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悩んだら宇宙を感じろ

 37歳の1年間は苦しかった。彼とはうまくいってたのでプライベートは文句なしだったけど、仕事はふるわなかった。先方都合で急に依頼がこなくなるなどハラハラすることが多かった。そんなことはそれまで一回もなかったので、余計にどうしようもなく不安になった。

 加えて、自分の老化をひしひしと感じ、自分の老後を想像した。老後が死ぬほど怖くなった。

 限りある命が尽きる直前、自分はどうなっているのだろうか。彼に先立たれて孤独になったらどうしようとか、それは嫌だから子どもがいたほうが良いのかとか。でも、私は子どもを生む勇気がない。以前医師から授かりにくい体質と言われたし、40歳目前で生む覚悟もない。それなら猫に囲まれて暮らせばいいかとか、解決策を考えていた。

 とにかく、全てにおいて不安で発狂しそうだった。あのままグルグル考えていたら鬱になっていたと思う。

 自他共に認める明るい性格なのに、悩むとドツボにはまって必要以上に考え込んでしまう。あまりに苦しくて占い師に視てもらったら「悩むのが趣味」と言われた。確かにそうだと妙に納得した。この言葉を機に、負のループから抜け出せた。考えすぎて悩む状態で3ヶ月が過ぎた頃だったから、そろそろ考えるのに飽きていたのもある。

 もう一つ、切り替えられた要因がある。
 それは宇宙だ。

 寝る前にYouTubeを見るのが私のおきまりだ。よく見るのは中世ヨーロッパの歴史や巨大生物、世界の事件まとめなど。ある時から宇宙に関するチャンネルを見るようになり、それ以来ふと頭に宇宙のことがよぎるようになり、暇な時は宇宙についてググるようになった。

 ビッグバンとか、宇宙は何個もあるとか。前から知っていることでも再度読むとワクワクしたが、楽しい発見だけじゃなかった。知りたくないことも知った。それは地球についてだ。なんと、地球の寿命はあと50億年らしい。太陽に飲まれるか、爆発してチリとガスになるか、彗星が衝突するか。いろんな可能性が示されている。

 とにもかくにも、なくなるという事実は確からしい。お恥ずかしながら、最近まで知らなかったので驚いた。さらには、この宇宙自体もいつかはなくなると言われている。宇宙は膨張し続けるものだと思っていたのに。

 今私が生きているこの星のみならず、宇宙もなくなるなんて。本当にそうだとしたら、何のために地球は、私たちは生まれたんだ?

 だって、私たちはこんなに頑張って生きているじゃない。世界を良くしようと日々動いているのに、いつかは跡形もなく消えてしまうなんて。こんなに切なくて虚しいことってある? いつかなくなるなら、こうやって生きていても意味がないのでは。一気に虚無感が襲ってきた。

 しかし、こうも思えた。
 「今を生きればいいのか」と。

 何事も、始まりがあれば終わりもある。出会いがあれば別れもある。締め切り前の辛い夜もずっとは続かない。楽しい旅行も束の間だ。そして、生と死。いつも何事も、全ては儚い。

 だからこそ、終わりがあるからこそ、私たちはその時々の感情を存分に味わえるのだと思う。終わりがあるから得られるものがあるんだ。

 全ては終わるし、一寸先は誰にもわからない。地球の未来も、巨大で未知な宇宙でさえもわからないんだから、私たちが先のことをわからないのは当たり前だ。それならなおさら、うだうだ考えるのはもったいない。見えない不安を追うよりも、見える今を生きるほうが賢明だし楽しい。

 こうして私は、宇宙を感じることで37歳の不安から抜け出せた。もちろん今でも不安になることはある。しかし、生きている限り不安がなくなることはないし、また不安になったら宇宙を思えば切り替えられる。

 もし今、出口の見えない不安や悩みを抱えている人は宇宙について考えることをおすすめする。やってみたら少しは楽になるかもしれない。



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