見出し画像

記憶を辿る50

『 渡米の決意 』

睡眠時間やプライベートも削りながら掛け持ちで過ごす日々。
ある日、花の配達先で出会った人を起点にした” if “は、今考えても恐ろしい。

昼職の先輩達には”悪かった”人が多いという話は44話でも書いたが、過去の繋がりからこの会社には、近所に来たからなのか情報共有なのかで度々立ち寄られる”方々”が居た。この中の1人とお花を届けた先のラウンジで出会ったのだ。

「 おぅ、お前なにしてんねん。」

理由や経緯を説明して何とか取り繕えたが、問題はバイト先が知られた事だ。
昼職の先輩達に、掛け持ちを告げ口をされるというような不安ではない。

昼間は先輩達の後輩という事や、一般の会社への出入りという事もあって気にかかるほどでは無いのだが、常に眼光は鋭く、贔屓目に見ても一般人のそれとは違う一抹の怖さを覚えるような方だったからだ。

私自身も彼を呼び寄せてしまう”垢抜け”が出来ていなかったのだろう。
一度会うと配達途中や道端で度々会うようになり、下の人達や取り巻き連中も当初は怪訝そうな顔つきで私を見回していたのが、徐々に個別でも遭遇してしまうようになる。
素通りは出来ないから挨拶をすると世間話もされるようになる。
完全に負のスパイラルに入ったのが分かった。

出会ったある日以降、1〜2ヶ月した頃だろうか。
自身が経営されている夜の店に、定期的にお花の配達するよう下の人が頼みに来られた。店からすれば未来のお得意様であり断る理由はない。知り合いだという事で、優先的に私が配達を任された。

行くと必ず「 飲んでいけ 」に始まり、個人的な事を根掘り葉掘り聞かれた。
最初は他愛もない質問や世間話が多かったのが、途中から話の合間に「 バイク乗ってた? 」「 足は速かった? 」「 神戸の道はわかる? 」と何か違和感を感じる質問が入るようになっていった。

これに加え何故かチップと称した小遣いを渡そうとしたり、経営する店のホステスさんと飲みに行こうと誘われたり、携帯や家の場所を聞かれたり。それら全てに断りを入れていたが、私の感じた嫌な予感、違和感は的中した。

ある日、日本をひっくり返すような事件が起きたのだ。
この出来事は私の勘ぐり上であり、また想像を脱しない話だから”No.2″というワードだけ出しておこう。

ただ時系列、執拗に聞かれた質問内容と立場、後日談を含めて考えると…
もちろんそういった類に使われる実行者の選定は、私のような人間を選ぶはずはない。後に出版された類の本を読んでも一般人は皆無だ。しかし何かで”使える駒”として数えられていたことは間違いない。


続きはこちらからご覧ください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?