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日本企業の「駐在員制度」に現役駐夫が勝手に苦言を呈してみる

現在シンガポールで生活している中で、日本企業の駐在員制度が世界的に後れを取る要因の一つになっており、そして帯同/同行する家族の大きな負担になっていることを目の当たりにする。実際に僕自身も経験をしている。
こういった駐在員制度についての苦言、そして海外支店の在り方を私なりに書いてみたいと思う。

※事前のお詫び
私の情報リソースが製造業中心のため、偏りがある情報ということはご理解いただいたうえでご読んでいただけると有難いです。


自己紹介

奥さんの海外赴任をきっかけに、2023年9月末に前職であるリクルートを退職をして、2023年10月よりシンガポールを主夫をしている。

リクルートでは化学業界専門のコンサルタントとして転職をエージェントをしていた。

その以前に日系メーカーで約8年勤務をしており、その時代に中国上海へ駐在していた。

私のことは過去投稿でも書いているので是非ご覧いただきたい。

日系企業駐在員制度の問題点について

①「グローバルカンパニーとの格差

私自身20代で上海に3年半駐在をした経験もあり、駐在は個人にとっては素晴らしい機会であることは間違いないと思っている。
よって3~4年間のサイクルで、駐在員を派遣していく制度自体は個人的には素晴らしいとは思っているが、一方で様々な国が日本より急スピードで発展している中、今の制度ではグローバルカンパニーと戦っていくことが難しくなっていると感じる。

特に私が今いるシンガポールや過去にいた上海という都市は、外資系企業のアジア本社が多くある。(Microsoft Apple P&G等)
こういったグローバルカンパニーでチャンスをつかみたい優秀な人材が国籍関係なく集まってくる。もちろん優秀な日本人も特にシンガポールには集まってきており、日本企業からの人材流出も進んでいる。

一方日本企業はローカル化も推し進めてはいるが、未だに日本からの駐在員中心の組織構成。現地採用の日本人もあくまで日本人駐在員のサブ的な役割、ましてや第三国(日本人でもローカル人材でもない人材)の人材に関しては採用もしたことがない企業が多数をしめている。

そして、幹部である駐在員も3~4年程度も変わる。更に日本企業では職務要件(JD)が曖昧なため、3~4年おきに方針も大きくかわる傾向がある。

日本企業・日本駐在員が本気で仕事に取り組んでいないとは言わないが(実際、グローバル企業よりも働いている)、チャンスをつかむために各国から人材が集まってくるグローバル企業、3~4年程度で幹部が変わり、方針も変わる日本企業では、勝敗は見えていると言わざるを得ない。

②帯同家族の負担

日本企業の多くは、駐在員の帯同者は「駐在員をサポート」する立場と定義している。つまりどういうことかと言うと、現地での就労を認めていないということ。(認めていても現地就労をした場合、様々な手当てが剝奪されるため、実質認めていないと同様のケースもあり)

その結果、帯同者はキャリア中断をしないといけないケースがかなり多い。(実際私もその一人)

中断期間中はキャリアとして認めらず、更には中断前と同じキャリアに戻れるケースも非常に少ない。つまりは中断期間はプラスマイナスゼロではなくマイナスとなる。

日本の深刻な労働力不足、そして女性管理職の不足が叫ばれる中、配偶者の駐在が理由で優秀な人材の機会を奪うことはあってはいけないと思う。

駐夫目線 目指すべき姿の提案

①職務要件(JD)の設定

日本企業では個人のJDが明確ではなく日本人的感覚で間にスルりと落ちそうな業務もカバーし合っている。そしてこのグレーゾーンの仕事を多くするこなすことが「仕事ができる」と評価されることもある。
同じ国民性のみで仕事をするのであれば良いが、多様化していく流れの中では時代錯誤。JDを設定し誰もが理解できる業務設計にしていくべきと考える。ましてや日本人しか出来ない仕事などは排除していくべきだ。

②駐在員の現地化

3.4年で幹部がかわる会社、そして都度方針もかわる会社にローカルスタッフはロイヤリティは感じないだろう。その国に根差し、覚悟をもった幹部社員の下でこそローカルスタッフも安心して働くことができる。
海外拠点の長期政権化は会社を私物化する恐れがあるということで懸念をしめす企業も多いが、それはモニタリングできる仕組みを整えればよい話かと思う。

③グローバルオールスターの採用

労働人口が減少する日本において優秀人材を確保することは、これから益々難しくなってくる。自身の更なるキャリアパスを求めて集まってくる、上昇志向が高い人材を国籍関係なく海外拠点で採用できるのは日本本社においてもむしろチャンスだ。日本採用=幹部社員というような古い発想ではなく、どの拠点でも優秀人材を確保していくような柔軟な発想が今後は必要になってくる。

④帯同家族へのキャリア支援

共働き世代が50%近くになっている中、帯同者は駐在員をサポートする役割とするのは、かなり無理があると思う。こういった制度こそ、駐在員の会社に対しての不満、不満から帯同者のサポートする気持ちを失わせていくものにさえなっている。企業が帯同者の気持ちに寄り添うことが、サポート体制作りのスタートという理解をもってほしい。
具体的にはキャリアコンサルタントやプロコーチなどによるカウンセリング・コーチングの実施、そして現地で就労できるような支援があれば望ましいと思う。
※あくまで同じコンドミニアム内の3名の欧米人の話だけではあるが、外資系企業では帯同者の就労には制限をかけず、そして就職先が見つからない場合は、配偶者の会社で働けるような支援もしていると聞く。
※キャリアカウンセリングはいつでも行いますので、お仕事ください。

最後に

末端かつ1人の意見が社会を動かすとは思えないが、それでも発信をし続けると決めた以上、スルーはできない問題かと思って書いてみました。

私があくまで見えている視界の中での提案なので、様々な意見はあるとは思います。是非皆様の意見も聞かせてほしいので、メッセージいただけると嬉しいです。

そして帯同家族のキャリア支援の仕事依頼まってます笑。



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