解決したい課題”まで”を伝えることで、思ってもなかった「Hackな打ち手」が生まれると思った話

新卒でfreeeに入社して、もうすぐ2年経ちます。入社以来ずっとカスタマーサクセスの企画職として、ユーザーさんがプロダクトをつまづかずに使えるようにする活動をしています。

1年目のときは、チーム内のメンバーだけで完結する企画を任せてもらっていました。2年目になってからは、チーム外の方にも協力してもらいながら進める企画も担当するようになりました。

それにより、2年目では1年目のときに比べると「企画の背景や議論過程を共有していない(社内の)人と協働する場面」が増えました。でも、各場面でうまく協働ができず、悩んでいました。

打席に立って振り返ることを繰り返し、最近やっと、協働がうまくいかない原因とうまくいく方法が言語化できてきました。この記事では、つまづいていた時期から時系列に沿って、協働について振り返ってみようと思います。

1回目の協働機会でつまづいた

協働の背景

初めて協働機会が訪れたのは、ヘルプページの企画チームにいたときのことです。

freeeのヘルプページの記事数は2500記事を超えるボリュームになっていましたが、記事数が多くなると、「欲しい情報へのたどり着きやすさ」は悪化します。実際に、ユーザーさんや社内から「検索しても目当ての記事にたどり着けない」という声が多数寄せられていました。

そのため、当時は「ユーザーがヘルプページ上で欲しい情報にたどり着きやすくするにはどうすればいいか?」というテーマに取り組んでいました。

解くべき課題はたくさんあったのですが、当時は以下の2つの課題に取り組みました。

1. ユーザーに記事間を回遊させすぎてしまっている
2. ユーザーがサイト検索した時にヒットする記事が多すぎる

1つ目の「回遊させすぎている」という課題に対しては、一部の「内容が詰め込まれた記事」を分解して切り出すことで、記事のタイトルと内容のギャップが少ない状態にする、という施策を行いました(施策の詳細は以下の記事に書きました)。

2つ目の「検索時にヒットしすぎている」という課題には、「(ユーザーからの)需要が極端に少ない記事を削除する」という施策を行いました。

削除するにあたってサポートデスクのチームに事前相談*が必要だったのですが、そこでうまく合意形成できなかった、というのが最初のつまづきです。
*サポートデスクはヘルプページを活用して問い合わせ対応業務を行っているため、記事を削除する場合は事前許可が必要でした。

どう相談したか

削除したい記事はピックアップしていたので、サポートデスクには「これとこれとこの記事は需要が少ないと思っているので削除したい」というお願いをしました。すると、「需要が少ないからといって、削除していいわけではない」と回答いただき、うまく合意形成ができませんでした(今思えば至極当たり前の反応で非常に申し訳なかったです)。

そこで、マネージャーに相談したところ、以下のように整理して相談するといいと思うよ、と教えてもらいました。

背景
一見、ヘルプページの記事は「あればあるほどいい」ように思えるが、実際は記事の数が一定数を超えると検索時にひっかかる記事が多すぎて、ユーザーが欲しい情報にたどり着きくいサイトになるのではないか?と思っている

やりたいこと
・ユーザーにとって利便性の高いヘルプページであるために、「最適な記事の数」を追求したい
・そのために、「PV数と問い合わせの数が一定数を下回れば閉じる」という基準を作りたいと思っている

お伺いしたいこと
PV数はヘルプチーム側で見れるので、「年間でこれらの記事内容に関わる問い合わせがどのくらい来ているか?」をサポートチームにお伺いしたい

もう一度ご相談しにいくと、「なるほど、そういうことなら、これらは問い合わせがほとんどない内容の記事なので削除してもらって大丈夫です!」とスムーズに納得していただけました。

当時の振り返り

当時は、「テーブルに対面で座って対立構造的に話すのではなく、カウンターで隣に座って”同じ絵”を見るようなイメージで話すとよかったのかな?」というふうに学びを整理していました。今回でいうところの"同じ絵"は、「記事数が多すぎて、検索時の目的記事への到達体験が悪くなっていること」です。

マネージャーにもその気付きを伝えると、「いい気付きですね。これからも今回のように、他チームに協力してもらって物事を進める場面はたくさんあるから、今後の伸び代ですね〜」と言ってもらっていました。

でも、分かったような、分かっていないような....というモヤモヤした感覚でした。

2回目の協働機会は偶然うまくいった

その後すぐ、また別の協働機会がありました。ブランドチームと一緒に、ヘルプページのファビコンを変更したことです。

協働の背景

もともと、「freee=ツバメ」という認知を広めるために、各プロダクトとヘルプページでおなじファビコンを使用していました。
しかし、それにより「プロダクトとヘルプページを同時に開いていると、区別がつきにくくなる」という課題が生じていました。

プロダクトとヘルプページを同時に開いている状態

また、ヘルプページには「単体で閲覧するのではなく、プロダクトとセットで閲覧されることが多い」という性質があり、上記の課題はヘルプページを閲覧するほとんどのユーザーに当てはまるため、課題の大きさが大きいと判断し、ファビコンを変更することにしました。

新しいファビコンは、以下2つの要件を満たしたデザインである必要がありました。
1. 「freee=ツバメ」の認知を損なわないこと
2. プロダクトとヘルプページを同時に開いていても区別がつくこと

どう変更したか

上記をブランドチームにご相談すると、「ツバメ認知」と「区別がつくこと」を満たすデザインとして、「ヘルプページのファビコンの色を反転させるのはどうか?」というアイデアをいただきました。これにより、ツバメの認知とユーザー体験の両方を損なわない改善をすることができました。

1回目と2回目の差分はなにか?

「なんか今回はうまくいったぞ?!」と思い、「うまくいかなかった1回目とうまくいった2回目の差分」を考えました。

1回目でまずかったこと

1回目の「ヘルプページの記事を削除する」というのは、あくまで「ユーザーがサイト上で欲しい情報にたどり着きにくい、という課題に対する打ち手のひとつなのに、こちら側で打ち手を指定してしまっています
施策の背景を知らないサポートチームからすると、その打ち手が適切かどうかに納得感がありません。
また、削除すると、その情報を必要としているユーザーが自己解決できなくなるというデメリットがあるので、「削除は困る」という意見になるのは当然だと思いました。

2回目でよかったこと

2回目のポイントは「プロダクトとヘルプページを同時に開いていると区別がつきにくい、という課題感だけを伝えて、打ち手までは伝えなかった」ことでした。2回目で打ち手を伝えなかったのは、単に打ち手のアイデアが浮かばなかっただけなのですが、それが結果的に功を奏し、「ファビコンの色を反転させる」というhackなアイデアを提案していただけました。

つまり、1回目と2回目の違いは、「先方に相談するときに打ち手を指定したか、指定していなかったか」の違いでした。

そこから自分の中で、良い協働をするためには、「解決したい課題までを伝え、一緒に打ち手を考えることが大切なのではないか?」と思うようになりました。

うまく協働できるようになってきた

それに気付いてから、以前に比べればうまく協働ができるようになってきました。1つ例を紹介します。ヘルプページチームから別のチームに異動して、freeeの操作方法を解説する動画コンテンツを制作していたときのことです。

動画の制作にあたって、「決算申告期限が近づいてきて、決算に向けて経理作業をしている」という場面を表現したイラストが欲しかったのですが、すでに社内のイラスト集にあったものを流用することができなかったため、社内のデザイナーさんにご相談しました。

すでにあったイラスト

すでに用意されていたイラストは、「月末に向けた作業をしている」という場面を描いたものだったのですが、それをそのまま「決算申告に向けて作業をしている」という場面で使うには問題がありました。

既存のイラストを「決算申告に向けた作業をしている」イラストとして使うと、「カレンダーの『17日〜30日』の日付が水色になっている状態」は「期限31日の2週間前に作業している」ことを伝えることになりますが、実際はもっと余裕を持って申告するのが普通です。

そのため、既存のイラストをそのまま使うと、ユーザーに「決算申告は、期限の31日の2週間前くらいから申告作業をするようなスケジュール感なんだ」という印象を与えてしまうという課題感がありました。

そこで、社内のデザイナーさんに「申告期限が迫っている感じ」を担保した上で、「余裕を持って申告作業をしているよ」ということが伝わるイラストを作っていただくことは可能か?というご相談をしました。

ご依頼した時の文面

自分で依頼しながら、「月次作業のイラストをベースに、余裕を持って申告作業している感じを演出するためには、カレンダーの大部分の日付を水色にせざるえないが、それってどうなんだろう....」と思っていたんですが、「1日にチェックマークを入れる」というアイデアで違和感のないイラストを作っていただけました(デザイナーさんすごい)!!

このように、今は協働する場面では「解決したい課題までを伝えて、それをどうやって解くのかを一緒に考えてもらう」というイメージでコミュニケーションを取るようにしています。

そうすることで、協働相手にクリエイティブに働いてもらうことができ、結果的にこちらの想像が及んでいなかったような素敵な打ち手が見つかることも多いです。

今思えば、1回目の協働機会で学んだ「同じ絵を見る」という感覚は間違っていなくて、その後の具体的な経験からより学びの解像度が上がっていったな〜と感じています。

最近は協働自体が楽しくなってきたことに加え、協働相手へのリスペクトの気持ちもすごく高まりました!

次は、最近制作したサイトの話を書こうかなと思います〜

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この記事は、「あえ共freee」というマガジンに投稿するために書いたものです。
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