見出し画像

【エッセイ】いくら好きとて。

やっとこさ書斎をつくった。

今まで効率重視で
リビングで仕事をしていた。
収納の一角をデスクにして。
愛猫といられるし、掃除もすぐできる。
食事もすぐに食べられる。
あと、彼が帰宅しても一緒にいながら働ける。

全てにおいて効率が良いと思った。

けれど違った。

彼は会社員だから、
帰宅したらリビングのソファでだらっとして
テレビを観ながらゆるゆるする。
そりゃするよね。

でも、私が働いていても、おかまないなし。
私は執筆の浮き沈みが激しく
夜に書けるたち。
なので彼の帰宅後も書いている。
でも、彼はマイペースに過ごす。

タチが悪いのは、撮り溜めしたドラマを
ゲームしながら流し見するから
何回も同じ番組を見る。
無意識のうちにテレハラ(こんな言葉があるのか)。

イラっとしていた。
私がずっと働いてると知ってるのに
マジでデリカシーないわって思っていた。
あと、集中できない。
だからイヤホンをつけて仕事をしていた。


あーイライラする。

とはいえ、彼の行動は間違えていない。
私が怒るのはエゴだ。
そりゃみんな仕事を終えたら
緩みたいよね。


仕事だけでさえピリピリするのに、
さらに彼にイラついていたら
無駄にピリつく。
メンタルヘルスが悪化すると思った。

とにかく、もう無理と思って、
他者を感じずに一人で没頭できる時間が欲しくて書斎をつくった。


Amazonで買ったデスクとチェア。
合わせて2万しない。
でも、最高に快適だ。

いい気分で仕事ができるように
ローズのディフューザーを置いて。
愛猫のパネルも置いた。
使い道がなかったかわいいビンは
ペン入れに。
やっと日の目を見せてあげられて
すごく満足。

こんなささやかな物でも
私の気分は上がる。


いくら好きで大切な人でも、
ずっと一緒にいると気を遣って疲れる。
やっぱり好きでも、一人の時間は必要。
だから書斎をつくった。

彼は寂しがりだ。

急なことで彼からしたら
驚いたと思う。
だから、理由を伝えた。

「一緒にいるのが嫌ではなくて、テレビうるさい
 し、集中したいからつくったの。あと、ひとり
 の時間が欲しいの」

「うん、わかった。いいんじゃない?」

彼は思ってたより
寂しそうではなかった。
もしかしたら私が勝手に
彼は寂しがりやと
思い込みすぎていたのかもしれない。

彼は理解してくれた。
別に拗ねてもない。
無理して合わせる必要なんてなかったんだ。


とにかく書斎は最高。
電車の音は聞こえるけど、
それが夜は心地よくて
なんかほっとする。



いくら好きな人とて、
適度な距離とひとり時間は必要。
彼に理不尽なイライラもないしね。

離れることも円満の秘訣。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?