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【きょうだい児としての思いを載せた少年の主張】知的障害を持つ兄に初めて向き合ったお話

8月に入り、学生は夏休みの時期ですね。

社会人になって2年目ですが、学生の頃のような1〜2ヶ月ほどの夏休みが欲しいなと感じています。

ただ、学生にとっても夏休みは嬉しい反面、部活の合宿があったり宿題がたくさん出たりと全てが全て楽しいわけではないなと個人的には感じておりました。

今回は、小学生の頃の夏休みの宿題で書いた少年の主張について書いていきたいと思います。



夏休みの宿題

私が通っていた地域では、小学5・6年生の夏休みの宿題に少年の主張という作文の宿題がありました。

少年の主張とは、小中学生が日常生活の中で考えていること、自分の夢、自分と社会のかかわりについてなどを題材に作文を書くのものです。

その作文は学校内で選ばれた人や出たい人は、地域の大会に出ることになっていました。

私は、読書感想文含め作文を書くことが苦手であり、下手であり毎年苦労していました。

宿題は溜めるタイプではなかったので、コツコツやっては母親に添削してもらって・・・と嫌々ながらも頑張って書いていました。

大会に出たい願望もなく、とりあえず指定された枚数を埋めることが私の中で大事であり、兄のことを書くこともなく当たり障りのない題材で作文を書いていました。


夏休み最終日

夏休み最終日には、いつも習い事の先生が宿題が終わっているかチェックする時間がありました。

私は、宿題はすでに終わっていたので自信満々に提出していました。

その為、何も心配していなかったのですが宿題の返却の際に少年の主張の作文について、もう1度書き直しなさいと言われました。

正直、私には意味不明でした。

確かに、文章力も低い作文だったと思いますが最低限形にはなっていたはずです。

それをしかも最終日に、苦手な作文を書き直せというのは私にとって信じられないことでした。

ただ、先生に逆らうこともできず習い事がお昼で終わり家に帰ってから
今度は先生の家にお邪魔して他の集まった仲間と作文を直し始めました。


作文の内容

習い事に来ている仲間は大体みんな同じ題材を作文にしていました。

それは習い事に理由があって、私が所属していた習い事には
いわゆる健常者の小学生の子供たちと、知的障害を持った小学生から上は高校生ぐらいまでのメンバーで習い事を一緒になって活動していたのです。

その中で、障害を持った仲間との関わりや支援・ボランティアの経験をしていました。

そういったこともあり、題材は障害児との関わりやボランティアという内容を書いていました。

私も、同じように習い事での経験を書いていました。

ただ、その作文には同じ習い事に参加している知的障害の兄のことには触れていませんでした。

そのことが、先生的には気になっていたようです。

習い事で障害者との関わりを持つ経験はみんなしているけれど
それ以外に私は兄というもっと身近に障害を持っている人がいてそういった経験を書きなさいというニュアンスのことを言われました。


書き直した作文

先生に、兄のことを書きなさいと言われたけれどあえてそこを私は避けて書いていた部分がありました。

習い事の仲間は、私の兄が知的障害者であることを知っていますが
小学校の友達はそれを知っている人はほとんどいなく、この作文に兄のことを書いて提出して小学校の友達の前で発表することが嫌だったからです。

ただ、小学生の私には先生が絶対という概念があり、自分の気持ちに葛藤しつつも兄のことをメインにほぼ1から作文を考え始めました。

文章を考えることも苦手であり、知的障害の兄のどんな部分を書くのかも葛藤している中で作文を考えることは、到底容易ではありませんでした。

ただ、先生にもいろいろアドバイスもらいながら試行錯誤してなんとか文章を書き上げることができました。

先生の家でお昼過ぎから夕方過ぎまでひたすら作文を書いて、家に帰ってきてからは清書をしてと、なんとか最終日に作文を書き終えることができました。


作文の提出

無事に夏休み明けに作文を提出して、あまり記憶にはありませんがクラスメイトの前で発表しました。

その時の感情は、正直覚えていません。

おそらく、受け入れてくれるのか・どう思われるのかということばかりを気にしていたのだと思います。

ただ、その文章を発表してからも友達の態度が変わることがなかったことは覚えています。

そんな中、学校の先生から私の作文を選んでもらい興味もなかった地域の少年の主張の大会に出ることになりました。

同じく地域の大会に出る友達は、大会に出たいと思っていた人ばかりで優秀な人が多かったので場違いだなと感じていましたが、選ばれたからにはきちんと練習して大会に出ました。


少年の主張の大会

地域の大会は、クラスメイトの発表とは桁違いに緊張しました。

ただ、兄が知的障害であることを含む作文をクラスメイトの前で発表した時に周りが受け入れてくれた、態度が変わらなかったことが自分の中では大きくそこにはあまり恥じらいなく文章を読めていたと思います。

そして、なぜかその地域の大会で優勝してしまい、その大会は区大会の予選も兼ねていたので区大会に出ることになりました。

なぜ私が選ばれたのか全くわかりませんし、もっと自分よりも意欲も高く優秀な人が多い中で選ばれたことが不思議でたまりませんでした。


最後に

知的障害を持つ兄のことを取り上げて1日で仕上げた少年の主張の作文が
区大会まで出ることになるとは正直全く考えていませんした。

ただ、先生に書き直しなと言われた際に反抗せずに、向き合えたことで思ってもいなかった経験ができたと思います。

また、最初は知的障害を持つ兄のことを取り上げることが嫌だった自分も
クラスメイトや周りの人に話しても、急に態度が変わることもなく受け入れてくれたことが自分の中では大きな気づきであり、重要な出来ことだったと思います。

そして、おそらくこの時が兄のことを文章にして自分の気持ちを赤裸々に書いた初めての作文であり、自分の気持ちを文章という形ではありますが初めて母親に打ち明けた時だと思います。

この時しっかり、小学生なりに兄に向き合えた経験は今振り返るととても大きな出来事で重要な転換期だったのかなと思いました。


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#宿題 #少年の主張

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