えている頃でしょうかね。
仁和寺の御室桜は京都では一番遅い桜として有名で、伺ったのは少し前の花祭り(4/8のお釈迦様の誕生日)の時でまだニ~三分咲きぐらいでした。
さすがにもうかなり散っているようですが、まだまだ50%ほどは花が残っているようです。
仁和寺にある桜は御室桜(おむろざくら)と呼ばれ、京都に数ある桜の名所の中でも特に著名です。公益財団法人日本さくらの会が選定した「日本さくら名所100選」にも、京都市では嵐山、醍醐寺とならんで仁和寺の御室桜が名を連ねています。
平安時代の記述にも残っており当時から仁和寺の桜は人気だったようですが、御室桜は応仁の乱でほとんどを焼失した伽藍が江戸時代初期に復興された時に植えられたようで、宝永3年に貝原益軒が著した京都ガイドブック「京城勝覧」で「春は此御境内の奥に八重ざくら多し。洛中洛外にて第一とす」と紹介されています。当時でも京都でナンバーワンの桜の名所だったようです。
大正13年に桜川(茨城県)、小金井(東京都)と並んで初めて桜の名勝として国に指定されました。
御室桜として有名ですが、御室有明、車返し、御衣黄(ギョイコウ)、欝金(ウコン)、普賢象などのサトザクラという品種の桜だそうです。
仁和寺の御室桜は非常に背丈が低い樹です。昔から、「わたしゃ おたふく 御室の桜 はなが ひくても 人が好く」と歌われてきました。
御室桜は丈が低いため、見上げなくても満開の花を楽しめ、名勝の敷地内には観桜台があり、背の低い御室桜の向こうに江戸時代に建てられた五重塔が聳えます。首に優しい桜ですね。
名勝 御室桜は、中門をくぐって左手一帯に囲われてあります。御室桜はなぜ背が低いかはハッキリした理由がいまだにわからないそうですが、ボーリング検査の結果、桜が植えられてある地下に堅い粘土層があり、御室桜の根は地下60cm程度までしか張っていないそうで、また植物が育つのに必要な養分が乏しいこともわかりました。これらのことから御室有明という品種の持って生まれた性質という説と、仁和寺の土壌が原因という説が有力だそうです。
名勝の他にもソメイヨシノやしだれ桜、八重桜などの桜やミツバツツジなどが咲き誇り、境内を彩っています。鳥たちも集まってきて蜜を啜っていました。
今年は、穀雨のころに御室桜が満開になっているかも知れません。皆さまの地元でも桜の名所はたくさんあるでしょうね。やはり日本の春と言えば桜でしょうね。満開の桜を見ると子供のころの入学式を思い出したりして感慨に耽りますね。
これから少しずつ新緑が鮮やかになります。お花見やハイキングなど身近な公園などに出掛けておにぎりだけでもいただいたらほっこりします。
ぜひ新緑に癒されにお出かけくださいね。
穀雨の養生法
4月16日から「春土用」に入りました。二十四節気や五節句以外にも八十八夜や二百十日など主に農作業の目安や季節の移ろいを感じる日を雑節とします。土用については【2023 穀雨】に詳述しています。季節の変わり目となり特にお腹(消化器系)を傷めやすい時節です。暴飲暴食やお腹を冷やさないよう気をつけてお過ごしください。ご興味のある方は是非ご覧下さい。
「清明になると雪が降らなくなり、穀雨になると霜が降りなくなる」と言われ、北緯20度~46度と縦に長い日本列島では地域差が大きいですが京都での平均気温は摂氏15度ぐらいになります。穀雨が過ぎるとの気温の上昇がどんどん早くなり、降雨量が多くなり始め、十分な雨量のおかげで植えたばかりの水稲の苗、栽培したばかりの作物の灌漑がおこなわれ、五穀がすくすくと成長します。
季節は春から夏に進み、それとともに少しずつ自然界の気は「生」から「長」に移り変わり、万物がどんどん成長していきます。季節の気に合わせて「晩春から初夏の気」を取り入れて過ごしましょう。
痹証(神経痛)も風病
穀雨のころになると肋間神経痛、座骨神経痛、三叉神経痛などの神経痛を良く発症する人が多くなります。
筋肉や末梢神経の分布している部位の疼痛や腫れ、しびれなどを主症状とする病証を中医学では痹証(ひしょう)と言います。
この証は正気が不足している状態で風邪、寒邪、湿邪、熱邪などが侵襲すると四肢の関節や経絡の気血の巡りを滞らせることにより発症します。
筋・骨は肝・腎と密接に関係しているため、長期間傷む状態でいるとやがて肝・腎にも悪影響が及ぶこともあります。
症状がひどい場合は病院での治療が必要ですが、未病を癒しまた発症を予防するためにも自然環境に合わせて風邪、寒邪、湿邪、熱邪の侵襲を防ぎ、自分の体内でもそれらの邪気を発生しないよう生活習慣や食生活、感情のコントロールなどが大切です。
肋間神経痛は臨床でよく見かける自覚症状で、その表われ方は片側あるいは両脇のあばら骨あたりの痛みです。中医学では胸肋痛(きょうろくつう)といいます。『霊枢・五邪』には「邪が肝にあれば、両側の脇の中が痛む」とあり、また『素問・臓気法時論』には「肝の病気にかかっている者は、両側の脇の下の痛みで腹を少し引く」とあります。病因病理から肝は脇の部分に位置し、肝胆は陰陽表裏の関係でその経脈はともに身体の側面の脇に分布しており、肝の病気になると体側や脇に症状が現われやすくなります。
肝は風、木の臓でありその性質は条達を好み鬱結を嫌います。ストレスやイライラなどで情志が鬱結すれば肝気は疎通できなくなり、気が滞り脇の痛みとなって現れます。肝気が鬱結した状態が続くと、気が滞ってやがて血鬱が生じ血鬱による脇の痛みが起こることになります。どの病因でもその根本は肝気の滞りが原因なので、肝を健やかにして気血の巡りを良くして経絡を疎通させなければいけません。
座骨神経痛は、座骨神経の通り道の痛みで、お尻から太ももの後ろ側を通り、すねの下側にかけて重だるい痛みです。座骨神経痛は風邪、寒邪、湿邪の侵襲で発症することが多く、どの邪気に当たるか症状を見分けて経絡、気血の滞りを疎通させ、風邪を疎通し、寒邪を発散させ、湿邪を取り除き、営養を調和させて痺れを取り除きます。
三叉神経痛は顔の一定の部位に現れる一過性、続発性の激しい痛みです。この症状は三叉神経が分布する顔の片側の額の部、上顎あるいはあごのあたりに生じます。痛みはしばしば突然起こり、非常に激しい痛みを伴います。この症状は多くは中年以後の高齢者に発症しやすく、女性の患者がより多いのも特徴とされます。その病因病理の多くは風邪と寒邪を受け、顔の経絡が急に収縮して引きつけるようになり、気血の巡りが妨げられ突然起こる激しい痛みです。『素問・挙痛論篇』には、「もし寒邪が経絡に侵入すれば気血が滞って通らなくなる。経脈の外に阻滞すれば血が少なくなり、脈中にあれば気が通じなくなるので突然に痛む。あるいは肝気鬱結があれば、鬱結が陽盛となり飲食の節制ができなくなり、さらに食が滞って熱が生じ、肝胃の熱邪が顔に上がりさらに陰虚を引き起こし、房事過多ならば精を傷つけ、ますます陰虚と熱邪が旺盛となってこの症状を招く。寒風の邪気を受ける者には気血を疎通させることを主とし、肝胃に熱邪が鬱結する者は肝胃の熱邪をなくすことである。陰虚と熱邪の旺盛な者は陰を滋養して清熱する治法を行う」とあります。
「痹証(ひしょう)」の痺とは阻(はば)んで通じないという意味で、風、湿、寒、熱の邪気が侵襲し経絡に阻滞して気血の巡りを阻んで通らなくなり起こります。主に風、寒、湿、熱の邪気の侵襲により発症しますが、症状の違いによって痹証は4種類に分けられます。
①.風邪が主体となって痛みがアチコチに変わる行痹(こうひ)
②.寒邪が主体となり突き刺すような痛みが激しいものは痛痹(つうひ)と言います。
③.湿邪が主体となり重だるい(辛酸)痛みで痺れがひどいものは着痹(ちゃくひ)と言い、
④.熱邪が主体で発症が急なものは熱痹(ねつひ)と言います。
①.行痹(こうひ)
風邪が主体、痛みがアチコチに動き回る遊走痛
関節周囲の腫脹、屈伸困難、冷たい風に当たると悪化、温めると痛みは
楽、寒気や冷えを感じる
治法:疏風散寒、通絡止痛
(風寒邪を阻散させ気血の通りを改善し止痛する)
②.痛痹(つうひ)
寒邪が主体、痛みの箇所が固定で刺すようなキリキリした痛み
屈伸困難、冷えると悪化、温めると痛みは楽、熱感はない
治法:温経散寒、通絡止痛
(経脈を温めて寒邪を阻散して気血の通りを改善し痛みを止める)
③.着痹(ちゃくひ)
湿邪が主体、やや広い範囲で重だるい痛み、雨天や湿度が高いと痛みが
悪化、むくみやしびれ感を伴う
治法:祛湿通絡、散寒止痛
(湿邪を除去し風寒邪を阻散させ気血の通りを改善し痛みを止める)
④.熱痹(ねつひ)
湿熱が主体、四肢や関節の痛み
痛い箇所が赤く腫れていたり熱感がある、口渇、多汗、尿量少、冷やすと
痛みは楽
治法:清熱除湿、通絡止痛
(清熱し湿熱を除去して気血の通りを改善し止痛する)
痛みの箇所やカラダ全体の寒・熱・虚・実を弁別し、4種類のどの痹証に該当するかを見極めることが大切です。
関節リウマチや変形性膝関節症、痛風などもこの痹証の弁証論治が参考になると思われます。
「不通則痛、通則不痛」が原則
中医学には「不通則痛、通則不痛」という言葉があり、通らざればすなはち痛い、通ればすなはち痛くないという意味で、”頭が痛い”、”肩が痛い”、”お腹が痛い”、”腰が痛い”、”脚が痛い”などなど、カラダのどこかに痛みがあるということは、すなはち痛みがある個所の経脈に邪気が阻滞して気血が通っていないから痛むと考えます。この阻滞した邪気を取り除き気血の通りを良くして疎通させることによって痛みが解消すると考えるのです。
邪気によって取り除く方法がそれぞれあり、漢方薬や鍼灸・推拿を用いて取り除きますが、ストレッチやヨガをして緊張をほぐすということも非常に効果的です。
ムリをせずゆっくり息を吐きながらやるのがコツ。息を吐くと緊張が解れやすくなります。緊張が解れると阻滞した邪気が取り除かれ気血が巡りやすくなり痛みが改善します。症状のある個所に合わせて心地良い強さでやりましょう。
穀雨の節気にオススメの薬膳
穀雨のころには気温も上がり暖かい日も多くなりますが、まだ時々寒気が来て寒い時もあり、早朝に出掛けたり夜遅く帰る場合は特に風寒邪を受けないように注意することが大切です。まだまだ冷たい雨なので、雨降りには濡れないように注意し、濡れたらそのままにせずすぐに着替えや乾燥させるようにしましょう。風湿寒邪が腰からお尻、太ももにこびりつくと坐骨神経痛になりやすくなります。
穀雨の時節の食養生でも、季節の変化に調和して天人相応し、風寒湿邪の侵襲と滞りを避け、自分のカラダの状態(証)に合わせて風寒湿を取り除く食材を多めに摂るように心掛けましょう。
疏風作用のあるもの
食材では、祛風作用のあるもの香菜、バジル、みつ葉、ゆきざさ、クルミ、黒豆、はないぐち、酒、まむしなど。
散寒作用のあるもの
えごまの葉、からしな、しょうが、たで、ニラ、ねぎ、よもぎ、らっきょう、木犀、ういきょう、カラシ、キャラウェイシード、クミン、クローブ、胡椒、山椒、シナモン、八角、酒、羊肉など。
利湿作用のあるもの
うど、だいこん、きゅうり、キャベツ、もやし、ごぼう、冬瓜、白菜、とうもろこし、へちま、スイカ、黒豆、そら豆、大豆、小豆、枝豆、インゲン豆、鮎、鯉、鯛、鱧、ドジョウ、アサリ、シジミ、ハマグリ、海苔、昆布、ひじき、ワカメ、鶏肉、鴨肉、酢、味噌、コーヒー、緑茶、烏龍茶、ハイビスカス、山査子、ジャスミン、緑豆、はと麦、金針菜、かぼちゃの種など。
清熱作用のある物
アロエ、かきどおし、からすのえんどう、きゅうり、金針菜、タラの芽、つゆくさ、なす、苦瓜、のあざみ、まこもたけ、れんこん(生)、なでしこ、くちなしの実、まこもの実、柿、スイカ、梨、梅干し、わらび粉、塩、豆鼓、茶など。
京都伝統中医学研究所の"穀雨におすすめの薬膳茶&薬膳食材"
1.風寒邪「疏風散寒」におすすめ薬膳茶&食材
薬膳茶では、からだを温める黒のお茶、黒薔薇茶、増血美肌茶、健やか茶など。
薬膳食材では、竜眼、かぼちゃの種、マイカイ花など。
2.風湿邪「去風湿」におすすめ薬膳茶&食材
薬膳茶では、水巡茶、そろそろダイエット茶、なつめ薬膳茶など。
薬膳食材では、金針菜、かぼちゃの種、皮去り炒りはと麦、殻とり生はと麦、緑豆など。
3.湿熱邪「清熱利湿」におすすめ薬膳茶&食材
薬膳茶では、水巡茶、理気明目茶、五望茶、爽快茶など。
薬膳食材では、金針菜、緑豆、皮去り炒りはと麦、殻とり生はと麦、菊花、百合、桑の実、松の実など。
薬膳スープ四神湯スープ、いろいろお豆のスィーツセットもオススメ。
中医学や漢方の知恵を毎日のくらしに活かして、体質改善や病気の予防に役立てて下さい。
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次回は、5月5日「立夏」です。夏の気が立つ初夏ですね。一年で一番過ごしやすい季節でもあります。とは言え温暖化の影響ですぐに夏日も通り越して真夏日になるかも知れませんね。しかし雨も多くなりますので湿邪に気をつけてお過ごしください。