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兜飾りと季節感

自宅マンション1階の玄関前に、兜飾りが設置されている。このスペースはクリスマスツリーや雛人形などが、自治会員さんたちで飾られるのだ。誰もが目に入る特等席で飾られたこの空間だけ、何かしら特別な季節感を醸し出しているように思える。いつもは季節なんてあまり気にしないけれど、飾られている兜飾りを見ていると、「ああ、日本だ。日本の文化だ。」と思ってしまう。

私が教えている留学生の中には、四季がない国から来ている学生も少なくない。1年中温暖な国から来た学生は、日本の冬の寒さに閉口していたが、初めて見る雪の純白さ、美しさに感嘆の声を上げていた。また寒冷地からの学生は、季節に合わせて変わる旬の料理や、和菓子に深い関心があり、桜餅や柏餅は最高!などと絶賛しきりだった。学生たちにとって、日本の四季は、やはり特別な感慨を持つものらしい。

四季が当たり前にある国で生まれ育った私としては、こんな留学生たちの考え方に新鮮な驚きを禁じ得ない。あるとき、日本語学校内で飾られていた雛人形を見て、「全体はきれいだけれど、何となく人形の目が怖いです」と1人の学生が言うのを聞き、段飾りで人形が並ぶと、怖く思ってしまう学生もいるんだなと、妙に得心した。

いずれにしても、私たちは四つの季節がある中で生きている。いつもあまり気にかけていないけれども、たまには季節を感じ、それに応じた日本文化の深さに気づき、自分だけで、または友人・同僚・家族などと、好きな形で思い切りどっぷり浸ってみることを忘れてはならないのではないか・・と思う。


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