「論破」を繰り返す人たちが、知っていて言わないこと
ネット議論が、なんだかおかしな方向にいくのを見たことがないでしょうか。
「えらい先生がいっているのに信じないのか」
「お前はかつても間違ったじゃないか」
「中卒のクセに」
「お前はどっち派か」
私は日本にいた頃、テレビなんかで「なんだか釈然としないなぁ……」と思いつつ、眺めていました。最近哲学(論理学)を学び出し、ようやくこれらが「誤謬(ごびゅう)」ってものであることに気付きました。
今日はそんな「誤謬」のお話です。
「誤謬」を学んでおくと議論が効率的になる
論理学を少し学ぶと、誤謬が出てきます。
誤謬とは、〘名〙 まちがえること。また、まちがい。あやまり
精選版 日本国語大辞典
哲学のコースやインターナショナル・バカロレアでも習います。長男は高校で学んでいます。
誤謬は言ってみたら、「間違った議論」です。
予め知っておくことで、対話が効率になるのです。
私が学んでいる哲学コースでも、「誤謬」を見つけると、「ブブー! それは誤謬です!」とレッドカードをあげる動画があります。
私たち親も、無意識に子どもに対してやっています。
例えば、こんな具合です。
「えらい先生が言ってるんだから間違いない」「中卒のクセに大卒に口答えするな」(権威に訴える論証)
「お前は前回も間違ったじゃないの」(間違った類推)
「みんなが見てるから辞めなさい」(早まった一般化)
「お前はあいつの味方か、敵かどっちだ」(誤った二分法)
「そんなことしたらバチが当たるよ」(公正世界誤謬)
上記、全部、誤謬です。誤謬とわかっていて、あえて使うのを「詭弁」と呼ぶそうです。「詭弁論理学」(中公新書)ではこう書いています。
「詭弁」が詐欺や窃盗にあたるとすれば、「強弁」はさしずめ強盗になる。
「黙りなさい!」が強弁で、「みんなが言ってるでしょ」が詭弁って感じでしょうか。
詭弁は議論のテクニックとして便利なので、長男のプログラミングスクールの先生も、「詭弁を使えるようにしておけ」と言っていたそうです。恐ろしいですね……。
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