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「日本人は変化に強い」は幻想

 日本は数多くの変化を乗り超えてきた。それは確かである。しかし、変化に強いのは本当だろうか。

1945年までの2000年以上
幸運の連続

 台風のおかげで1274年と1281年にモンゴルの襲来を撃破できた。それから600年後にはアメリカの黒船の襲来をきっかけに、明治維新という名の大革命が起きた。薩長の革命家たちは、欧米が日本を植民地にする危機感を煽った。しかし欧米にそのような目的は無かった。徳川を滅ぼすための口実に過ぎなかった。幸運にも革命は成功した。

 それから西欧の大国に並ばんと成長を続け、日本帝国として初の対外戦争である清国との戦争に打ち勝った。この10年後にヨーロッパの大国、ロシア帝国との戦争にも辛勝した。

 ここまで日本は実力に見合わない冒険に臨み過ぎた。ロシア帝国に勝利出来たことは、もちろん日本軍の努力によるものだろう。しかし共産革命というラッキーなイベントや、アメリカやイギリスの援助のおかげといった運の良さが大きい。真の実力無く大国に勝利したこの経験は間違いなく、日本帝国を滅亡への道へ突き進ませた大きな理由の一つであろう。

 それから第一次世界大戦を経験し、日本は2000年以上対外戦争に負けなしという奇跡的な状況にあった。日本人の弛まぬ努力の結果であることはもちろんだが、いずれも運が味方したおかげであるのも間違い無い。真の実力では無い。このことを振り返る必要はあったはずである。

 それから日本は中国大陸での活動を活発化させ、中華民国と8年以上に及ぶ戦争を始めた。中華民国との決着がつかないまま、米国および大英帝国との戦いを始めた。蒋介石の立て籠る重慶を攻め落とせないほど、国力の限界に達していたにも関わらず、GDP比で10倍の超大国との戦いに臨んだ。愚かとしか言いようが無い。さらに勝算の無い頼みのドイツを失ってから、ソビエトも参戦し日本帝国は滅亡した。
 自らの幸運さに最後まで気付かず、実力を課題視した。国を滅ぼすまでしないと、それを知り得なかったのだろうか

 日本は運が尽きた。この時多くの日本人は気付いたはずである。

 ところが、終戦から5年後にまたもや幸運が訪れた。共産世界の脅威が増してきてた。朝鮮半島での共産国と米国の戦いにより日本経済は上向き、奇跡の復活を遂げるきっかけを掴んだ。明治から戦前まで軍事大国を目指していたのと対照的に、戦後はひたすら経済大国となるため走り続けた。そして80年代後半から90年代初頭にかけて、日本経済は最高潮に達した。実際その最高潮もバブル景気という幻想によりもたらされた。これも幸運によるものである。

 それから30年経ったが、結局日本人は自らの幸運さに気付かずここまで来てしまった日本はとうとう運が尽きかけている。大多数の企業及び政府は変化に対応出来ていない。変化に対応出来ているのはほんのひと握りである

 現代の日本は、日本史上経験したことないほどの大発展を遂げている。これは幸運の連続によるものが大きい。ところが自らの幸運さを理解しようともせず、正確な実力を測らず惰性に崩壊への道を突き進んでいる。せっかく築き上げた幸運の産物を食い潰している。

 日本人は勤勉に努力を続ける姿は素晴らしい。しかし今の日本を形作るのは、それに加えて運の良さのおかげも大きくある。実力を過信し胡座をかいていては変化に対応出来ない。

真の実力を認識せよ

 日本人は、自らを歴史上稀に見る幸運な民族であることを認識する必要がある。これから真の実力を認識し、正しい方向性で努力を続けられる社会が訪れることを切に望む。

𝑲𝒀𝑶𝑻𝑶 𝑪𝑯𝑰𝑳𝑳™️
Director

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