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きょうだい備忘録(弟の目線の先)

弟が見ている先には、美しい自然や生き物が沢山存在した。

私はインタビューをして情報を収集する事や、それを分析する事が好きで、家族であっても気になる事は、聞き取り調査をしていた。


弟に大人になってから訪ねてみた。


「どうして教室から急に飛び出していたのか?」


すると、こう返ってきた。


「休み時間に見かけた、壁にいた蜘蛛が、どのくらい動いたか気になったからだよ」


これを聞いた時に、私は、そうだったのか‼︎と、弟の世界観をいっきに知る事が出来た感覚になった。


学校の帰り、いつも水路を通って帰っていた弟。上級生、同級生からは、「変な奴」と言われ、笑われ続けてもそこを通る理由も、


「水がキラキラしていて綺麗だからだよ」
「光を掴もうとチャレンジしていた」


と話してくれた。


弟の目線の先には、いつも自然の美しさや不思議さがあったのだ。


ヒトは1歳前後になると、他者と同じモノに注意を向ける、共同注意というものが発達してくる。

他者を観察し、他者が見ているモノに興味を持ち、同じモノを見る事で、空間、時間の共有をするのだ。


それはやがて、そのモノについて、お互いに気持ちを伝え合ったり、共感したりする、三項関係の成立へと繋がってくる。


弟の話を聞いて、

子どもが見ている目線の先には、その子が好きだったり、興味のあるモノがあるのだ。

と、実感した。


発達に凸凹があって、三項関係が成立しにくい子ども達も、目線の先には、かならずその子の好きなものが存在する。

私はこれからも、すべての子ども達の目線の先を見つけ出し、その子の好きを大切にしたい。


弟の話を聞くたびにに、そう思うのである。

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