京子先生の教室5「先生の体重は35㎏?」
京子先生はポッチャリ体型です。「先生の体重は何㎏ですか?」としばしば聞かれることがあります。先生もちょっとごまかそうと、子ども相手に、こそくな対応をするのですが、同じ答えを言っても反応は学年で違います。小学校の6年間に子ども達は大きく成長するからです。
1年生・・・
「せんせい、せんせいのたいじゅうはなんきろですか。」
「えっ、せんせい?せんせいはね、35㎏よ。」
「ふう~ん、いがいとかるいんだね。」
(『ごめん、そのうち、うそとわかるよ・・・ざんげです!』)
「35」と言う数字は自分たちの体重よりもまだ大きい数です。
1年生は『そんなもんなんだなあ』と自己解決します。ところが・・・、
3年生・・・
「先生、先生の体重は何キロですか。」
「えっ、先生? 先生は、35㎏よ。」
「えーーー!、そんなはずはない!!」
「うそだあ、」
「ちがうよね」
「ぜったいちがう!」
「だって、うちのおばあちゃんだって、そんな体型で70㎏越しとるもん。
だけん・・・、だいたいそんくらいよ。」
「だよねーーー、だまそうとしても、おみとおしですよ~。」
「ハ・ハ・ハ・ハ」
数や量の概念が育ってきています。それに自分の経験からの推測。たいしたものです。
『ハイハイ、嘘をついている私が悪いのですよ。』と京子先生は心の中で居直ります。ところが・・・
6年生・・・
「せ~んせっ!先生の体重は何㎏ですか?」
「えっ、先生? 先生は35㎏よ。」
「・・・・・・。はぁ~~。」
「そうなんですね~~~。しらける~~~(ちょっと、古い言葉ですが)」
「もう、あっちに行こうぜ」
「何であんな嘘をいうとかねえ。誰も信じらんとに。」
「ごまかしたいとだろ。やっぱ、女だけん。」
『ほんとにもう、そんな事あらためて聞かんでよ。どうせ、からかいたいのでしょ。だいたい想像つくでしょうに。私も頑固に35㎏で通します!』
と心の中で思う先生です。
こんな何気ない会話一つをとっても、子ども達の大きな成長を感じます。この6歳から12歳までの6年間、いろんな体験をたくさんして知識を吸収し、心と体と知恵をしっかり育ててほしいと思います。
おしまい
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