ありのまま普通級にいることを認めるということ。
ある時「これお母さんが手伝ってくれたの?」と、先生に言われたと、帰ってくるなり言う美沙。
習う漢字もそれなりに画数も増えたし、そのころには漢字練習は週末に向けた
テストに合格するため・・・というよりは、とりあえずめんどくさい宿題だけど
書くだけ書いたらそれでいいよ、ということにしていた。
合格点も80点ではなく60点で。
そう先生とは取り決めしていた。
私自身もすっかり鬼になることなく、漢字練習はとにかくコツコツやっとけば文句言われないんじゃない?っていうスタンス・・・が、いけなかったのかしらねぇ。。。
さすがに学期末のテスト直しは膨大な量となる。
その枚数・・・漢字ノート10ページ、だったかな。
土日で頑張ってやり切った美沙。
よくやったねぇ。ほんと黙々とよく頑張って書いていたのよ。
「先生がんばったって言ってくれるかな?」って言う美沙に。
うん。がんばったっていってくれるよ!と、そう答える私。
・ ・ ・ で、最初の一声に戻る。
そう言われた美沙は傷ついていた。そりゃそうだよね。
あんなにがんばってやっていて、しかも先生が褒めてくれるかなってやっていった宿題。
それを手伝うなんて考え、私には1ミリもなかったけどね。
そもそもそんなめんどくさい宿題、あの鬼になってた私が手伝うわけないんだけどなー。
まぁホント、その年はほんとにいろいろあったのです。
もう年数もたっているし、もしかして私自身の思いと当時の先生の思いが交差しちゃってる部分もあるでしょうし、今更それはフェアじゃないからもう書かないけれどね。
でも、先生は何を見て、私がそれを手伝っているんだと思ったんだろう。
ちなみに返ってきたその漢字ノートを見てみると、ご丁寧に赤い線が所々に引かれていた。
・・・きっとそれ、本気で私が書いたと思っていたのかな。
「ねぇ、この赤い線なあに?」と聞く美沙に。
「ん?きっと先生がこの漢字は上手だねって言ってくれてるんじゃないの?」と答えたけど。
・・・いやいやいや、どこをどう見ても
そんなやさしい線じゃなかったんだけども。
思わず電話で聞いてみようかと思ったけどやめた。
というかね。先生、そう思ったんだったら美沙に言わないで私に確認してほしかったんだけどな。。。と、今ならそう電話したわね。
っていうはるか昔の物語がありましたとさ。
でもね。まわりの子たちができることができない。みんなが理解していることが
理解できない。それでも普通級にいるということ。その感覚をもってそこにいるということ。
先生にお願いするのならば。。。
頑張ってもできないこと、ではなく、頑張ったその過程を認めてあげてほしい。
出した答えがたとえ間違っていたとしても。これ何の答え出しているんだろうと
思ったとしても。まずはその子の在り様でそれをやってきたことを認めてあげてほしいのです。
その身でそこにいることがどんなにきついことだろうか。その身でそこにいることがどんなに勇気のいることだろうか。たのむから、それをきちんと想像して、そこによりそってほしいのです。
それとね。最近よくツイッターで流れてくるんだけど。漢字を細かく直している赤ペン。あるいは先生から見て読みにくいひらがなに赤を入れる。
丁寧に描くことを目的としているのでしょうけれど。
お願いです。先生がそれをやる、その理由をきちんとその子にわかるように説明してあげてください。先生がどんな思いでそれを直しているのか。
でもそれ以前に、どうしてその子がそんな字を、漢字を書いているのか。その理由を先生がわかってあげてほしいのです。そこにちゃんと理由がある。
ハンデからそれをやっているのか、持ってる感覚でそれをやってるのか、家庭の事情でそうなっているのか。
いろんな理由がそこにある。
だからこそ、そこに寄り添っていただけたらなぁと。
だけどそれをやる先生にもちゃんと理由があるはずで。
心を痛めてくださっていたら申し訳ないけれど。
だからこそ、私は今度はそんな先生の理由が知りたいな、なんて思うのです。
って思っていたらこんな記事が。
そんな事情もあったのか。
先生も声を上げること。本当に大事だわ。
教室で頑張っているけど苦しんでいる、
あるいはなんだかいつも授業中は上の空になってる、そんな子がどんなことを考えているのか、どんな世界を見ているのか、知りたい先生がいらっしゃったら
ぜひ、この絵本を手に取っていただけたらと思います。
もしそんな状況に理解のない先生に当たっているお子さんがいたら、その先生にこの絵本を見せてください。
全国の小学校の図書室にこの絵本を置いていただけたらなぁ。あるいは、職員室に置いていただけたらなぁ。
ちなみに相模原市の小中学校の職員室には絵本を置いてくださっています。
そんなご尽力に感謝の気持ちでいっぱいです。
あの頃の美沙のように、できなくても、わからなくても、がんばっている子に届くといいな。
「かなわね」おかげさまで先日増刷が決まり、3刷目となりましたが、さらなる声が届き4刷目となりました。今度は2300冊刷っていただけます。
最初は自費出版で今度は出版社からのご連絡での増刷。
本当にすごくありがたいのです。
小学校の頃、理解のない普通級にいた美沙にはちゃんと今という未来がありました。「かなちゃん」が見ていた世界だったけど。
それでも大丈夫だからね。
そんな世界を見たからこそ、の、今がちゃんとある。
それが私は親としてすごいなって思うのです。
子どもは親が思うほどには弱くないよ。
ちゃんと自分の世界を、自分が抱えているものから見ている強さ、あるよ。
できるできないばかりに目を向けず、その子が歩いている「今」を見てあげてね。
だからこそ、学校ってすごい場所だなぁって思うのです。
そんなことを先生と話してみたいなぁ。
たくさんの子どもいろんな子どもを見ているからこそいろんな子どものたくましさについてお聞きしたいなって思うのです。
それは私にとって希望となるお話なのです。
私、それが見たいんです。
今日もここまでお付き合いくださり本当にありがとうございました。
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