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出版社とヘンリー・フォード──【連載】出版社×マーケティング①

向かい風を利用して飛べ

「逆境に陥ったら思い出せ。 飛行機は向かい風があって飛び立てるのであって、追い風に運ばれるわけではないのだ」

世界で初めて自動車の大量生産を実現した、フォード・モーターの創設者、ヘンリー・フォード(1863-1947)は、名言の宝庫としても知られます。この言葉はそのひとつです。
(馬から自動車へ。フォードは、街の景観まで変えしまった稀代のイノベーター!)

向かい風を利用して飛べ──。それをまさに体現したのが、出版社だとぼくは考えています。

「出版不況」を救ったコンテンツの電子化

1990年代、インターネットの普及にともない、これまで雑誌などのメディアが有料で提供していた「情報」の無料化の流れが加速。出版社は、ビジネスの根幹を揺るがす“向かい風”に襲われました。この「出版不況」(出版社市場の規模縮小)は長く続きましたが、2019年から3年連続アップトレンドに転換しています。

画像出典:講談社C-station 

その要因となったのが「電子出版」市場の拡大です。
社会全体のデジタルシフトが進み、わからないことは図書館ではなくGoogleで検索する時代へと変化。雑誌や書籍が売れないと嘆く出版社を救ったのは、やはりインターネット(コンテンツの電子化)でした。

わかりやすいところでは、通勤中や空き時間に、スマホのマンガアプリでマンガを読んでいる方、たくさんいますよね。ほかにも、美容室のタブレットで雑誌(電子版)を読んだ経験をされたことも多いのではないでしょうか。

(防水ケースを使えば、お風呂場でもマンガが読めるし、電気を消しても、スマホの明かりでマンガが読める。なんなら、そのまま寝落ちもできる。デジタル化によって利用シーンが広がったマンガは、もはや生活の一部!)

コンテンツの電子化は、ユーザーの利便性を向上させるだけでなく、出版社にとっても、印刷費の削減につながりますし、売れ残りの心配もない。とってもサステナブルでありながら、出版社の利益の最大化に寄与する仕組みとなり、市場全体の再拡張にも貢献しました。

向かい風を利用し、飛躍した出版社

もし出版社がインターネットやデジタルを「悪」として認めず、独自路線を貫いていたら、アップトレンドへの転換はなかったでしょう。向かい風を利用して飛んだからこその今日です。

事実、ぼくが編集者として関わる、BtoB向けマーケティング情報サイト「C-station」を運営する講談社をはじめ、出版社は軒並み売り上げを伸ばしています。

2022年の講談社の売上高はまだ正式に発表されていませんが、「おかげさまでヒットコンテンツに恵まれ、デジタル収入、ライツ収入が大きく伸びています」(コメント出典:講談社C-station)と、野間社長も語っており、順調に推移していることが見てとれます。

出版社が提供しているのは、コンテンツです。求めるのは生活者だけでなく、そこには企業も含まれます。出版社の視点で見ると、それは広告収入となります。

雑誌(デジタル版も含む)に広告を出稿したり、タイアップ記事を作成したり、最近だとマンガ(アニメも含む)とコラボレーションしたキャンペーンや商品開発も活況ですよね。

どの施策も、高い認知度や人気を活用できるため、SNSで話題になりやすいという、デジタルとの高い親和性は「出版社×マーケティング」の特徴のひとつと言えるでしょう。特にマンガを使ったコラボレーションはパブリシティ効果も高い傾向にあります。

枠売り、キャラコラボだけじゃない「出版社×マーケティング」

ぼくは、出版社のチカラを、企業のマーケティング課題解決につなげることを目的としたビジネスサイト「講談社C-station」の編集者としてサイト運営に関わるなかで、出版社の持つポテンシャルの高さに触れました。ですが、その広範囲にわたるソリューション力について、あまり知られていない現状を知りました。

(こんなに面白いのにどうして?)

一生懸命に記事を作り続け、今年で4年目。なのに、まだまだ、ぜんぜん届いてないじゃん! という、もどかしさが爆発した結果、このブログ(連載)を始めることにしました。

講談社C-station」上でも定期的に記事は更新されていますので、ぜひ見ていただけたらと思いますが、またちょっと違った視点というか、ぼくが勝手気ままに「出版社がマーケティング課題解決のためにできること」をテーマに、不定期でつづる場所がほしくて、このnoteは誕生しました。

今後のラインナップ(予定)

次回は下記のいずれかをテーマに、「出版社×マーケティングの可能性」という視点でぼくなりにお届けできたらと思っています。

また、本連載以外にもブログは更新予定です。ただ、更新は不定期です。。ご興味のある方は、ぜひフォローしてもらえたらうれしいです! よろしくお願いします!

  • 出版社とDX〜コロナ禍のなかで〜

  • 出版社と推しマーケティング〜推しを輝かせるメディアのチカラ〜

  • 出版社とクッキー規制〜クッキーに替わる、コンテクストのチカラ〜

  • 出版社とweb3〜NFT領域で、出版社が注目される理由〜

  • 出版社とコンテンツマーケティング

  • 出版社とTikTokマーケティング

  • 出版社とSNSマーケティング

  • 出版社とSDGsコミュニケーション

  • 出版社とマンガ×プロモーション

  • 出版社とZ世代、α(アルファ)世代

※ラインナップは予告なく変更することがあります。