『窓ぎわのトットちゃん』を教育関係者の視点で考える
『窓ぎわのトットちゃん』について教育関係者の視点でお伝えします!
『窓ぎわのトットちゃん』※画像はAmazonより引用
『窓ぎわのトットちゃん』は、日本で有名な芸能人の一人である黒柳徹子さんの自叙伝です。本作品に出てくる主人公トットちゃんは幼い頃の黒柳徹子さんです。
黒柳徹子さんについてはWikipediaのリンクを貼っておきます。
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/黒柳徹子
私の黒柳徹子さんのイメージは、テレビ番組『世界ふしぎ発見!』の解答者です。子どものときから『なんでこの人は、こんなにも物知りなんだろう』とずっと思っていました。その黒柳徹子さんの成長過程(教育環境)の一端を知ることがでました。
『トットちゃんにとってのかけがえのない存在』
①保護者、②校長先生、③友人の3点によって、本当に素晴らしい学校生活を送ることができたのだと考えました。
①保護者
教育基本法にもある通り、保護者は子どもの教育で最も責任のある存在です。その保護者が黒柳徹子さん(トットちゃん)のよき理解者でした。トットちゃんは、小学校1年生のとき、当時の小学校の尋常小学校を退学させられました。授業中に離席する、気になるものを見つけると興味がすぐそちらに向いてしまうなど学級の中でも非常に目立った存在でした。この状況を踏まえ、退学を勧奨されたのだと考えられます。
一般的には、『何をやっているの、きちんとしなければいけないでしょう!』と言い、子どもをおさえつけてしまおうとしますが、そうはしませんでした。トットちゃんの行動の理由を本人にしっかりと聞き、考えを理解しようとしています。そして、本人と対話する中で、今後のことを一緒に決めることが多くありました。トットちゃんにとって、ご家族が一番のよき理解者であったと思います。退学させられた話もトットちゃんが大人になるまでだまっていたそうです。黒柳徹子さんは、もし退学させられたことを知っていたらびくびくした子どもになっていたと思うと書いています。
親は一番近くで見ているからこそ、やきもきすることは多いはずです。そのような感情は親自身認めつつも、その子どもにとってどうするのかがよいのかを考え、できることを誠実に行うことが大切なのだと考えます。
②校長先生
トットちゃんは尋常小学校を退学した後、トモエ学園に転入します。そこで出会ったのが小林校長先生です。本文で非常にたくさん登場する先生です。同じ教育を行う者として、本当に尊敬するところがたくさんあると思います。
まず人は素晴らしいという前提で行動をしています。どんなに課題のある子どもにも、その子に光る部分を見つけ、それを伸ばそうと努めています。トットちゃんに、繰り返し『君は本当はいい子なんだよ。』声をかけていました。さらに、トットちゃんが転入するさい、トットちゃんと4時間会話をしたそうです。子どもとしっかりと向き合える教師だと思います。黒柳徹子さんは、小林校長先生によって自尊心をもつことができたことを語っています。
さらに、子どもに数多くの素晴らしい体験の機会を提供しています。電車を校舎に運び、それを図書室にしたり、水遊びを自由にたくさんさせたりなど、伸び伸びと子どもが活動できるような学校づくりをしています。本当に子どもが好きで、関わる子ども全ての成長を願っていたのだと思います。
最後に教職員への指導・支援がすばらしいです。教頭先生の個性を生かす学習、子どもにとってよろしくない指導をした教員にはしっかりと指導しています。小林校長先生ご自身のぶれない指導観をもっていることがとてもよく分かります。これが幼いトットちゃんの記憶に残っていたぐらいですから、本当にすごいです。
こう指導すべきと考えるのではなく、子どもの成長のためにできることを考え、それを実行できる小林校長先生、私も見習います。
③友人
数多くの個性的な友人が作中に登場します。一緒に木登りをする、ケンカをする、水遊びをする、校外学習にいくなど様々な体験を共有できています。私も担任時代、子ども同士の関わりの中で、多くの成長が見られることを実感しました。宿泊学習、運動会、学習の話し合いなど、どれもみな他者とのかかわり合いの中で、子どもは最適解を探していきます。トットちゃんには素晴らしい友人がいるのだと思いました。
『人が成長するために大切なことは』
いかがでしょうか。この3点はトットちゃんの人生でとても重要なファクターになっていると思います。この3点で忘れてはならないものがあると思います。人を信頼することです。トットちゃんは家族・校長先生・友人を信頼し、全力で関わる数多くの経験をしました。また逆に家族・校長先生・友人もトットちゃんを認め、関わっていたのではないかと思います。この信頼関係が人生を豊かにするのではないかと思います。
読まれた方もたくさんいらっしゃると思います。読まれた方もまだ読んでいらっしゃらない方もぜひ目を通してもらいたい一冊です。
窓際のトットちゃん.黒柳徹子.講談社.1991,380P
※原著は1981出版
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?